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ZONE無しでもハンターになれますか?→可もなく不可もなし!~地球曰ク<生命ハ、奇妙デ、新シイ、進化ヲスルモノ>ラシイ~  作者: 葉分
七区の少年は夢を見る

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第24話 行方知らずは不知火

 夜、久しぶりに焼き肉を食べに行き、たらふくご飯とお肉を食べたガロウたちは銀行に寄り道していた。預金残高を確認する


「じゅ、12万.…..」


「おお!入ってる!入ってるぞ!!」


 あの男の言う通り、時給5000円の24時間分の給料、12万円が口座に振り込まれていた。


「この手の話ってお金とかでないと思ってたんだけど……でもよかったねお兄ちゃん!これでお兄ちゃんもちゃんと学校に通えるね!」


「ああ!これで親父と同じ、ハンターを目指せるぜ!」


 帰路へと戻り、夜道の住宅街を通り歩く。そして、二人は近くの公園で少し休憩しようと公園の中へと入っていく。


 そして、公園のベンチに座ろうと公園の真ん中らへんを歩いている時


「いくら腹が膨れたところで、俺の鼻勘が鈍りはしねえぞ。出てきやがれ……」

 

「えっ……!?」


 そう言うと10人の黒いフードを被った者たちがガロウたちを囲み込む。


「お前ら、何が目的だ?」


「「……」」


 ガロウの質問に黒フードたちは答えようとせず、ただ戦闘態勢を取る。


「ちっ、無視かよ。メイ、俺から離れるなよ!」


「わかった!」


 メイはガロウの近くに寄ろうとした時、メイの腕に白いロープのようなものがへばり付き、黒フードの一人に引き寄せられ、取り押さえられ、その場から姿を消す。


「お兄ちゃーん!!」


「メイ!!テメェら覚悟しやがれー!!!うぉーーーーー!!!!」


 ガロウは怒り、そしてその身体が徐々に黒い影に覆われながら変化していく。


「ウオーーン!!!!」


 闇夜に照らされた一匹のオオカミが咆哮を上げる。その目は人であることを忘れ、増幅された強大な怒りが禍々しいほどのオーラを放ちながら闇として具現化し、オオカミの身体を、心をより黒くする。その姿を確認したクロフードの集団は、一斉にある言葉を発する。


「「A-Z(エーゼット):Bomb。起動。」」


 集団はその言葉を最後に体が膨張し始め、白く点滅し始める。オオカミはそれを野生の勘で察知し、影の中へと身を隠したその次の瞬間、膨張し切った集団の体が一斉に起爆する。


 幸いにも被害が出たのは公園無いだけであったが、爆心地であった場所はボコボコなクレーターのようになっている。闇の寒さに頭を冷やされたガロウは闇から這い出てる。


「ダメだ、爆発の焦げ付いた地面と死体の匂いでメイの匂いまで消しやがったか……これじゃあ辿れない……クソがぁ……!!」


 ガロウは地面に泣き崩れ、地を殴る。殴り殴り続ける。傷ついた手と爆発四散し塵尻となった死体の血が焦げ付いた土が混ざり、泥ができるほどにガロウは怒りのままに、自分の不甲斐無さに地面を殴った。そこに風に乗った1枚の紙飛行機が、ガロウに頭に当たる。


「あ……?これは!?」






 翌日、俺は自分の席に座って朝のSTを待っていると前の席の火野巴が後ろを振り向きこちらに近づいてくる。


「ねえ、星谷君。昨日爆発事故があったって知ってる?」


「火野さん、じゃなくて……」


 名前を間違えたわけではないが、火野と言うのはダメらしい。そう顔で示された気がするので言い直す。


「まあ、ニュースにはなってたな。あれだろ公園の地形が変わってたんだろ?複数人の遺体痕が残ってたっていう……」


 巴さんは双葉さんの席に逆向きに座り、両腕を背もたれの上部分に乗せて話す。


「その事件どうやらガロウが一枚噛んでるらしいじゃん?」


「あいつなら噛むよりか、噛み千切るという表現の方が似合ってると思うが、なんでガロウが?」


「それがさ、蓬さんの家の近くの公園らしくて、(よもぎ)さんがガロウが爆心地の中心で泣きながら地面を殴ってるところ見たって。」


「あいつが泣き崩れるって相当な……そう言えば、ガロウは今日来てないのか?」


「確かに来てないわね。」


「じゃあ、その蓬さんってのはいるか?まだ顔と名前が一致出来てないからさ。」


 容姿が分からない旨を伝えると、巴さんは廊下側の前から三番目の席を指差す。その先にいる緑髪で両メカクレの小柄な女子だった。


「あの子か」


「そうよ」


「俺ちょっと聞いてくる。」


 席を立ち上ろうとすると巴さんが後ろに回り込み肩を押さえ、再び椅子に座らせる。


「善は急げって言うけど、もう少し話し相手になってくれない?」


「なんでさ?」


「姉さん、いや、火野先生との関係を聞きたいんだけど。あんたにとって火野先生って何?」


 すごい事を聞いてきたな。自分にとって火野さんとは何か……命の恩人?確かにそうだ。あんな馬鹿なことをした俺を助けてくれた。

 師匠?それもそうだ。火野さんも忙しいだろうに俺への稽古はほとんど毎日してくれている。あの無尽蔵とまで言える体力は見習うべきだし、俺もものにしたいと常々思う。

 家族?こんな俺を新たな家族の一員として迎え入れてくれたし、すごく感謝してる。


「命の恩人であり、師匠であり、家族」


「つまり?」


「大切な人……」


「大切な人ね……姉さんとはどうやって知り合ったの?」


「ちょこちょこって穴掘って、梯子掛けて区から抜け出して、自然界でクリーチャーに追っかけられ、吹き飛ばされ、死にかけたところを助けてくれた。そん時だな。」


「ねえ、それっていつの話?十年前とか?」


「いや、もっと最近だ。えーっと3月18日くらい」


「じゃあ、姉さんがいつからハンターやってるか知ってる?」


「おいおい、ちょっと質問が多くないか?それに火野さんの事ならお前の方がよく知ってるんじゃないか?」


「姉さん、私がまだ小さい頃に死んだと思ってたから。」


 唐突なカミングアウトに驚きながらも話に耳を傾ける。


「十年前の七区襲撃事件で、みんな家近くの小学校とか中学校に避難した。でも姉さんの姿はどこにもなかった。事件が起きて一週間以上経過したのに死体も見つからなかった。生きているだなんて考えも出きまかった。だから姉の名前を聞いたあの時にとても驚いたわよ。それで頼みがあるんだけど。」


「何だ?」


「十年前、姉さんに何があったのか聞いてみてほしいの。私、姉さんのこともっと知りたいからさ、お願いできる?」


「なるほど納得。でも、今度直接聞いてみればいいんじゃないか?」


「え。何で私が?」


「十年会って無いだけで他人じゃねーんだし。本当の家族なら、そりゃそっちの事情だ。俺が割って入る必要なんかないし、そんな壁みたいなものなんてないと思うぜ?姉に似て直接言い出せない性格ってのは分かるが、どっちかが踏み出さない限り、永遠に家族として接することなんてできねえぞ?」


 その言葉に巴はハッとした表情をした後に少し頬を赤らめる。


「なんか……ありがとう」


「?」

「あのー…私の席…」

「傍観を推奨します。」

「何でなんか最後ちょっといい感じになってますの!!??」

「ヒヒン!」

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