第13試合目 2
奏の意見を聞いて、風良は大舞台に強いタイプなのかなと思う。
「僕は今回売り子と片付けメインだったよ。ヘルプで作る機会はあったけど短時間だけ。そういう役割に徹したんだ、でも誰かがやらないとって事だからね」
文化祭の話をケーブルテレビ局につくまで(電車に乗ってケーブルテレビ局までの移動間)続けていた奏達。文化祭で様々な料理を食した感想などもあってまだ話は尽きそうになかった。
しかし、ケーブルテレビ局の受付前に来ると、番組主演になる可能性がある緊張感で一旦話を打ちきって番組に備えたくなる。
スタジオに到着すると、審査員以外の全員が待機していた。今回はスタジオへ来るまでに文化祭の話で盛り上がっていたからか番組開始5分前というそこまで余裕もない時間に準備完了。今日はスタジオセットを確認する時間が無さそうだ。
「おぉっ! 今回は珍しく遅かったのう。ぬし達とはやはりこの話題か。君達の学園の文化祭は興味深かったタイ」
ガタイの良い体を揺らして豪快に笑っている込流がその後で友好的な態度で文化祭の話題を出してきた。性格の関係かどことなく気が合う風良が返答する。
「そういう日もあるさ。僕は文化祭で接客役だったから、今日出演した場合は真価を発揮したいね。まっ、冗談だけど」
どこまでが本気の発言なのか、真意をつかみづらい。料理をしたいという点だけは偽らざる気持ちっぽいが。
「選ばれれば良いと思うタイ。じゃあの」
風良と込流で軽く拳をぶつけて健闘を祈った。
「僕も出演したいな~。僕の作った料理を観客が感心したりしながら見ているあの興奮よ再び」
「そんな事をいったら僕も同じさ。文化祭でほぼ料理する時間がなかった分、こういう場面で料理を作りたい!」
真奈達も逆側で香理達に話しかけられていた。
「学校によって違うと思いますけど、有音さん方の学園の文化祭は魅力的でした。未来の進学先候補ですね」
大人びた意見を述べる香理、彼女と比べると想の年相応な意見も子どもっぽく聞こえる。
「僕は単純に屋台で料理を作ってみたいとか接客をしてみたいとも思っちゃいました。後ですね、真奈さん達が来る前に少し話をしていたんですが僕も香理ちゃんも皆さんに触発されて早く真剣勝負の場に出たいよねって話をしていました」
どうやら調料学園の文化祭は料理人を目指す者達の魂に火をつけてしまったようである。
「なるほど。やっぱり楽しく料理を作っている人を見たら自分もって気持ちになるわよね」
真奈と有音がそう言うと、想と香理がうなずいた。
「皆さん談笑してますね~。もしかして調料学園で開催されていたという文化祭のお話でしょうか。だからですね、あなた達全員にやる気の強さが見受けられる気がします」
ちょうどこれから会話が弾みそうな時に司会者の司会命がスタジオ入りした。審査員の3人も席について番組開始待ちなので一旦会話をする者もいなくなる。
「まだ話をしていたい気持ちもあるかとは思いますが、ご協力ありがとうございます。おかげで滞りなく番組進行出来ますよ」
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最後にアルファポリスのwebコンテンツ大賞に参加してみましたというお知らせを忘れてました(汗)




