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乙女ゲームの正統派ヒロイン、いいえ武闘派ヒロインです。  作者: sirosugi
学園編

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38/195

31 ミサ 12歳 マニアに会う。

登場人物が増えていく・・・

 なんやかんや初日の試験が終わった私とファルちゃんは、再びマリアンヌ様のゲストハウスに招待されていた。もとい連行された。

「二人とも、学園の試験はどうでした?」

 朗らかに笑いながら問いかけるマリアンヌ様だが、その目はこういっていった。

『何か、問題は起こしてないでしょうね?』

 うん、素晴らしき信頼である。

「ばっちりです、だれもけがせず実技は満点をいただきました。」

「一応、貴族としての矜持は示せたかと。」

 だが、だれともトラブルを起こしていないし、実技も学科もラグと一緒にトップの評価となった。もっとも学科に関して言えばこれまでの積み重ねの重みが違いすぎるので当然と言えば当然であるけれど。

「そう、まあアナタたちなら大丈夫よね。でも偉いわ、頑張ったわね。」

 ニコニコとマリアンヌ様がほめてくれるがちょっと複雑そうだ。

「成績に関して言うならば、今年度の貴族たちは優秀ですわ。推薦分のハンデがあったとはいえSクラスを独占しているわけですし。」

「ええとマリアンヌ様の代の方々は。」

「同世代が少ないというのも歩けれど、Sクラスの比率は半々といったところね。入学して一年でかなり入れ替わったのよ。」

「それだけ、優秀な人が多いとも言えますよね。」

「いや、入学してからの熱意が低いのが多かったのよ。殿下とお近づきになれたと思って満足している人が多いの。」

 なるほど、実力は大事だが、次期王という最大のコネを持ってたと油断している人もいるわけだ。

「情けないばかりだわ。」

 まあ、将来のトップ2と同じ学び舎にいる、それだけでも自慢できるとも思えるけれど。なにかと苦労が絶えないのだろう。

「まあまあ、マリアンヌ様。素晴らしい新入生が入ってくれてよかったじゃないですか。それより早く紹介してください。」

 そんなどんよりとした空気をはらうようにほわほわした声がして私たちが視線を向けると。どこかフワフワとした女生徒が私たちを見ていました。

「メイナ、まあいいわ。」

「へへへ、ありがとうございます。」

 短いやりとりで気の置けない関係だとわかる。だけご、マリアンヌ様の豪華なイメージに対してこの人はどこかおっとりというか、地味だ。

「こほん、ミサ、ファル。この子は、メイナ・ラシェード、私のクラスメイトよ。」

「「よろしくお願いします。ラシャード様。」」

 紹介されてから私たちがそろって挨拶をする。

「ミサ。ソルベです。ラシェード様の文献は何度も拝見しています。」

「ファルベルト・ファムアットです。 高名なラシェード家の人に会えて光栄です。」

「いえいえ、私は末席ですし、本を書いたのは祖父ですので。」

 ラシェード家と言えば、魔法研究の最先端を担っている研究家として有名なのだ。私たちが得意とする魔法の運用法や身体強化などの一般化や魔道具の活用などは数代前のラシェードの人間が発表した論文がもとになっていると言われている。

「さすがね、有名な家名とはいえ、すぐに気づくとは。」

 クスクスと楽し気に笑うマリアンヌ様。自然とリラックスできる関係なんだろう。

「で、ラシェード様は。」

「メイナでいいですよ、お二人のことは、マリアンヌ様から話はよく聞いてますから。」

「ちょっ。」

「妹が二人もできたから、自分も負けてられないって。」

「メイナ、やめなさい。」

「ええ。」

 顔を真っ赤にするマリアンヌ様に私たちもほほが熱くなった。あれだ正直妹と思ってもらえるとうれしくてほほが緩みそうになる。

「ふふ、仲良しさんですねー。」

 メイナさんはそんな様子を見ながらこっそりウインクをしていた。どうやらからかっているらしい。

「なによ、二人と話をしたいといったのはメイナでしょ。」

「そうでした。お二人とはぜひ魔法についてお話をしたいと思っていたんです。というかできたらソルベとファムアットの魔法を見せてほしいです。」

 話題を思い出したのか、メイナさんぐいっと身を乗り出していってきた。

「魔法における三種の性質変化は、ある程度資質のある人ならだれでも使えます。ですが、4家の魔法はその常識が通じないもので、研究者の末席にいる私としては興味が尽きないのです。」

 メイナさんが言っていることは学園をはじめ、学びの過程で知ることの一つだ。

 この世界に生まれた人間は大なり小なり、魔力を有し、それを活用することで過酷な自然の驚異に対抗している。建国の祖である王族や貴族の人間は代々の研究によりその訓練法を独自に体系化している。

 私もファルちゃんもそれぞれの家で幼いころから教育と訓練を受けている。

 一般的な運用法としては、魔力による強化と魔力の性質変化が存在する。

「火、水、風、三種の性質変化については理論が確立されています。魔力を燃料として発火という現象を起こす火の性質変化に、魔力によって流体や気体を動かす水や風の性質変化。それは世界の理をある程度理解して魔力を知覚できれば実現かのうです。一方で強化に関しては身体的な才能がものを言います。訓練を重ねた兵士の中には性質変化はできなくても身体を強化して運動能力を上げたり、回復を早めることができます。」

