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乙女ゲームの正統派ヒロイン、いいえ武闘派ヒロインです。  作者: sirosugi
学園編

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33 ミサ 女子会をする。(前半)

 楽しい女子会

 今日も今日とて、私とファルちゃんはマリアンヌ様のゲストハウスにお呼ばれされていた。淑女としての振る舞いのおさらいとの名目だけど、実際はマリアンヌ様がメイナ様や私たちとまったりと過ごしたいというのが本音だと思う。

「日々確認しないと私の心臓が持たないからですわ。」

 可愛がってもらえるのはうれしいけどマリアンヌ様はちょっと過保護ではないだろうか。なんとなくだけどお稽古中の母様に似ている気がする。

「ところで、今日はの茶菓子はミサが振る舞ってくれるとのことだったけど。」

 それでいて、新作の甘味については興味深々なところは女の子だと思う。

「ふふふ、任せてください、我らがソルベのジェラートは先日、革新的な進化を果たしたんです。」

 そういってパチンと指を鳴らしすと控えの間にいたベルカろラニーニャが銀の蓋でかぶった器を持ってくる。これは私の魔法で冷やした特注品だ。

「あれは、ミサさんは魔法の使い方がホントに繊細ですばらしいですね。」

 目ざとく気付いたメイカ様は魔法に注意を取られてしまったけれど、今日の本命はこれではない。

「では、マリアンヌ様、お約束通り、一名、ここに招待したい人がいまして。」

「ええ、ミサが招待されたかたなら、構わないわ。」

 本来、ゲストハウスは男子禁制である。学園側と家主の許可、何より招待される側の男性に信用がないといけない。ただ、あの人はそれを余裕で突破するだろう。

「マリアンヌ様、お客様が、いらしゃっていますが。ミサ様からの紹介状もお持ちでしたが。」

「ええ、お通して。粗相のないようにね。」

 一言添えたマリアンヌ様は、メイドさんが微妙に緊張していることに気づいていた。さすがのマリアンヌ様のお付きの人でも男性が来ると緊張するのだろうか。

「この子は、自分のしでかしたことの大きさに気づいてないのね。」

「ええ、そんなに男性を呼ぶのって問題なんですか?」

「ちがうわ、招待した相手のことよ。聞いてた通りなら。」

 何か言いかけたタイミングで、すたすたと早足で誰かが近づいてきて、協力者が現れた。

「ミサちゃーーーん、来たわよ―――。」

「わーーーい、ローちゃん。」

 テンション高めに登場したローズさん、あらためローちゃんは今日は一段と可愛らしかった。基本は男子用の制服だけど、袖と襟ぐりにはレースやフリルでふんわりと飾りがついているし、ところどころにお星さまや動物などが下品にならない程度にあしらわれている。

 そんな可愛いかっこをしたローちゃんが私を見つけると嬉しそうに駆け寄ってきて、私と手を握ってキャーキャーと跳ねているのだ。無礼講と事前に約束しておいてよかったと思う。

「ほんとにライナー様とお友達になったんですね、ミサさん。」

「メイナ―さま、この人は。」

「ファルさん、ジェネット化粧品って知ってる?」

「はい。」

「あの人は。ライナー・ジャネット。ジャネット商会の跡継ぎで、学生でありながらジャネットの美容部門を立ち上げた人よ。」

「えええ、あの人前にでないで有名なジャネット商会の人ってことですか。お義姉様、いったいどうやって。」

 何やら後ろが騒がしいけど、これから、私とローちゃんによってもっと驚くことになるのだ。

「おっと、失礼しました、マリアンヌ様、ライナー・ジャネットと言います。当紹介のことをご存じのようで光栄の至りです。」

 急に態度を変えてローちゃんはマリアンヌ様たちに膝をついて挨拶をする。これは男性が立場が上の人にする最上級の礼である。そして、ローちゃんの本名はライナーだが、可愛くないのでローズと名乗っているらしい。

「この場ではぜひ、茶を楽しむ相手として、ローズと呼んでください。」

「ら、ローズさんお久しぶりです。このような場ですが、会えてうれしいですわ。」

「メイナ・ラシェードです。ジャネットの商品はいつも愛用させていただいています。お会いできて光栄ですわ。」

「ラシェード家の魔法理論は当家の商品開発にも活用させていただいています。一度ゆっくりとお話したいと思っています。」

「ファルベルト・ファムアットです。よろしくお願いします。ローズ先輩。」

「あらー、ミサちゃんのいう通り、とってもキュートな子ね。おっといけない。よろしくお願いします。学内の事はそれなりに詳しいので何かあったらいつでも頼ってね。」

 うん、さすがローちゃん、あっさりと溶け込んでいる。

「じゃあ、ローちゃん、準備は?」

「ばっちりよ。」

 私は銀の蓋をもつと、ローちゃんも持ってきた鞄からいくつかの瓶をとりだした。

「まずはシンプルにストロベリーで行こうかしら。」

 大皿にこれでもかと盛られたソルベは事前に用意しておいたもの。ローちゃんは備えてあったスプーンで一口大の大きさによそって用意してあった瓶からソースをかける。

「あら、これは。」

「白のソルベに赤いソースが美しいです。」

 ローちゃんのその動きに女性陣の視線が釘付けになり、私は勝利を確信した。

「ソルベのストロベリーフレーバーです。」

 そういって出されたのは、新作ソルベ。といってもソースをかけただけど。

「はあ、ソルベの濃厚な味とベリーの味が引き立って。」

「口に入れた瞬間に香りが広がるのが素敵ね。」

「ソースが少し温かい、これは魔法ですか?」

 各々に感想を言いながらもバクバクと食べる3人に、私とローちゃんはにんまりと顔を見合わせた。

 ローちゃんの温室が気に入った私はその後も何度か通いながら、温室の植物の活用法を色々と話しあっていた。そのとき手土産にもっていたソルベを気に入ったローちゃんは、温室の果物やハーズなどで作ったソースとの組み合わせを思いついて振る舞ってくれた。

 これが革新的においしかった。ソルベを食べなれていた私やベルカ、ラニーニャは即座にトリコになった。そして、あらたな味の可能性や、可愛いさを追求していくうちに、私たちはミサちゃん、ローちゃんとお互いをチャン付けするくらい仲良くなった。

「やったね、ミサちゃん。」

「やったね、ローちゃん。」

 これは売れる。明らかな商売のタネを前に私たちの目は金貨であふれていた。


書くだけ書いて投稿忘れててすいません。一日遅れてしまった。

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