第7試合 奏VS真奈 1
ケーブルテレビの中で人気番組になりかけている番組、今回の収録はお盆である。出演者達にはお盆に家族でしたい事は早めにとお願いしてあった。結局はお盆休み残り2日の所で全員集合。番組タイトルは決まりそうで決まらない。今回の候補タイトル『料理で笑顔』
最近は残暑が厳しいためか、汗をかいてしまう。汗も料理の大敵だ、しっかりぬぐっておかないと。それは全員共通の意見である。
「またも生放送でお伝えさせて戴くことが出来ております。打ち切りの心配はしばらくなさそうで一安心。早速ですがうれしいお便りが来ていますよ、例えば『豆腐とネギのふんわり卵とじ』や『ツナとキャベツのカレー蒸し』などを作ったという小学生や中学生の手作りを美味しく食べたという感想はやる気が高まりますよね?」
司会の命に聞かれて、奏達8人は視聴者からの評価などをメールを始めとしたお便りで、家族団らんとかの写真も送られてきているので嬉しそうな人物達の姿を見て(作って良かった)と思えた(※家族団らんの写真には料理を作った人に加工を入れて渡しているようだ)
そろそろ選ばれるかもしれない対戦相手決定するための電光掲示板が押される瞬間、待機している全員の周囲の空気が張りつめている。
「緊張の面持ちで楽しみにしていそうな人も不安そうな人もいますね。番組始めます!」
番組開始すると、奏達8人と応援席の大勢の視線を浴びている中で電光掲示板のスタートボタンを押してしばらくしたらストップボタンを押す。司会者の命がこの作業=今回のキッチンスタジオに行く2人を決めた。
選択された2人は真奈と奏だった。メイン食材は豚ひき肉使用という事である。
「とうとう僕達で勝負する組み合わせが出てしまいましたね」
奏にとって料理についての実力が未知数の真奈。有音からは部長の料理に教わる事が多いって情報をもらっているけどそれだけじゃなっ……。後は対決中に臨機応変にどんな料理にするか変える可能性もあるかもと心構えをしておくことに。
「奏君、緊張しちゃってる? わかったわ、少しだけ手の内を見せてあげる」
願ってもない申し出に、首をタテに振ってお願いする。どんなものを対抗して作ろうかという参考にもなるので最初の数分はフライパンなどを用意したりしながらも真奈部長を注視していた。どうやらまずはにんにくやしょうがで香りと風味付け、それに赤トウガラシという内容なので辛味メインみたいだと思う。それならと奏は辛味以外の甘・塩・酸味あたりから選ぼうと決めた。ざっと用意してある食材から閃き《インスピレーション》を覚えたものを手に取る。
「よしっ、これを作るとしよう」
早速味噌を大さじ2くらいに酒も大さじ2,しょう油と砂糖を小さじ2ずつを箸で混ぜあわせた。奏の作る料理で一番にする手順はひき肉から出る脂だけでしっかり炒めるそれだけで良い。後はもやしを入れてさっと炒めるだけだ。なので真奈部長の手さばきを見ようと目を移した。
その真奈部長、ひき肉に大さじ1と砂糖・しょう油各大さじ半分に塩こしょう少々で味付けしていたようである。そこにキャベツを大きめにちぎって加え、しんなりするまで炒め合わせる。それだけで完成したようである。それに辛みを抑える工夫、興味深いところだ。




