第12試合目 5
審査の前にいつものごとく料理のコメントをもらった。審査員がいつでもどうぞとばかりに審査員席で待機してくれている、彼らにそうしてもらっていると司会者としてはやりやすい。
「食べる分だけ食べていただきました。各審査員の皆様も料理を色んな角度から見て得点に表してくれたのではないでしょうか」
電光掲示板に料理名(メインおかずの名称)と、味に独創性という文字がデジタルで表記された。
「まもなく結果が出る所でしょうか。はいっ、出ました。ご覧のような結果です」
かりかりあぶらげと大根のサラダ(込流 54点)
清 味総合 9 独創性 9
番参 味総合 9 独創性 8
高美 味総合 10 独創性 9
28 + 26
キャベツのホット卵サラダ (有音 55点)
清 味総合 9 独創性 10
番参 味総合 9 独創性 9
高美 味総合 9 独創性 10
27 + 28
全体的に考えると、込流はしっかり1食で有音は夕飯に近い時間としては物足りないかもしれない軽食献立!? そういう風に意識していたかどうかわからないが。番組収録時間は少し早い夕食(?)という18時30分からだったりするので具が多かった込流が作ったものの勝利となりそうだったのだが!?
差がないとはいえ、この結果になった理由はある。込流は結果を受け入れて理由に耳を澄ます。たんたんとしているので心中がわかりづらいが、悔しくないわけがないので彼の糧になるだろう。
「わしもこういう結果になったのはいささか驚いたなっ。焼き鳥のタレの手作りは難しいのが一つ。だが、あぶらげと大根は定番だから独創性に欠けているというのが大きかったかもしれん」
審査委員長の意見を聞いて、料理がこうした評価を受けたワケに納得いくものはあった。
「例えばサバとネギのスープもクセがある。それも影響したのかもね~」
込流が考えを消化して次につなげようと前を向こうとしている。
そんな審査委員長の意見とは違い、審査員の高美的には全部が美味しかったらしく、料理を褒めちぎり始めた。
「私はどれを食べても美味しかったわ。三杯酢味の『かりかりのあぶらげと大根のサラダ』をスープの具で食べて~。和風ドレッシング味サラダは焼き鳥のお供に食べたくなる、そんな味付けの変化が気に入ったんでしょうね」
表示が表示とはいえ、たまたま込流が敗北になっただけだという感じの審査員達。良い勝負だったんだろうと命が有音の料理の『勝因』について話してくれるよう清に尋ねた。
「まるで勝ったかのような賞賛をされていましたね。しかし、勝利表示は<有音さん>です。彼女の料理のどこが良かったか教えてもらえますか?」
「味の方はこの料理にこんな味付けを試したら面白いかもというのがあったりしますね。だけどサラダの食材にあまり使わない風味をプラスしたり、作り方も独創的だったりした結果かと」
今回は勝因の途中まで




