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ZONE無しでもハンターになれますか?→可もなく不可もなし!~地球曰ク<生命ハ、奇妙デ、新シイ、進化ヲスルモノ>ラシイ~  作者: 葉分
サバイバルフォレスト

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第107話 固体に答え、気体に期待

 窓を氷の槍でぶち破って入って来た冰鞠を最初に見た時、なんか第一印象が変わった感じがした。冷徹無慈悲、すべてに興味が無く蔑むような視線がデフォルトだったはずが、目に氷晶のようなハイライトが入り、慈愛に満ちたような優しさ溢れる顔に変わっている。これ本当に冰鞠か?別人とかじゃないよな?


「えっと……冰鞠でいいんだよな?雰囲気変わったか?」


「ええ、私よ。外でちょっと色々あって。」


「まあ、音は聞こえてたしなんとなく状況把握してるが、ここいるのはマズい。ぶち破って喚起ができたとはいえ、まだやつの放ったガスが充満してる。長居は危険だ。」


 冰鞠の方から屋薬の方を見ると明らかに嫌そうな顔がマスク越しに見える。


「くっ……氷道冰鞠がここに来るとは想定外だった。彼女と私のZONEでは相性が悪い……くそっ、郁弥たちは何をしている……」


「彼らなら、石田君たちが相手をしてくれてる。石田君は、私の氷で強化されてるから、倒される心配もない。それに彼女の言う通り、私のZONEならこのガスも無効にできる。」


 そう言って冰鞠は手をかざす。そうすると教室内に立ち込めていたガスが完全に消え去り、教室内の床や壁、机に至るまで氷ついていく。その氷は半透明の普通の氷ではなく、濃いピンクのような妙な色の氷が生成されている。


「おま……ガスを凝華させたのか!?」


「その通り。さあ、これで貴様のガスは封じた。ZONEによるガス攻撃はできない。諦めて投降しなさい。」


「フフッ……投降か。私も舐められたものだな。確かに、この状況は予想してなかった。だが、氷道冰鞠の対策を怠るほど、私は甘くない。例え、ガスが発射と共に凝華されようとも、ガスでの攻撃、そのものを封じることはできない。噴出孔が閉じられない限り、ガスの発生を止めることはできない。」


 そう言いながら、再び屋薬は自分の手の表面からガスを放つ姿勢を取る。


「諦めが悪いな。冰鞠先生、やっちゃってください!」


「わかったわ!」


 冰鞠が空中に氷の槍を展開し、その矛先を屋薬へと向ける。そして、それらが一斉に発射される。だが──


「甘い」


 槍が到達する寸前、屋薬の周囲で小さな爆ぜる音が連続して響き、槍は次々に砕け散った。


「いくら凍らせるZONEだとしても。凍らせる過程において、飛行する物体の速度を殺すような性能はない。気体(ガス)は凝華し弾丸となる。名付けて凝華の弾丸(ダイヤモンドダスト)。」


 続け様に指を俺たちの方へと向けてガスを噴出すると、巨大な銃弾のような形状に凝華する。まさに、氷の弾丸。それが一斉に俺たちへと迫り来る。俺は機械剣(アダプター)を引き抜いて前に出ようとするも


「危ない!」


 冰鞠が咄嗟に分厚い氷の壁を作って空間を断絶。壁に当たった弾丸は爆ぜるように砕け散り、霧と氷片が舞う。俺たちは被弾を免れる。


「そんな怪我で戦えるわけないでしょ。少しは安静にして。」


「ごもっともだが、屋上にいるだろうやつらを捕まえて青旗を入手する。そうすれば南高や狩北に優位に立てる。残り時間はあと1時間程度しかない。急がないと間に合わない。」


「……わかった。ちょっと腕出して。応急処置だけど、無いよりかマシでしょ?」


 そう言って冰鞠は俺の右腕に触れると、薄く輝く霜のような氷のコーティングが施される。ひんやり冷たくて、痛みが少し和らいだ気がする。


「サンキュー!後は任せた!」


「待て、星谷世一!」


「行かせない……っ!」


 廊下に出た星谷を追って廊下に出ようとする屋薬を冰鞠は氷弾を飛ばして扉に近づかせない。屋薬はぴたりと動きを止めた。目だけが鋭く冰鞠を射抜いている。


「邪魔をするか氷道冰鞠。以前の君ならこんなことはしなかっただろう。氷の冷徹女王は一体どこに消えたのかな?」


「あなたに言う必要はない。」


「……なるほど。君の性格が変質した理由、なんとなく察しがついたよ。人間というのは、極限状況では心が凍るか、溶けるかの二択しか持たない。君は……溶けたんだな?」


「黙りなさい」


「だが、溶けた氷は、再び凍らせれば脆くなる。」


 そう言いながら屋薬は両手を広げ、両腕の噴出口から白い煙を噴き上げた。先ほどまでの弾丸化とは違う、もっと荒々しく、量が桁違いの噴出。


「面倒ね……!」


 冰鞠が氷壁を三重に築く。しかしその表面がみるみる白く曇り、ひび割れが走った。


「えっ……嘘……」


「気づいたか?ヘリウムガスを混ぜたんだ。ヘリウムガスは決して固体になることのないガス。これを君は他のガスを同時に凍らせて封じ込めたようだが、甘かったな。氷の強度を下げる愚策だよ。」


 冰鞠が一瞬だけ押し返される。屋薬のガスが氷壁の隙間から細く吹き込み、肌に触れた瞬間、冰鞠の体に鋭い痛みが走った。


「いっ……!」


「どうする氷道冰鞠?このまま降参するか、激痛に耐えながら私と戦うか、選択肢はその二つに一つだ。」


「いいや、今決着をつける!」


 冰鞠が踏み込んだ。凍てついた床がきしみ、彼女の足跡を中心に半径数メートルが絶対零度へ沈み、氷は膨張し、教室の半分が氷に覆われていく。


「こいつ、部屋ごと私を閉じ込めるつもりか……」


 そう独り言を漏らすと、屋薬は体から緑色のガスを前方向に噴出する。そしてそのガスから遠ざると、マッチ箱からマッチを取り出して着火する。氷ガラス越しの冰鞠を見ながら笑みを浮かべ


「撤退はやむを得ないか……さよなら氷道冰鞠また会おう。──帰って来なさい(カムバック)。」


 火のついたマッチ棒を放り投げた。マッチ棒はそのままガスの方へと向かって行き、ある程度近づいた次の瞬間、教室内が光に包まれ、世界が白く染まった。視界を奪う衝撃波。耳鳴り。教室の壁が外側へと膨れ、窓枠ごと吹き飛ぶ。


 数秒後、ようやく視界が戻ると冰鞠の目の前には荒れた教室のみ、屋薬が立っていた場所には、紫色の煙のような残滓が、教室の外に向かって細長い筋が大府駅方面へと続いているだけであった。

マジな話すると、サバフォレだけで20話超えそうな気がするんだ。というか現に超えてる。サバフォレ判明が85話だから既に20話使ってるってマジ!?!?テンポ悪すぎないか!?!?一日に詰め込む量を超えてないか!?!?


投稿遅れてごめんね。時間が足りない

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― 新着の感想 ―
こうゆう覚醒したけど負けちゃうみたいなの好き。大好き。 もうここまで来たらそういうシーズンだろ。 遅れても大丈夫ですよ!!焦らしプレイみたいなもん。
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