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クッキング☆えんじょい   作者: 霜三矢 夜新
クッキング開始編
37/204

第9試合 試合前まで 対戦相手発表はこれから

 前の試合で有音がどうしたんだ!? という状況の帰り道での出来事――

「一体どうしちゃったの、有音ありね? あの発言はまずかった事くらいわかるよね!?」

「そうね。有音ちゃんにも思うところがあったかもしれないけど言葉は選ぶべきだったと思うわ」

「僕なんか高美さんの実力に刺激を受けていたくらいなんだけどね。有音君の性格からして言いそうにない言動だったから注意するにしても……って迷っちゃったよ」

 昔からお互いの事を良く知っている奏、部活で創作料理を作りあって更なる向上を目指している真奈先輩に有音の中では『ご飯マスター』の風良先輩に心配そうな表情を向けられて彼女は申し訳なさそうにするくらいしか出来なかった。

「あの時は本当に軽率だったと思います。仮に思っちゃったとしても口にしちゃダメですよね。最近は私の方がって自信が高まってきちゃって。料理を作りたくて作りたくてってやつです。という訳で」


 彼らより小走りで少し前に出てから振り向いて宣言する。

「作りたくて作りたくって気持ちがやばいんです。すいませんが1秒でも早く家に帰って料理を作ろうかと思いますのでここで!!」

 同じ学校の同じ部活のメンバーだからこそ帰路の電車内や道で反省会のような事をする予定だったのだが……彼女はさっさと特急に乗って帰宅してしまった。


「今回は反省会ではなく、風良君に手応えはどうだったかとかを聞きたいわね。麺料理の可能性についてなど有音ちゃんの意見も聞きたかったところだけど、人には人の事情があるものだし『去る者追わず』と考えているから。そういう日だったと思うだけよ」

 奏は先輩の真奈部長が言った事に嘘はないだろうと感じる。ただ料理研究部の料理を作る際の師弟関係が自然と出来ているから女の子同士仲良くなっているし、本音では残念と思っていそうな表情をしているのが理解出来た。さっきの対戦で風良先輩が気づいた事などの話を聞いて糧にしようとしていた。


 それから番組収録までの1週間、奏を始めとする料理研究部の真奈と風良も有音には会えず……と入っても学校には来ている。ただかなでばかりか中学校で友達になった芽生めばえちゃんも有音に声をかけづらい雰囲気のせいで圧倒されて話しかけられずにいた。ちなみにこの間は彼女をいつ見ても料理本を見まくっていて………………。


 この期間中に奏は有音ありねの家に彼女の様子は家ではどうなのかや、部長の真奈にもそれとなく訪問してきてって言われた事も補足しておこう。

「あっ、奏君。お久しぶりね、元気? またいつでも遊びに来てくれていいのよ。ごめんなさい、本題を話してなかったかしら」

「こんにちは有音のお母さん。今日はどうしたんですか?」

 実は今年、料理研究部でイキイキしている娘を見るのが喜ばしかったんだけどここ数日の様子が……という話を昨日の朝に玄関前で聞いていたのである。だからその日、有音のお母さんに呼び出されたという事実だ。

「あらあら、前みたいに鈴音さんと呼んで? それでね、昨日玄関で話した内容の続きだけど有音が料理を手伝ってくれたりやってくれたりする事はありがたいのよ。でも」


「鈴音さんも休める時があって良かったんじゃないですか」

「もちろん感謝なんだけどね……」

 何だか憂いを帯びた表情をしている有音の母親に一番こっちに言いたそうにしている話をうながして聞き出した。

「何だか家事の一部をやってもらっている割に鈴音さんの元気がないような」

「わかっちゃうわよね。あの子ったら最近は特に学校から帰ってきてから寝るまでの大半の時間を料理作りに……いくら何でもやりすぎだと言ったんだけどじっとしてられなくて……だって」



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