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勉強の神様は人見知り  作者: 京夜
天使の誘惑
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水着の誘惑


 行き先は同じ県内になるが、電車で2時間近くかかる。

 2度ほどの乗り継ぎをしながら、7名は話に花を咲かせながら移動時間を楽しんでいた。

 まだショックから立ち直っていなかった誠に、隣に座ってきた麻友が声をかけてきた。


「久しぶりね。まーちゃん」

「まーちゃん、言わないで下さい……」

「あれ、私が『誠くん』って呼んでいいのかな?」


 麻友の言葉に、一年前のやりとりを思い出して、誠はため息をついた。


「まーちゃんでお願いします」

「でしょ? これでも気を使っているのよ」


 1年経っても、麻友に言葉で勝てる気がしない。

 コミュニケーションスキルのレベルが違いすぎる。


「今日は久しぶりに会えたっていうのに、帰ろうとするし」

「普通、帰ろうとしませんか?」

「これだけ美女が揃った中に呼んでもらえて、帰る男がいるの?」

「……僕は少数派ですか?」

「私はそう思うな。まあだからこそ、みんなで呼ぶことにしたんだけど」


 麻友の言葉に、ふと誠はある疑問が浮かぶ。


「そういえば、誰から言い出したのですか? 僕を呼ぼうって」

「誰だと思う?」

「麻友さんか、桜さんかと」

「と思うよね。それがね、美緒なの」


 意外な名前に、誠は驚いた。


「何故、美緒さんが?」

「さあ? 聞いてみたら? とにかく提案されて、私や桜がすっかり乗り気になって、まどかにお願いしたのだけれど」

「そうなんですか」


 美緒とも確かに、親しくさせてもらっている。

 美緒は本当に目鼻立ちの整った可愛い女の子で、ゆっくりとして、どことなくとぼけた感じがするが、実は意外によく気がつく。

 ひとりで寂しがっていそうな人に声をかけたり、恥ずかしがっている人をそっと手伝ってあげたり。

 誠もいろいろと助けてもらったことがあるし、逆に勉強を教えたりしたこともある。

 とても男子からもてているが、誰かと付き合っているという噂は聞いたことがない。


「まだまだ解らないことが多いなあ」

「当たり前でしょ。だからこそ、面白いのよ」


 全くその通りだ。

 誠は深くうなずいた。



「海ぃー!!」


 駅からホテルの送迎用バスに乗り、一行はようやく目的地にたどり着いた。

 すぐ目の前に広がる砂浜と青い海を見ると、ついついみんなで声を上げてしまう。

 空を見上げると天気も上々で、雲もほとんどない快晴。

 照りつける日差しが痛いほどだった。


「何はともあれ、ホテルで荷物を預けましょう」


 薫子の冷静な一言に、みんなでうなずきながら移動を開始する。

 行動の中心は桜になりやすいが、冷静に導くのは薫子という構図らしい。


 ホテルは豪華なものではなかったが綺麗に清掃されていて、スタッフ達の対応がとても感じが良い。

 お風呂も広いようで、なかなか良さそうなホテルだった。

 フロントのある一階は広い空間になっていて、壁一面の大きなガラスの向こうに大海原が広がっていた。

 耳をすませば、波の音がかすかに聞こえる。

 


 フロントでチェックインをするが、まだ部屋に入るには時間が早い。

 荷物だけ預けて、着替える場所を聞き、みんなで海に向かうことにした。


「私は服の下に水着を着ているから、別にそのまま海に行けるけど」


 桜が言うと、口々に「私も」という声が上がる。

 どうも、着替えていなかったのは、誠だけのようだ。


「まーちゃん、私たちは気にしないから、砂浜で着替えたら?」

「……更衣室に行かせていただきます」


 桜の提案を、誠は丁重に断らせてもらう。


「バスタオルを巻いて着替えればいいじゃん」

「桜さん。本当にそのバスタオルを取ったりしませんか?」

「まあ、それは不幸な事故ということで」

「……やっぱり更衣室に行きます」


 誠はひとり、更衣室で着替えることにした。

 女性陣は先に砂浜へ行き、場所を確保しておくことになった。


 着替えはすぐにすみ、誠は荷物をまとめて砂浜へ向かう。


 あの集団はいろいろな意味でよく目立つ。

 みんながどこにいるか、誠にはすぐに解った。


 どこからか借りてきたビーチパラソルを立てて、その下にシートをひいたり、荷物をまとめたりしているようだ。


「お待たせしました!」


 誠が声をかけながら、小走りに近寄っていく。


 その視線の先で、あることが自然に始まった。



 麻友が自分のTシャツをめくりあげて脱ぎ出し、その下に隠されていた白い肌と、黒い水着におおわれた胸があらわになった。


「!!」


 水着だとは解っていても、目の前で服を脱ぎ始めて下着姿になってしまったように、誠には見えてしまう。

 いけないと思いつつも、麻友の腰のくびれと胸のふくらみに目がいってしまった。



 その横で、まどかも服の後ろのジッパーをおろしていた。


 ゆっくりと服が脱ぎ落とされ、今までに服越しでしか見たことのなかった身体があらわになっていく。


 服がゆっくりと落ちるにつれて、きれいな肌の線にそって、ふくよかな胸のふくらみが見えてきた。


 水着だけでは覆いきれない、柔らかそうな胸の大きなふくらみ。

 胸に光る汗まで見えてしまった。



 思考が停止してしまった誠の視線の先で、次々に着替えが始まると、誠は意識を失い、その場に倒れてしまった。





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