第14試合目 6
一方の風良による仕上げはというと――。
こだわりぬいている土鍋のご飯をよそって、冷蔵庫から『中華風つけ麺』を取り出す。番組で用意してあるかき玉スープをつけて。
「両者とも完成したみたいですね。どちらの審査が先になるでしょうか」
結局、先に審査してもらうのは風良になったようである。そのため奏が『審査待ち料理テーブル』に置いて待機中。
「ご飯はラーメンライスとかがあるように合うのはわかりきっているが」
審査委員長は全体的な見た目からして変わったところはなさそうだと確認した上で味見を始める。
「ひき肉メインの麺という点は担々麺を思い浮かべさせられるがね、スープはまったく異なるしょうがスープだのう。具もシンプルに長ネギときゅうりのみか。なかなか乙な味わいじゃわい」
つけ麺のスープをかけるとご飯が美味しい、かき玉スープを飲めば口の中をリセット可能。試食分を食べて清達に視線を送った。
「このつけ麺スープ、風味も良くて飲むとピリッとした辛さを感じるね」
「ついご飯だけ食べちゃったわ。おかわりをもらいましょ。つけダレと違うけど、かき玉スープに麺をからめるのも良いかも」
清による審査と高美による審査が終わった。変わった麺=あまり作る人のいない麺料理と判断した風良の考えは的を得ているかどうかしばらくしたらわかるだろう。
風良の料理をメモした審査員達は採点に活かすだろう。彼の料理を試食完了という訳で番組スタッフによる撤去が行われた。今度は奏の料理が試食される番だ。
「ラーメンサラダだけだと普通に美味しいだけじゃな。しかし、この丼とスープがある事でワンポイントアップしている感じか」
ねぎ丼を食べてからラーメンサラダを食べると食感を楽しめるとかあり、少しばかり笑みを浮かべた。こっちはこっちで興味深いぞと清達に試食をゆずる。
「ラーメンサラダを食べるタレはフレンチドレッシングだけじゃなく、他にもあるんだね」
他にもゆずしょう油とか、ごま味噌醤油という簡単に作ったタレで味わう方法に気づいてもらえたので奏は良かったといった表情でうなずいた。
「丼の具がシャキシャキで、ご飯の甘味が引き立ってるし。麺の長さは手作りならではね」
何か私、ご飯についてばかりを気にしているようなという様子な高美に、奏はご飯の甘味を強める方法が成功したかなと一定の満足感を味わう。
まずは審査するのに必要な量を食べた3人の審査員達。電光掲示板の採点ボタンを押す準備が完了していそうな所で司会者が先に進めた。
「珍しい麺料理を見せてもらえました。どういう結果になったか皆さんも気になりますよね? もちろん私もどうなるのか注目しています」
電光掲示板にて、まずは味の評価が表示された。それからすぐ独創性の評価も出る。




