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乙女ゲームの正統派ヒロイン、いいえ武闘派ヒロインです。  作者: sirosugi
夏休み編

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EX12  傲慢なる男たち

正史版 夏休みのミサさん

忘れがちなこと

マイル・トリダート 宰相の息子で魔法の天才 本編で陰険メガネと言われている人

ノーマン  正史では主席入学した、平民の学生  本編では才能がある程度新入生で名前がでない。

 集団の中央で、ベガが兵士に合図をだす。するとどこからともかく太鼓がたたかれる音がする。

 最初はゆっくりと小さく、その音が届いたほかの兵士が太鼓をたたき音が広がり、そのリズムは徐々に高くなる。

『勇敢なソルベの兵士たちよ。一年で一番の見せ場だ。視力を尽くせ。」

 そんな太鼓の音にも負けないくらい大きく、通る声で父様が叫ぶ。すると太鼓の音が一斉にやむ。

 ゆっくりと音が空気に溶けていくとともに、兵士達の中に緊張感が高まっていく。

 深呼吸をして、気を練る。身体の中に魔力とか気力とかを圧縮し凝縮する。やがてそれが限界を超えて溢れそうなタイミングで森に向かって口を開く。

 次の瞬間には森を振るわせる大音量の雄たけびと、巨大な狼を思わせる幻視。それは森を蹂躙し、多くのケモノや魔物が山向こうへと逃げ出していく。

 ソルベの名物であり、一年で最も危険な行事である「山狩り」の光景に、ミサは息をのむ。

「お父様、どうかご無事で。」

 ソルベの兵たちが強いことをミサは知っている。だがそんな強い兵士たちでも戦えば疲れるし、ケガをすることもあるし・・・・

「だいじょうぶか、ミサ。顔色が悪いぞ。」

 暗い考えに落ち込みそうになると、そっと上着を駆けられる。やや汗とハーブの香りのするライオネル殿下の上着だ。

「あ、ありがとうございます。殿下。」

「体調が悪いなら、中で休むべきだ。」

 私のことを気遣ってくれるのはいいけど、距離が近い。匂いとか視線とかがすごい。

「顔が赤いぞ。やはり。」

「殿下、お戯れがすぎますぞ。」

 あわあわしている私と殿下の間にぬっと入るたくましいうで。殿下の護衛ということでついてきたヘイルズ先輩だ。騎士になる修行の一環とのことで山狩りの見学を志願してたんだけど、殿下がうっかりしないように一緒にいることしたとのことだ。

 うん、殿下は昔から私に甘いからねー。マリアンナ様もいるのに。

「やばんだなー。魔法で一層すれば、楽だというのに。」

「トリダード先輩、それは違います。魔法で焼き払えば山の恵みまで痛めてしまうんです。」

「うう、なるほど。これもまた長年の積み重ねによって最適化されたものということですね。」

「そうです。魔法と一緒です。」

 私との会話で理解を得られたのか、トリダート先輩は満足そうにメガネをはずす。

「ところで、ミサ。僕のことは、マイルと呼んでくださいと言いましたよね。」

 威厳と由緒あるメガネだけど、やっぱりこの人、眼鏡をはずすとドキッとするイケメンだ。魔法の訓練んであれこれと教えてもらっているときに、外す場面があるけど、どきっとするんだよね。

「おい、トリダート。距離が近いぞ。わきまえろ。」

「ははは、それは殿下こそなのでは?」

 まあどうこう言う前に、過保護な殿下が間に入ってくる。

 ヘイルズ先輩もトリダート先輩も、殿下もわざわざソルベの地まで来てくれるぐらいには過保護だ。

 ヘイルズ先輩は騎士として、ラグを失って落ち込む私を心配してくれているし、トリダート先輩は魔法の師として夏休みも教えてくれるらしい。殿下は、うんまああれがだ小さい頃から何かと構ってくるお兄ちゃんみたいだけど、最近はそれが特に顕著だ。

 こうして3人がわちゃわちゃしている中にラグもいたんだっけ・・・。

「す、すごいですね。まるで大きな狼だ。」

 としんみりしそうな私の目に映ったのは、1人真面目に山狩りの様子を見ているノーマン君だった。なにかと縁がある子だけど、夏休みにソルベ領で出会ったのはびっくりした。なんでも山狩りの見学に来たということだったので、このバルコニーに招待したのだ。

「ああなるほど、ああやって囲い込むことで、山の向こうに追い込んでいるのか。」

 おどおどとしつつも、威圧や配置を正しく理解している。ノーマン君はやはり才能があるな。キョロキョロと視線をせわしなく動かしている姿がどこか犬っぽくて微笑ましい。

「そうなの、例えば正面の父様は追い込みのメインね。だから中央から円みたく獣は逃げるんだけど。」

「そうか、半円状に包囲してそれを。」

 うんうん、理解が早い。こうなると私の口も軽くなる。

「ソルベの夏は短いの、だから長い冬の前に実りを収穫して危険な獣や魔物を山の向こうに追い出して、一年の安全を確保するのよ。山向こうには、」

「ふん、獣が危険なら狩りつくせばいいだろうに。」

「あるいは結界でもいいだろ。」

「いやいや、御両人、戦争じゃあるまいし。」

 と話をし始めれば、わちゃわちゃしていた3人がいつの間にか戻ってきていた。

 うん、なんだかんだ、仲良しなのよね。この人達。

「・・・そうじゃないと思うんだけどな。」

「うん、どうしたのノーマン君?」

「いえ、ミサ様の言葉を考えていたんです。それにこれだけ派手にやっても大丈夫なのかなって?」

「ふふふ、そこがソルベのすごいところなのよ。採りつくしたと思っても一か月もすれば元通りになるの。だからこうやって派手にやらないと森と山がどんどん広がってしまうのよ。」

「それはすごいですねー。」

 ノーマン君の新鮮なリアクションが面白い。

 そんなことを思っているうちに、ソルベの力を再認識して、私は父様達を心配する気持ちが少し軽くなって、信じることができりょうになっていた。

 うん、不思議だ。ノーマン君と話しているとホッとする。

 



仕事とか色々ほっぽりだしてミサの元へ集ったのが正史ルート

胃もたれしそうなくらい甘ったるいが、書いてて楽しいのが正史ルート

陰険メガネことトリダート先輩のフルネーム マイル。

・トリダートをよく忘れる作者

そして、本編では名前もあがらないノーマン君・・・。


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