第98話 ドロー!クリーチャーカード!
小野田、キリエ、馬場、霧島、キリコ、遊斗、巴
マッドフォレストの奥深く、鬱蒼とした樹海の息づかいが聞こえるような場所をキリエたちは進んでいた。湿った土の匂いと、絡み合う枝葉の隙間から漏れる薄暗い光が、彼らの足元を不気味に照らす。キリコが内蔵する古びた地図データだけを頼りに、一行はクリーチャーの気配を避けながら、慎重に進路を切り開いていた。木々の間を縫うように歩き、時折聞こえる獣の遠吠えや、名も知れぬ虫の羽音に身を縮めながら、ようやく目的地に辿り着いた。
そこには、錆びついた鉄骨と蔦に絡まれたコンクリートの建物が佇んでいた。看板には、かすれた文字で「RYUU」と記されている。かつての栄光を物語るように、看板の端は風雨に削られ、半ば自然に飲み込まれていた。キリエは立ち止まり、目の前の廃墟じみた製作所を見上げ、隣に立つキリコに声をかけた。
「キリコちゃん、この建物であってるの?」
「YES:ここは竜製作所。200年前に活躍してた専用機製作をメイン事業とするメーカー。古い記事だと、電気自動車の充電スタンドなどの製作も行ってる。きっと、まだ使えるバッテリーがあるのここくらい。」
「なるほど、ここなら期待できるというわけですか。ヒヒン!」
「あの学校に電気が通れば、恵君の四次元収納に入れてきた電化製品が使えるようになる。これはアドがデカいぜ!」
「でもよ遊斗。どうやって電気を通すんだよ。あの学校全体に電気を通すとなると相当時間が掛かるぞ?」
「別に全部に電気を通す必要はないんじゃないかな……?だって、使うとしても数部屋だし夜に光を燈すと虫とかクリーチャーが寄ってきそうだし。いくら、効果を付与できる私の擬音掃射でも効果時間は1分程度しか持たないし。」
「光を燈すだけなら私の火で良くない?」
「NO:全然わかってない。電気を貯蓄できれば、擬似超電磁砲が使える。牽制目的の使用になるけど、あるだけ破壊力抜群。それに、同線もここならある。ちょっとだけ人数いるけど、感電する可能性の低い遊斗さんのマネキンたちに工事してもらえばいい。」
「持つだけで抑止力になり得る、つまり切り札をチラ見せして持っておくということか。それにキリコが言うように俺のマネキンたちを使えば何とかなるか。」
「なあ、遊斗。お前のマネキンたちってどこ行った?」
「ああ、先に工場内に向かわせて必要な材料を探してもらってるぜ。」
そう話していると、工場内から埃を被った白いマネキンたち、約20名がアクロバティックで無駄の無い、まったく無駄な動きで遊斗の前に移動し跪く。
「「マイロード!必要な部品の確保が完了しました!」」
「サンキューな!次に周囲の警戒を行ってくれ。クリーチャーに見つかったら攻撃表示で自爆特攻して少しでもライフを削ってくれ。よろしく頼むぞ。」
「「イエス!マイロード!」」
そう言うと、まるで忍者のような動きで散り散りとなっていった。
「なんか、すごいわよね。」
「ええ、同感。」
それから数時間、竜製作所の内部では、キリコを中心に大容量バッテリーの製作が始まった。工場内に残されていた資材は、驚くほど良好な状態を保っていた。錆びついた機械や埃まみれの工具の間を、キリコがスキャナーで一つ一つ確認し、設計図を瞬時に構築していく。キリコの視線の先には複雑な回路図が次々と映し出され、仲間たちはその指示に従って動き始めた。
「このバッテリー、完成すれば学校の数部屋を十分賄える電力が確保できる。当機体の計算では、擬似超電磁砲のフルチャージ三回分の電力。約12000kwhが貯蓄可能。遊斗さんのマネキンたちが配線を敷設すれば、2日以内には学校全てに最低限の電力供給は可能。」
「これって大体どれくらいで充電できるの?」
「天野さんの空へと祈れでの雷攻撃が約400kwhなので約300発分となります。」
「天野ちゃんが過労死しちゃうわよ。もっと効率よく充電できないの?」
「霧島さんが天野さんが生み出した雷雲を取り込み、小野田さんが擬音掃射で雷の擬音を発射すれば、効率は三倍にはなります。これ以上の効率は求めることは現状の物資では不可能ですが、必要最低限の電気を賄うのなら一般家庭5日分の電気は雷一発で賄えます。」
