EX7 オータム学園、日常の一幕
正史 ゲーム本編より抜粋。
まだ序盤ゆえに、ミサの好感度は微妙。
オータム学園にはいくつかの食堂が存在する、大衆向けの大食堂から貴族や来賓向けの高級食堂。高級といっても学生向けなので、背伸びをすれば一般生徒だって利用できる。ドレスコードが制服というのが大きい。なので私は気分で、いくつかの食堂でお昼を取る様にしている。
しているのだけど。
「おお、ミサ、久しぶりだ。今日も美しいな。」
「ライオネル殿下、昨日もお会いしましたよ。」
「そうだったか、お前と離れている時間はとてつもなく長く感じるんだ。」
甘い顔で、甘いことをいうライオネル殿下は食事中の私の前に当然とばかりに座り、こちらを見つめてくる。なんともむず痒いがその時間もすぐだ。
「お嬢様、お食事を・・・。またいらしたんですか、殿下。」
眉間にしわを寄せて嫌悪感を隠そうとしないラグが私の食事をもって戻ってくる。
「はは、今日もよく働いているな、従僕。」
嫌味たっぷりに返す殿下も殿下で、ラグに対する敵意を隠そうとしていない。
「殿下、いつも言っているのですが、私の心配もほどほどにしてください、マリアンヌ様も気にされていますよ。」
幼馴染の私を気に掛けるという名目で殿下は何かと、私のところへ来ていたけれど、学園へ入学してからその頻度はかなり高くなった。それこそ食事時や放課後など、隙を見ては私の前に現れてあれこれ世話を焼こうとしている。
おかげ、許嫁のマリアンヌ様はいい顔をしていない。あくまで幼馴染としての私を心配していると殿下は言っているけれど、
「そうですね、やはり、誠実さには欠けるかと。」
ラグの言う通りだ。わたしからすれば慣れたものだけど、ほかの人から見れば殿下が私に執着しているとしか見えない。そして真面目なラグとしては殿下のこの言動が気に食わないらしい。
「殿下、お食事をお持ちしまたぞー。殿下―」
そんなことを思っていると、筋肉ムキムキなヘイルズ先輩が3人分のトレイをもってテーブルにやってきた。この人が殿下の取り巻きの1人で、こうして何度か顔を合わせているけど声が大きし、ちょっと暑苦しい。
「ヘイルズ、もう少し声を抑えろ。ミサさんが怯えているぞ。」
そんなヘイルズ先輩に声をかけるのは大きなメガネが特徴的なトリダート先輩だ。宰相の息子さんで本人も学業と魔法理論について高い見識を持っている。一度お話させていただいたけど、話題も豊富で面白い人だ。ただ不愛想なのとメガネが似合っていないのが残念な人だ。この人もよく殿下と一緒にいるの、よく会う。
「これは失礼、ミサ嬢は可憐な乙女だからな、私の姿は少々刺激がつよいか、いやはや失礼。」
謝罪なのか疑いたくなるような発言ののち、ヘイルズ先輩は当然のようにテーブルに座りトレイを並べる。ふんと鼻を鳴らしながらトリダート先輩も腰かける。
「・・・当然のようにここで食事をされるんですね。」
「いっそ、ラグも一緒に食べてくれない。」
気まずいったらない。
「いいえ、給仕も必要でしょうから。」
ダメもとで聞いてみたけどラグは相変わらずで一緒に食べてくれない。あくまで従僕、執事として振る舞うことをやめてくれないのは、悲しい。
「ミサ、それで足りるのかよければ、この肉も食べてみろ。」
「いいえ、大丈夫です。」
とか思っているとライオネル殿下が自分の皿から、肉を切り分けて私の皿に乗せようとしてきて、慌てて断る。油断するとあーんとかまでしようとするから油断ならない。
「ははは、ミサ嬢は華奢ですな、ならばデザートにケーキなど買ってきましょうか。」
昼からケーキは重いですヘイルズ先輩。
「二人とも、落ち着いてください。ミサさんがこまっているじゃないですか。」
止めてくれるのはいいですが、もう少し強くいってください。あとニコッと笑って遠慮しなくていんだよって視線を送らないでください。
そんなこんなでワイワイと食事をするのは煩わしいけど、ちょっと楽しくもあった。ラグもマリーも基本的に一緒に食事をしてくれない。マリーはお願いすればしてくれるけど、ラグが生真面目にうるさいのだ。
だからこそ、殿下たちがこうして気を使ってくれるのはありがたいし、つい甘えてしまう。
よくないとわかっているけれど、1人で食事は寂しいのだ。
「そう、憂いた顔をするなミサ、可愛い顔が台無しだぞ。」
まるでお兄ちゃんのような殿下の言い方に私はくすりと笑う。
「おお、ミサ嬢が笑うと空気が華やぐな、では先日の訓練中の武勇伝でも。」
「やめろ、ミサさんを怯えさせる気か、それよりも、先日話していた地理学の授業はどこまで進んだですか、よければ予習に付き合いますよ。」
「ええっと。」
さて、どちらの話を聞こう。
【 トリダート先輩と地理学の話、ヘイルズ先輩の武勇伝 殿下が見ている。 食事を済ませる】
選択は・・・
ヘイルズ、トリダートも実は攻略対象です。下心がバレバレ。
→初手から色んな意味でボコられているので恋愛対象として見ていない。




