第99話 相対するのは宵闇の黒魔術師
百針蠍、このマッドフォレスト内で生息する生物の中で極めて好戦的にして獰猛。10年前の七区襲撃事件において南部で多大な死者を出したとされる、超危険なクリーチャーである。その最大特徴は蠍の尻尾に相当する部分がムカデの体が融合しているように見える点にある。
蠍の毒針の可動域は精々前後程度にしか可動しないのに対しムカデの体は縦長くて大部分が柔らかく、滑らかに動き回る。つまりは、蠍の弱点であった毒針の可動域を克服することに成功したのだ!そして、このムカデ部分の足に見えるそれは、全てが毒針、百足ならぬ百針である!この個体はまだ幼体ではあるが、実力ならそこからの苔魔猪複数体を相手取って負けることはない!
「ヒヒン!これは、戦わざるおえないですな。あれは百針蠍、あのムカデを模した五十対、計百本の毒針と先端の顎が肥大化したような二本の巨大針からその名を付けられたと聞いています。」
「本当にヘマしました。すいません。」
キリエが肩をすくめ、右手がわずかに震えている。ミッションは写真撮影。遊斗がカメラを構えた瞬間、シャッター音を切り忘れたのだ。百針蠍の複眼が一斉にこちらを向き、甲殻が軋む音がした。
「いいんだ、キリエ。むしろ、退屈しのぎにはちょうどいいぜ!サンキューな!」
「遊斗君、むっちゃ顔引きつってる。」
「それは言わないお約束だぜ、霧島君。」
「ヒヒン!攻撃が来ますぞ!」
馬場がそう言った矢先、百針蠍は尻尾を振る回し始めると、まるで蛇のようにしなやかな動きで、ムカデの体節がうねり、そこら一帯を薙ぎ払うように百本の毒針がキリエに襲い掛かる。キリエはその場に踏みとどまり、廻り撃つ黒金の盾を起動。地面にN極、気分の両足にS極を魅かれ合う二極によって付与し、正面から受け止める姿勢を取る。
だが、ゴォン!!!と鈍い音と共にキリエの体は空中へと押し出された。
「え?」
キリエは一瞬、魅かれ合う二極が発動していないかと思った。しかしもちろん、キリエの足は地面にくっついている。そう、地面諸共、空中へとキリエの体は持ち上げられているだ。
「(ど、どんなパワーしたらこんな芸当ができるのよ!?)」
「キリエ殿!」
「俺が助けに行く!」
霧島は、下半身を霧状に変化させると、そのまま空中を飛行しキリエをキャッチする。
「助かったわ」
「いいってことよ。それよりも、相当なパワーだな。お前が地面ごと吹き飛ばされるとか。今の戦力で、あいつと正面から戦えるやつは馬場くらいか?」
「さあ、でも下を見た方が分かりやすいかも。」
そう言われた霧島は空中から戦場を見下ろす。馬場が槍を振り回してムカデ尻尾と互角に渡り合っている。槍の刃先から持ち手に至るまで、器用に使いながら毒針をいなし、躱し、弾いている。だが、それでも押されているような印象を霧島は受けた。
「あのサソリ、攻撃から次の攻撃までの動作が異様に速いな、俺が近づいたとしても実体化できずに防御に回るのが手一杯って感じだな。」
「そろそろ降ろして?」
「あ、ごめん。」
「キリエ、無事か?」
「まあ、なんとか。というか遊斗君、その化け物二体は何?」
キリエは遊斗の近くにいる二体の化け物を指さす。一体は、可愛らしい瞳を持った茶色いモジャモジャから緑色の短い手足が生えている小さめの化け物、そうしてもう一体はガタイが良く手にはクローのような武器を持ったトカゲ人間が立っている。
「現状は、馬場がやつを押さえ込めているが、このまま正々堂々戦っても、今の戦力でやつを突破するのは不可能。だからここは、俺と贋作昇華を信じてくれないか?」
「何か作戦アリって顔だな。」
「ああ、その場凌ぎの姑息な手だが、有効打はこれしかない。」
「俺のターン!ドロー!マナチャージ!俺はフィールドの2体のクリーチャーを生贄に捧げてコストを2下げ、5マナ支払って、このクリーチャーカードを生贄召喚するぜ!現れよ我が僕!「宵闇の黒魔術師」!!!」
「はっ!!」