「そうですね、性質変化が周囲の魔力を操るのに対して、強化は自分の中にある魔力を操る技術だから、別物というのが論文にもありました。」

「ふふ、ミサさんはしっかり勉強されているようですね。そう性質変化というのは自分の魔力で周囲の魔力を操作するすべとされています。だからこそ、魔力の性質変化は基本の3種類しかできないと言われているんです。料理に例えるならば材料が決まっているといったところでしょうか?」

 肉しかないところで焼き魚は作れないということだろうか?そこまで考えて魔法を使ったことはないので、メイナ様の例えは分かりやすくて興味深い。

「ですが、私たち4家はそれぞれに特殊な魔法を持っていますよ。とくにクラウンとロムレスの魔法は、それだけで状況を一変させるほどですけど、マリアンヌ様もライオネル殿下も普通に使えていますよね。」

 そう疑問を口にしたのはファルちゃんだ。実際、私たちの魔法に比べてクラウンの音魔法とロムレスの電気魔法は特別な気がする。

「ふふふ、それはソルベとファムアットの魔法が似た性質を持っているからだと思いますわ。」

 話をさえぎってもメイナ様は止まらない。

「今の時点の理論ですが。ソルベの氷というのは水の液体操作の延長であるというのが人気の仮設です。水は冷やせば氷になりますよね。これは火の発火による温度の変化と水の応用ではないのでしょうか?ファムアットの人々の魔法も風と水を同時に扱っていると考えることができます。クラウンの音魔法、これは高度な風の性質変化ではないか、ロムレスの場合は水と火と風の複合による電気の発生が実験で証明されています。」

「実験というか、私も含めて多くの学生を巻き込んで魔法をバカみたいに発動させたからでしょうに。」

「ちょっと待ってください。マリアンヌ様も。」

「ええ、殿下も一緒になっていたわ。」

 とんでもない話である。

 魔法の運用法や訓練法はそれぞれの家の財産であり、その教育は一子相伝であり、家族かよほど信頼のおける相手からしか教えを受けられない。というのが常識である。

 学園でともに学んでいるとはいえ、4家の人間を巻き込んで、4家の魔法を実証しようとした。いや、実証できてしまったということだろうか。

「まあ、実用にたるものではないわ。複数人で基本の3種を同時に発動させて似たような結果が観測できたというだけです。例えば低温の水を発生させて、風で徹底的に冷やしたら氷になった程度だからね。そこまで怖いことはしてないよ。」

 ふふふと、そう言い訳するメイナ様の顔は怪しい笑みに変わっていた。

 ああ、これやばい人だ。

「ですが、4家の人たちはそれらの現象を一人で起こしいます。それもかなり実用的な形で。それはそれぞれの人たちに受け継がれている素質的なものなのか、秘匿されている訓練法なのか。あるいは別の要因が伴っているからなのか。私、気になるんです。」

 その好奇心が、4家、とりわけ王家に対する不敬、下手したらこの国の基盤に対する反乱とも取れてしまう。

「わかってます、わかってますよー。この好奇心の追及の危険さは。私も早死したくないですしー、国が揺らいじゃうのは困りますから。でも嫁入りや養子に入ったかたがたも使えるようになるなんて、気になるじゃないですか。」

 ほんとにわかっているのだろうか、そう思ってマリアンヌ様を見るが、どこか遠い目をしていた。

「ちなみにですが、国王陛下からは、ラシェードや研究者が自力で理論を確立する分には何も言わないっとのことですよーー。」

 ガチだよ、この人。

「ミサ、ファル、こんな子だけど、仲良くしてあげてね。ちょっと、いやかなり魔法への興味が強いから迷惑をかけると思うけど、常識の範疇を超えることはないから。あと、ほかの学問への造形も深いから学科で困ったことがあったら頼りになるわ。」

「ふふふ、こんな私ですが、学科では学内でも上位ですからね、頼りにしてくださーい。」

 やれやれと首を振るマリアンヌ様に、すまし顔のメイナ様。なんというか癖が強いお二人だけどだからこそ仲良しなんだろう。

「はい、改めてよろしくお願いします、メイナ様。魔法の話もとても面白かったですし、いろいろ教えてください。」

 だからこそ私はまっすぐにメイナ様を見てそう答えた。

「あれ、マリアンヌ様、ちょっとこの子心配なんですけど。私わりと。」

「わかっているなら、もう少し態度を考えてください。それとミサ、わかっているの?」

 二人はきょとんとした後で、なぜか心配そうな顔になって私を見返してきた。

 不本意だ、私もメイナ様の話が、危険なことは分かっています。

「メイナ様が頼りになるからだからこそ、マリアンヌ様はご紹介してくださったんでしょ。ということはマリアンヌ様が信頼されている人ということです。なら、私はメイナ様のことも信じますわ。」

 マリアンヌ様が悪意のある相手を私に紹介するわけがない。きっと私たちのためになると思ったからこそこの場を作ってくれたのだ。

「マリアンヌ様、この子、可愛すぎません?」

「でしょ、私の自慢の妹だわ。」

 思いが伝わったのか、その後の二人はとてもゴキゲンだった。

 

 魔法系の話をするために、魔法マニアなメイナさんがエントリー

 そして、学園編なので、ヒーローもライバルもまだまだでます。

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