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乙女ゲームの正統派ヒロイン、いいえ武闘派ヒロインです。  作者: sirosugi
学園編

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41 ミサ 1年生 級友と語りたい

れきしのおべんきょう

 学生の本分は勉強である。

 入学してから、いろんな人にもあったし、なんやかんや訓練もしているけど、ソルベの跡継ぎとして必要な教養以上の知識を学ぶことも私たちの役目だ。

「今日は、国の成り立ちについて、授業をしていく。もっとも君たちのほとんどは入学前に学んできた基礎的なことだ。なので今回は、君たちの知識を中心に進めていきたい。」

 私たちのクラスの生徒は全員貴族、先生の言うことはもっともだ。

「まず、国の始まりとして、4家の関係だが、最初に現れたのは。」

「クラウン家です。」

 当てられてた生徒が迷いなく答える。実際常識としてそうなっているけど。

「ラグ君、君の意見は?」

「成り立ちという意味では、クラウン家とロムレス家を中心とした人達がこの王都に移住してきたのが始まりといえるのではないでしょうか。まだ未開拓だったこの土地に住み着いた記念の石碑が王都にあります。」

 王国の開闢以前は、この地域には国と呼べる規模の集団はいなかったと言われている。そんな中、クラウンとロムレスの2家は今の王都を中心に国を興したと言われいてる。そして、クラウン家はその時の移民者のトップ。だから、先ほどの生徒が言ったクラウン家が最初に現れたというのは間違っていない。

「すばらしいですね、先ほどのクラウン家が貴族という上流階級になったのは事実です。ですが、国の始まりはクラウン家とロムレス家を中心とした移民暖と言われているのです。そして最初の移民団のメンバーが今の貴族たち、つまりあなたたちのご先祖様というわけです。」

 なるほどと生徒たちは納得する。ただし先生の言い方は語弊がある、最初の移民団以外にも後から貴族になった人達もいるし、逆に落ちぶれた人もいる。

「王都の城壁の一部は当時に作られた石壁を増築したものです。たしか、メイカさんのご実家でしたっけ?」

「はい、ラス家は石材の加工と鍛冶仕事を生業とし、王都の建築の基礎を支えてきたと教えられています。」

 メイカさんは、クラスで最初に魔法試験を受けた人だ。あの炎の魔法はなかなかに見事だった。それに

「ラス家が作る、鋼は大変上質で、ラス家の人間が鍛えた武器は兵士のあこがれなんです。」

 一流の武器と言えばラス家の家紋が掘ってある。独自の金属加工はきっとラス家の魔法によるものだと思う。一度聞いてみたい。

「ミサさん、ありがとうございます。国の守り手であるソルベの人にそういってもらえると鼻が高いですわ。」

「いえいえ。」

 そして、歴史を語る上で、次に登場するのがソルベだ。

「では、せっかくです、ミサさん、ソルベの始まりを教えていただいても?」

「はい。」

 それこそ、生まれたときから子守唄のように聞いてきた話だ。長くならないように努めなければ

「ソルベはもともとは山間部で生活する少数民族だったと伝え聞いています。夏は山で生活し、雪の多い冬は平野部に移り住み、狩猟と森の恵みを糧に生きていました。時期は不明ですが、クラウン家が移住してから徐々に交流し、今のような形態となりました。」

 山向こうには歴史の古い国があり、その国の人間や山で育った獣や魔物はたびたび王都を脅かしていたと言われている。そこでクラウン家は山に住むソルベと協力し、山を起点とした国境線を作り上げた。

「わかりやすい説明です。ではここで皆さんに質問です。ソルベ領と王都の関係は、防衛という以外に大きな利益が存在しました。それはなんでしょう?」

 先生の言葉に一同が首をかしげる。ただ、私やファルちゃんはあえて黙っている。

「やはり物の流通ではないでしょうか?」

 1人の生徒がおずおずと答える。まあ正解と言える。

「そうです、ソルベから供給される鉱物資源や食料のおかげで王都は食料自給の心配をすることなく近代化できました。逆にソルベは王都での加工品や文化的な支援を受けることができました。」

 まあそれで現代になってもソルベを山猿とかいう不届きものがいるんだけどね。そして満点ではない。

「流通の確立というのはすばらしいことです。ですが、一番は軍事的な安定です。」

 先生の補足に私はうなづく。

「そもそも山からの脅威と王都の南からくる他国の侵攻、お互いが協力することでそれらの脅威に対抗し、軍事的な安定が確保されたのです。」

 そう、そして。

「東側の近隣海域を支配していたファムアットとの同盟が成り立ち、国の体制は盤石となりました。」

 軍事的に安定したクラウン家は東側のファムアットと交流を持つことになった。

「そうですね、ファムアットは近隣海域を支配する集団の一つだったそうです、中央とソルベの支援によって力を蓄えたファムアットは近隣の集団を統一、国としての形を作り上げたと言われています。」

 その言葉にクラスがざわつく。このあたりの歴史はあえて曖昧になっている。

「ファルベルトさんありがとうございます。その通りです。今でこそ王国という形をとっていますが、もともとはクラウン、ソルベ、ファムアットの三国ができ、融合したことで国ができたのです。」

「ほんとなんですの?」

 驚いたのはメイカさんだ。うん、王都出身の人は割と驚く歴史なんだよね。

「まあ、3国が存在したというのを当の3家の人たちがあまり気にしていないというのもあるだけど。」

 ちらっと先生が私を見る。

「国の始まりの4家はお互いがお互いの存在がないと成立しないんです。例えばはソルベはファムアットで捕れる塩と王都での加工技術などがないと生活水準を維持できません。」

「ファムアットは、交易品の取引、あとは新鮮な野菜などの食材の確保です。」

 ファルちゃんと示し合わせて私たちが答えると教室に納得した空気が流れる。

「王都は言うまでもないですね、王都周辺だけで王都の食料事情を賄うことは不可能ですし、海と山の脅威を守ってくだっているのは、ファムアットとソルベとなるわけです。その庇護があるからこそ、王都は生産や文化が発展しているんです。」

 そして、その関係を取り持っているのがクラウン家で、王都の治安を守っているのがロムレスなのだ。

「だからこそ、始まりの4家と言われているんですね。」

 誰が言ったか、その通りである。

「4家の人たちが学園に同時期に在籍してくださっていることは、歴史的にみても大変珍しいです。皆さんもこの機会を大切に、お互いの交流を大切にしてくださいね。」

 先生はそう言って、話を区切った。

 まあ、歴史というのは都合よく書かれたものだ。実際私と殿下は仲がいいとは言えないし、父様とファルちゃんのおじい様は殺し合いをしたことがある仲だ。

 知らぬが仏とは言ったものだ。

国の根幹であるからこその4家 それぞれが国家なので、王国より連合国なのかもしれない。

クラスメイトとの交流編です。

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