第15試合の前に―― コンビニなどの商品活用 1
夏~秋にかけて10試合目から14試合目までつつがなく収録終了、今回はいつもと違ってすでに番組側より勝負ではないと事前連絡が来ていた。普通なら15試合目が開始される所なのだが、また出演者全員で料理を作るSP番組の様なものを収録するようである。15試合前に出演者達による楽しく実用的な料理が見れるのではないだろうか。さて、寒くなってきたこの時期ならではの料理が見れるのかそれとも?
事務的な料理はちょっと……という大きな転機となるお話から出演者全員が抱くようになった感情は『料理を楽しく』それから出演者各自が得意分野で勝負が決められるようになりたいと考えるようになったと思われる。
「有音ちゃんの料理に対する悪い気の持ちよう問題の次の週に私と香理ちゃんで対決したんだったわね」
過去を振り返る料理研究部部長《真奈》にどうしたんだろうと思う部活メンバー達。そこまで気にする事はないかなと有音が奏達にも確認、総意が得られたので話の続きを聞く事にした。
「そうでしたね! あの時から料理審査基準が厳しくなった気がして……」
「結果的に私と香理ちゃんの試合だけ50点位、その試合の後の平均は55点近かったわ。11試合目後の3試合で私に出番が回ってこなかったから今は料理を作っている最中にこのままでいいか迷ってしまう時があるの」
真奈部長が料理に自信を持てずに迷っているなんて気付けずにいた。誰とも普段通りに接していたから。特に有音は学校の部活で一緒にアレンジ料理をしていたから励ませなかった事実が残念でならない。
「真奈ならあまり心配しなくても問題なさそうだけど何かあったら言いなよ」
「うん。ありがとね。助けが欲しくなったら言うわ」
料理研究部の4人はこの後、雑談をしながらケーブルテレビ局入り口にやって来た。彼らは時間に余裕があるので何となく他の皆を待つ事にする。
「あれ? おはようございます。皆さんどうしたんですか?」
最初に彼らのいる場へ来た香理が疑問に思うのも当然だろう。奏達が暇を持て余している感じだったので。特に隠す事もないからこそ奏が待機理由を話した。
「理由といった理由はありませんでしたか。私一人だけ先にスタジオ入りする気がしないので私もここら辺にいようかな」
そうだと思った有音は、香理に『真奈について』話しかける。
「香理ちゃん、いいかな?」
「はい、有音さん。何でしょう? (事情を聞いて)私はあの時の評価からチャンスをもらったから自信を取り戻せそうですが真奈さんは……ですか」
話を聞いて真奈との会話を試みる香理。真奈は評価を上げない限り、自信を取り戻せそうにないが気持ち的には楽になった気がした。
「うん? 何かあったかのう。集まっていると気になるのだが」
適当にガラケーやスマホゲームなどをプレイしていたり、料理の発想でも浮かんだのかメモ帳に何かを書いている奏達5人。その中から代表で奏が込流に伝える。
「せっかくだから高美さん以外の出演者全員でスタジオ入りしようかと思いまして」
実際理由なんてないのだが、奏は適当な理由をでっちあげた。
「皆さん、偶然ですね。よろしかったら一緒にスタジオ入りしましょう」
奏が中心になって話を合わせた。偶然なら偶然――理由を作った方が会話を続けやすそう等、話の流れを決めた方が会話を続けやすいと判断したからだ。




