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クッキング☆えんじょい   作者: 霜三矢 夜新
クッキング開始編
38/204

第9試合 有音VS奏 2

 有音の母親から聞いた話からして、今の有音には危うさを感じる。そう考えて奏も料理は経験する程腕が上がりやすいとはいえ、体がもたないと注意したのだが――――――――

「奏! 来てたんだ。せっかくだし豚肉とじゃがいもの炒め煮を食べていってよ」

 いつもとあまり様子に変化がないと感じたので周囲が心配しすぎだったのかなと奏は思う。『豚肉とじゃがいもの炒め煮』は前の番組勝負での有音の一品、手元に出されたので食べさせてもらったのだがこの味は最高の調味料比率が抜群という所まで! まるで一流シェフが作ったかのようなのに何かが抜け落ちてしまっていると奏は何故だかそんな気持ちになった。

「ごめんね、部活に出ないでずっとこうやって料理を作り続けているのを心配させちゃって。でも本当にダイジョウブ(・・・・・・)だから」


 その有音の様子に奏は思いにふけた。確かに充実していそうだったが『大丈夫』と聞いた時に不気味な悪寒が走った原因は!? などと考えながら有音の母親への挨拶もそこそこに足は一刻も早くここから出たそうに自分の自宅の方へ向いていた。


 その有音の家に行った時の話を部長の真奈にする奏。ついでだから幼なじみが休部する旨も伝えておく。

「わかったわ。でも風良君勝利の際の番組収録日の頃からの有音ありねちゃんを考えると気がかりなのよ」

「僕も注意深く彼女の状態を見ておきますから」

「よろしく頼むわね」



 結局、奏は同じクラスの有音に注目するぐらいが精一杯だった。してあげる事がないまま次の試合開催日になってしまったのである。


夏が終わってしまった、楽しい時間は何で早く終わってしまうのかという子ども達が多いのではないだろうか。逆に主に母親は特にお昼の心配が必要なくなったという家庭も結構あるだろう。しかし、夏本番の8月が終わっても気温的にはまだまだ暑さは残ったままだった。

「今年もいくつかいろんな事で新記録が出たりしていますよね。野球のある球団の投手が開幕連勝記録を更新したりとか影響力の強いツイッターのコメント数更新など。こんな話をした理由はこの番組の料理がそれくらい多くの人に作ってもらえないかな~という野望です。まずはケーブルテレビから地上波に昇格が先かな」


 ネットの公式動画などでも人気の注目番組になりつつある料理の番組が司会者のちょっと長い前口上の後で放送準備完了である。

「みなさん、こんばんは。暑い中、夏バテなどで食欲が落ちていませんか? 本日も無事放送開始した事を嬉しく思います」

 そんな中でどこか増長してしまっている有音があからさまにさっさと対戦相手を決めたらどう? とばかりに舌打ちしている。ケーブルテレビとはいえ生放送なのでこの態度は彼女への心証が悪くなった視聴者が多くなっていそうだ。テレビ受けとかそんな問題ではない、奏を始めとする調料学園研究部の面々はいろいろと心配で仕方がなかった。


「対戦したいわ~、相手なんか誰でも良いから」

 やる気があるのは結構なのだが、有音野いつもと違う感じなのは目立つ。しかし、司会者はただ彼女のモチベーションが上がっているのだろう=そういう日もあると判断したようである。

「いやいや、今日の包味つつみさんは気迫がすごいですね。結局はランダムで誰になるんでしょうね」

 いつも通り電光掲示板を操作して対戦相手を司会者の手で決めていく。まず『有音』が選ばれて続けて『奏』と表示された。何という運命の皮肉だろうか、これは奏に有音を倒して天狗になりすぎ状態の彼女を救えといっているかのような対戦だ。




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