二体のクリーチャーが光となって消えると、一本の光の柱が現れ、そこから一体のクリーチャーが現れた。その姿は、緑のロッドを手に持ち、赤黒いローブを身に纏う、不敵な表情を浮かべた褐色のイケメンだった。
「「何か出たー!?!?」」
「行け!宵闇の黒魔術師!百針蠍に攻撃!宵・闇・魔・導!!!」
遊斗が宵闇の黒魔術師に命令すると、宵闇の黒魔術師は自身の杖で魔力を練り上げて先端に収縮し百針蠍に向けて解き放つ。杖から放たれた魔力の塊は黒い稲妻のような軌道を描きながら百針蠍に直撃する。
百針蠍はその攻撃に驚き、宵闇の黒魔術師の方へと体を向けて威嚇する。その隙に馬場は戦線を離脱し、遊斗たちと合流する。
「ヒヒン!あれはBDCの看板クリーチャー「宵闇の黒魔術師」。となると、これは遊斗殿の贋作昇華による実体化ですか。」
「ああ、俺の贋作昇華を使って召喚されたクリーチャーは実体する。多少の足止めにはなるはずさ。さあ、今の内に逃げるぞ。カードを1枚伏せてターンエンド!」
「でも、このままだと、キリコちゃんたちの方に行っちゃわない?」
「安心してくれ、その点なら今伏せておいたカードで何とかなる。」
そう話していると百針蠍が宵闇の黒魔術師に攻撃を仕掛ける。ムカデ尻尾による薙ぎ払いを喰らわせようと尻尾を振り回している。
「させないぜ!アクションカード発動!「|黒魔術師の隠れ帽子《マジカル☆シルクハット》」!」
そう言って遊斗はディスクを操作すると、宵闇の黒魔術師の周囲に五つの巨大なシルクハットが現れる。そしてその中の一つに宵闇の黒魔術師が入ると、シルクハットが独りでにシャッフルを始める。
「自分フィールド上に「宵闇の黒魔術師」が存在する場合、コストを支払わずに発動できる!フィールド上にシルクハットを5体召喚し、その中に宵闇の黒魔術師は隠れさせる!サソリはこの5つのシルクハットの中から宵闇の黒魔術師を見つけ出さない限り攻撃できないぜ!」
「す、すごい!サソリが釘付けになってる!」
「こんなことできたのね……」
「さあ、逃げますぞ!ヒヒン!」
妄想ルールとか考えるから執筆が遅れるんだよなあこのすかたん。
あと、狩北のメンバーの名前と能力を考える人数が残り11人になった
妄想BDCのルール
LPは4000で、先に相手のLPを0にした方の勝ち。だが、プレイヤーはシールドに守られライフを削ることはできない。シールドを所持しているプレイヤーが受けるダメージは半分の数値になる。
クリーチャーは基本的に召喚したターンに攻撃を行うことはできない。しかし、生贄召喚によって出されたクリーチャーや、スピードタイプに分類されるクリーチャーは攻撃を行うことができる。
クリーチャーは、相手クリーチャーがいればクリーチャーに攻撃し、いなければプレイヤーへの直接攻撃となる。
クリーチャーとの戦闘では、そのクリーチャーに記されたATK、DEF値を使ってバトルする。攻撃表示同士の戦闘ではATKの数値を比べる。攻撃表示と守備表示の戦闘ではATKとDEFの数値を比べる。この際、攻撃表示クリーチャーが相手の攻撃表示クリーチャーのATK値を上回っていればその数値が戦闘ダメージとなる。
「フィールド」
「クリーチャー」を出せる「クリーチャーゾーン」が5つ
「スペルカード」が使える「スペルゾーン」が3つ
「アクションカード」が使える「アクションゾーン」が2つ
マナシステム
自ターンの開始時にマナの最大値が1つ増えて全回復。シャドバ
シールドシステム
プレイヤーからの直接攻撃から身を守るシールドは5枚。シールドはあくまでもワンキル対策の保険でありSトリガーはない。デュエマ
タイプシステム
スピード、アタック、ブロック、ノーマルのそれぞれのタイプがある。デュエマのキーワード能力的な
通常召喚
コスト分のマナを支払って召喚する
生贄召喚
既に召喚されているクリーチャーを任意の数だけリリースし、召喚に必要なコストを軽減して召喚する。
[宵闇の黒魔術師
通常クリーチャー
コスト7/闇属性/魔法使い族/スピード/ATK:2500/DEF:2100/BRE:2]




