第15試合の前に―― コンビニなどの商品活用 6
「今度は揚げ物を始めます。その前に揚げる下ごしらえをしなきゃですけどね」
有音はまずハムを半分に切る。春巻の皮にまずハムをのせ、<マカロニサラダ>ものせて包む。端は水をつけて止める、餃子の皮と要領は同じの様だ。
「揚げ物に適した180度くらいの温度になりました。さて、揚げようかな」
それを見に来た真奈と想。先輩《真奈》は心配ないと判断して一応想に注意をした。
「揚げ物に近づきすぎないでね。揚げるという作業で怖いのは火傷だから。料理が上達中の想君には今更でしょうけど」
その有音から受けた忠告を想は改めての教訓として受け入れる。
「いえいえ、慣れると油断が産まれたりしますから。今一度火傷をしない心構えをしたいと思います」
想が律儀に返事してくれるので、有音は教える側の気持ちを味わえた。
「想君ありがとう。そうだ、せっかくですから真奈先輩、手伝ってもらえますか?」
「ええ、もちろんよ」
真奈に少しだけ揚げ物を手伝ってもらっている内に<マカロニサラダ>を使用した飲み物を手早く作る。
「豆乳400ccと水200ccの中にマカロニサラダ400g+顆粒コンソメ小さじ4を沸騰してとろみがつくまで温めるだけです。味付けは塩こしょうとお好みでパセリをどうぞ」
これで『マカロニサラダ豆乳ポタージュ』の出来上がり。すぐに揚げ物を作る工程を代わった。
「お待たせしました。すいません、便利に使っちゃって」
「構わないわ。油は誰かが見ているか、火を消して別の事をするっていうのが普通なんだから。ついでだから私と想君もこの春巻きを揚げてみちゃった」
有音は真奈と想の好意に対してお礼を言う。
「別に狙っていないのに協力作業になっちゃいましたね。どうもありがとうございます」
揚げ物に使う菜箸を想から渡してもらった。
「お2人とも良い揚げ具合だな~。よーし、私も負けませんよ」
何度も作るようになってきたからか、有音は数個まとめて揚げて取り出すという作業を着実にこなしていた。菜箸でつかむ力が少し足りなくて『マカロニサラダ春巻き』を落とし、ほんのちょっと焦げ目がついたというのはご愛嬌である。
これで5人が作った料理の内訳は『ご飯もの』5点、『スープ・汁物』が2点という事に。新しく『おかず系』2点が食卓に並ぶ事が決まった。
「次は奏か込流さん? それとも香理ちゃんかな!?」
一時的に玉ねぎを冷凍したもの=目に染みなくなる を5mm幅くらいにスライスしていた奏が返事をする。
「それじゃあ僕が作る丼を見てもらうとするよ。鶏肉で作るカツ丼って感じかな?」
まずは玉ねぎを5mm幅に、三つ葉を5cm幅にカット。それから鍋に水とめんつゆを100ずつ入れて、玉ねぎと一緒に約5分中火で煮込み。
「丼のつゆもご飯に染み込みそうで美味しそうだね。今回、僕は炊飯器をフル活用する予定なんだ」
奏が作っている最中の料理を本当に美味しそうだと思っている様子の込流、自分が作っているものをどう思うかと奏に問う。
「お米2合分にしょう油大さじ2と焼き鳥の缶詰で味付けするだけなんだがのぅ、トッピングは青ねぎと海苔だけじゃ」
「良いんじゃないですか。コンビニ食材で軽く作れるのは料理下手にも助かるでしょうし。さて、煮こむ時間はこれ位かな」
込流への返答の後で奏は鍋に鳥のからあげを投入、卵2個分の溶き卵を回しかけて器に盛ったご飯にのせる。




