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クッキング☆えんじょい   作者: 霜三矢 夜新
クッキング開始編
47/204

第10試合の前に―― みんなで作ろう 3

 みことには努力の末に身につけた速読があったりする。番組の時間が押したりしている時に便利だ。実のところNGを出さないようにカンペをチラ見する事さえ出来るのでバレない以上優秀な司会者と考えてもらうのもアリ。


「それでは批判というか悪い話の方からで構いません」

「そうですか……それでは読むとしましょう。え~『資格が――あなたには料理を作る資格はな――』これは個人的に賛同出来ませんね。反省の態度がある場合それを決めるのは本人です」

 

 つい司会者の私情をはさんでしまったので一旦意見の読みあげが止まった。この意見は料理人としての道さえ根底から否定しているとも取れるので配慮したのだろうと思われる。

「改めて他の意見を……『私も人のフリみて我が振り直せという言葉通り自分の行いを見つめなおします。包味さんもそうだと思いますが』との意見や、『自信を持つのは良い事だけど変な自尊心なども持たないようにしましょう』など今回の教訓を糧にとの意見が目立ちました」

 あの時の有音の態度をとがめる意見もちらほらあるが、注意の上で応援するとの意見の方が多かった。

「同じミスを繰り返さない! これが重要ですね」

 有音がしっかり前を向き直した。司会者の読みあげはまだ終わってはいないが。今度は良い話を切り出す。

「良い話というか、有音さんへの激励なんですけどね。『すぐに反省の色を表情に出していたのが好印象』とか『有音さんの犠牲で料理の要を再確認した』『失敗から学ぶものは多い』といった感じです」

 司会者の命の読みあげを有音だけでなく出演者全員が神妙に、そして真剣な表情で聞きいっている。結果的には有音の人柄が重視されていると考えてもおかしくない側面があるのかもしれなかった。


有音ありね君の気は済んだだろうか? こういった勝負事なのだから自分が正しいと思う事をすれば良い。いろいろ配慮して今日の番組は変わった趣向を用意したのだ。期待して良いぞ」

 出演者の気持ちを表に出すのを邪魔したりせず番参審査委員長は最後まで見守ってくれていた。その後、存在感の強い審査長が何やら企んでいるかのようにニヤニヤと笑っている様子で気を引く。近くの清と高美2人の審査員もサプライズがあるぞ~的な顔を特に隠したりしていないので誰の目から見ても分かる感じに。


「AD君。今日使うセットの準備が出来ているでしょ? 持ってきて」

命は審査員達がわざとらしく大げさな動作をしたら番組を次の展開に変えてと言われていたなと思いだしてADに指示する。

「かしこまりました。すぐ引っ張ってきます」

 番組に関わっているスタッフ数名が何やらセットを持ってくる。その建物セットにはいろんな商品《お菓子》が並んでいた。例えば小さなチョコやうめえ棒というサクサクした食感の駄菓子、ベビスタメンとか各種スナック菓子にアイスやヨーグルトなどのデザート系も冷蔵(または冷凍庫)に入っているという札が。それらを見て出演者達は驚いた。審査員の3人がしてやったりという表情をしている。


 ちなみにビックリした後は誰からともなくお菓子を手に取ったりしていた。特に想や香理は遠足などで持って行く機会が多い理由もあってか目を輝かせている。            



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