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乙女ゲームの正統派ヒロイン、いいえ武闘派ヒロインです。  作者: sirosugi
11歳

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24/195

19 ミサ 11歳   丸め込まれる

 4家の子息がそろったので、ちょっとだけ真面目な話?

 応接室は何とも言えない空気になっていた。

「ちょっとアナタ。なんですのこの髪は、元がいいのだから手入れはちゃんとなさい。」

 私の髪をいじりながらマリアンヌ様は私の髪に櫛を通す。

「すみません、今日は訓練の後だったので。」

「いえ、これは普段のものですね、寝起きに手入れをしていないとこのような癖がついてしまうんですよ。」

 ここまで徹底して身だしなみを指摘されたり、直されたりしたのは生まれて初めてだがそれが嫌ではない。母様にもここまでされたことはない、年が違いからだろうか、それとも憧れる女性だからだろうか、ともあれ私は、私史上、もっとも緩み切った顔をしていた。

「ラグ、あれはミサなのか、別人じゃないか?」

「いえいえ、ライオネル兄さん、入れ替わる隙は無かったです。」

「ラグ様、それはさすがに、ですがあんな緩んだ顔のお義姉様初めて見ましたわ。」

 ラグたちも驚いているが、私自身も驚いている。

「ところで、そちらの方がラグ・ソルベ様でよろしいので。」

 不意にマリアンヌさまがラグに水を向けると、ラグは一瞬硬直してからマリアンヌ様に頭を下げる。

「お初にお目にかかります、ソルベ家の長男であるラグ・ソルベです。マリアンヌ様のお噂は姉上やライオネル殿下からよく聞いておりました。お会いできて光栄です。」

「あら、私の噂ね、どんなものなのかしら。」

 ウフフと笑うマリアンヌ様、私は家のこととか陛下との関係しか話していいないから、恐らくは陛下が。

「おいおい、あまりラグをいじめないで上げろ、お前の方が年上なんだから。」

「あら、私に聞かれるとまずい話でもされているのですか?」

「そ、そんなことはないよ。」

「そうです、陛下はマリアンヌ様をこれでもかというほど褒め称えています。美しい顔だとか、自分に足りないところを補ってくれる理想の伴侶だとか。」

「やめろおおおおおお。」

 ちっ 漏れた舌打ちは私とファルちゃんだ。

「お二人とも、いくら見苦しくても淑女が舌打ちなんてものはするものではありませんよ。やるとしても人前ではおよしなさい。」

「はい。」「はーーーい。」

 そして、即座に窘められる。だがマリアンヌ様もどこか呆れた様子だった。

「陛下の失態はともかくとして、このように、4家が揃ったんですから、楽しく交流いたしましょう。」

 そういって、そそくさとお茶を入れ直し始める。なるほどお茶の淹れ方まで絵になるな。

「ふわ、この紅茶美味しいです。マリアンヌ様」

 味も一級品だった。気づけばファルちゃんもマリアンヌ様にすり寄っていた。

「そうですか、舶来のお茶を届けてくれるファムアットの貴方にそういっていただけるなんて、うれしいですわ。」

「これはソルベの特産のお茶ですが、淹れ方一つでここまで風味が変わるものなんですね。」

「適当な温度と蒸らしの時間というのは、タイミングですからね、たた産地で飲むお茶は別格ですね。」

 うふふ、お茶の話で盛り上がるなんて、女子っぽくっていいわ。

 陛下が来るとどうしても殺伐としてしまうし、なによりうるさいのだ。

「で、陛下はラグ様に夢中なようですが。」

「ああ、いい訓練相手だって、理由をつけて事あるごとに遊びに来てますねー。)

「なるほど、遊びにですか。」

 微笑みながらも殿下を観察する目は厳しい。まあ、ここに来たら、遊んでるだけだからなー。

「ち、ちがうぞ、ラグには将来的に近衛に迎えようと思っているんだ。将来の側近を鍛えるためにだな。」

「陛下、それはソルベへの宣戦布告ですね。」

「ライオネル殿下、その話はお断りしたはずですよ。」

 その企み、もとい言い訳はソルベ姉弟としては了承できない。なんなら、ファルちゃんも敵に回しかねない。

「まったく、以前から申し上げていますが、ラグ様はソルベの人なんですから、引き抜きは無理ですわ。今となってはソルベだけでなく、ファムアットまで敵に回しかねませんよ。」

 てっきり、陛下側だと思っていたマリアンヌ様もこちら側だったようだ。

「まったく、これでミサ様の愛らしさにほだされたとかならまだ納得ができるものですが。将来の王となるべき人が、一人に執着しすぎるのはいかがなものだと思いますよ。結果として、私やミサ様、ファルち様にまで迷惑をかけることになっていること、わかっているのですか。」

「し、しかし、ラグの才はおしいぞ。」

「それこそ、ソルベという重要な場所を任せるに足る人物でよいではないですか。無理に王城に招いたところで、余計ないざこざに巻き込まれるだけですわ。」

「うっ。」

「そもそもですね、殿下。ご友人を大事にされることは問題ありません、ですが、一方的に肩入れをしすぎることもこの際はよしとしても、もう少し配慮なさってください。来年ラグ様達が学園へ通われたとき、余計な嫉妬や期待を背負わせるつもりなのですか?」

 だんだんとヒートアップしていくマリアンヌ様。

 すごい。

「すごいですね、言葉だけで圧倒していますわ。理屈も通ってますわ。」

 私とファルちゃんはただただ、圧倒されてしまった。

 なお、そのままリカッソ達が目を覚ますまで、マリアンヌ様のお説教は続くのであった。

 マリアンヌ様は第一印象で攻略されました。

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