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クッキング☆えんじょい   作者: 霜三矢 夜新
クッキング開始編
21/204

第5試合 風良VS想 1

『ボーイアンドガールズ料理(仮)』番組自体は人気高めでこれ見たさにケーブルテレビに加入してくださった複数の人達がいたとかいないとか。彼ら8人全員、一巡して楽しそうにちょい足し勝負と料理をしている姿が支持されているのだろう。今回の収録は7月下旬(夏休みが開始されて2~3日経過)、ちょうど児童から学生までお休み=長期の夏休みなので多めに収録する気だと全員がテレビプロデューサーに聞く。


「やはり作りやすそうな料理を君達のような年代が作っているというのに良い反響がすごいよ! 夏休みには放送回数も増やす予定だからね。8月に2~3回生放送を入れるかも」


 プロデューサーから感謝の言葉を伝えられるのはいいのだが、生放送予定を聞いてピリピリした空気になった。


本日の収録もよろしくと言い残して、番組プロデューサーは去っていった。それから、それを奏達と一緒に見送っていた収録スタジオの司会、四界命(みこと)に対戦相手を決める作業に戻って問題ないか尋ねられた。特に問題はないという返事を全員がする。


「それでは番組スタートです。早速今日はどの2人が選ばれるかと私もわくわくしてしまっています! 今回は素早く!」


 電光掲示板のスタートボタンを押したら、すかさず手を隣にずらしてストップボタンを押す司会者の命。対戦カードは風良と想、メイン食材はツナの缶詰と決定したようだ。


「ほうっ、風良君が2度めでちょい足し勝負を入れない場合は想君が初登場か。この番組に選ばれて作る時は一般的な定番料理はそこまで役立たんが果たして? やはりあまり見ない料理を食べてみたい」


 番参理事長が特に求めているのは独創性だとわかるつぶやきだった。


 2度目のこの番組収録で慣れ始めてキッチンスタジオに向かおうとする風良だったが、緊張でなかなか足を動かせない感じのおもいに気づいて気さくに声をかけ、軽く背を押してあげている。


「そうなるのも無理ないよな。僕は君くらいの年の子の柔軟な発想による独創的料理を警戒している。強敵だと思っているよ」

「あっ、今日の対戦相手の方でしたね。親切にありがとうございます」

 想が丁寧なお辞儀をして、それを笑顔で応じた風良。


 いつも通り観客席に向かう奏達。特に奏は副部長の料理に注目していた。その彼、2人仲良く《?)キッチンスタジオに向かっていた。想は自分の身長に合わせて上下ボタンでキッチン台を調度良い高さに。


「風良さん、期待しています」

 奏の声援に風良はガッツポーズで応じる。


「近くで応援されるってうらやましいですね。僕も小学校の友達が観客席の後ろの方で応援してくれてはいますけど」


 風良と想が料理に使う予定を目で確認した所で司会者による試合開始宣言が始まった。

「開始しても問題なさそうですね」


 奏達や審査員席に目を移した司会者が改めて確認後――

「試合開始して下さい。制限時間は20分」


中継が開始されたようだが、それを意識しないように風良が葉っぱ付き大根を用意する。ツナの缶詰も用意してすぐに開けてほぐし始めた。大根を最初に薄く輪切りにした後でいちょう切りになるように切る。葉っぱは細かくみじん切りに。黙黙と何も言わない様子の風良を実況する司会者。


「どうも料理に没頭してしまっているようですね、風良君は」


 

 試合開始で風良が集中しているところまで(今回はキリが良いとはいえなかったかも)


次は想君の方を書いていかないと。

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