「なら、問題無いはね。疑似超電磁砲は桃太郎の強化飯でなんとかなるし、使う時にチャージするでいいんじゃない?そうバンバン打つわけじゃないんだし。」
「確かに、切り札はここぞって時に使うのが一番よね。」
作業は順調に進んだ。キリコの的確な指示のもと、巴が溶接し、小野田が「ゴロゴロ」と擬音を立てて電気を供給して充電テストを行う。工場の埃っぽい空気の中、金属の擦れる音や工具の響きが響き合い、まるで廃墟に新たな生命が吹き込まれるようだった。
その他の特にやる事のない四人は、マネキンと共に辺りの警備を行っていた。現状、クリーチャーの接近などはなく、暇を持て余していたキリエは、星谷に連絡を取っていた。
「はあ、本当に暇。近くにクリーチャーもいないから写真も撮れないし。ミッション進まないじゃん。」
「こういう時こそ、集中を切らさないことが重要です。戦において気を抜くことは、死を意味する。ヒヒン!」
「馬場、腕組みながら悟らせてるけど、お前の下半身?がすごくリラックス状態なことに突っ込んでもいいか?遊斗に至っては、BDCカード広げてデッキ組んでるし。」
「俺はただ遊んでるわけじゃないぜ。俺の贋作昇華は何もオモチャだけが効果の対象じゃないぜ!」
そう言って、腕に取り付けたディスクのような物にデッキをセットすると、ディスクが光出す。そして、遊斗がカードを5枚引いてその中から1枚、モンスターが描かれたカードをディスクに置いた。
「グレムリンを攻撃表示で召喚!」
緑色の悪魔のような見た目のモンスターが現れた。そうして、グルルルと唸りを上げてキリエに飛び掛かる。
「危なっ!?」
キリエが防御しようと体勢変えるよりも前に、グレムリンの鋭い爪がキリエの腕を切り裂いたように見えた。
「あれ?痛くない?」
「安心しろ。味方プレイヤーへの直接攻撃はできない仕様だ。それに、実体こそあれど、すぐに消えてしまう。」
「これ使えるの?」
「それはデュエルの中で見つける他ないぜ。」
「それ使えないっていてるようなものじゃ……」
雑談しているその時だった。森の方から何かがぶつかり合って砕け散ったような音が響いてきた。
「あの破壊音、マネキンがクリーチャーにやられた音だぜ!」
遊斗が音のした方向へと走っていく。キリエたちも急いでその場所へとかけて行った。遊斗は、物陰に隠れクリーチャーの姿を観察する。そこにいたのは、蠍の尻尾部分に蜈蚣を無理やりくっけたような悍ましい姿のクリーチャーがマネキンたちを薙ぎ払う姿だった。
「こうも簡単にマネキンたちを……あれは間違いなくやばいって。(いや違う、これはチャンスだ。送られてきたミッション内容は種類の異なるクリーチャーを撮影すること。そして、すでにミッションの進行度は2/3。そしてガマによって送られた写真を見るに、非写対象は生きてても構わない。つまり、ここで写真を素早く撮って脱出すれば、クリーチャーとの交戦は免れる。)」
遊斗はスマホを取り出し、カメラを起動する。そしてクリーチャーをそのカメラの内に移そうとレンズの倍率を上げる。そしていざ写真を撮ろうとするその瞬間。
カシャ……
シャッター音が鳴り響く。それは絶望の音色。その音が聞こえたのは後ろから、まさにキリエのカメラからシャッター音が鳴り響いたのだ。
「あ……」
「「あ……」」
「やばいって!!!!!」
湧き出ていたアイディアが設定作りと遊戯王の二次創作に流れて行って、やりたいこと多すぎて今書いてるところ投げ出して最終日まで書きたい欲がすごい。誰か助けてください。
ガマたちのはどうなったって?まあまあ、待っててくださいや。
この世界にカードゲームはほぼ残ってません。大会を開こうにもプレイヤーが集まりにくい、インフレが進みすぎて訳わからなくなってる、そもそも第三次世界大戦やら自然の大反乱とかの諸々の理由です。
そんな中、ユナイトボトラーズ同様に結束し誕生した「ホビーアライアンス」が発売したのがデュエマと遊戯王を悪魔合体!したカードゲーム「バトル・デュエル・チャレンジャー」通称:BDCである。いつか二次創作作るか。




