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クッキング☆えんじょい   作者: 霜三矢 夜新
クッキング開始編
19/204

第4試合 真奈VS高美 2

 残り約10分は、部活でも一緒に活動する事が多い有音と話をしてリラックス状態になるよう対決に備えている。キッチンスタジオに向かう時間になりそうなので真奈は部長として負ける場面は見せられないと勝利を誓った。


「うちの部、期待の星の奏くんは勝利したわ。私も実力があることを見せなきゃね」

「真奈先輩、勝利をお祝いしておきます」


 時間いっぱいになりそうなのでキッチンスタジオに足を向ける真奈。相手は正直いって強敵だと思っている。それでも真奈は真奈なりのやり方を貫こうと思っていた。キッチンスタジオ内で一足先にそこへ来ていた高美に話しかけられる。


「あなた達が審査委員長の設立した料理専門学校の生徒さん達なのよね。でも私も相当料理をしてきたわよ」


 最初の自己紹介通り、負ける気がなさそうな高美に大して真奈が不敵な笑みを浮かべた。


「確かに料理経験回数は勝てないでしょうね。だけどこの試合形式は考えつく人がそこまでいないという審査もありますからわかりませんよ?」


「さあ、対戦開始前からヒートアップしそうなお2人さん。その情熱も料理にぶつけて下さい。制限時間は20分、試合ー開始~」


真奈が絹豆腐を縦半分に切って、1cmセンチメートル角くらいの拍子木切りをしている間に、高美の方は1口大に切ってザルで水切りしてある豆腐を流しからナベの近くに移動させる。まずは真奈の動きメインに見ていこう。豆腐の次は長ネギを斜め薄切りな感じにして豆腐と長ネギをボウルに入れておく。ナベにダシ2カップ(大さじ2に300mlミリリットルのお湯)・薄口しょう油とみりん大さじ2・砂糖小さじ1をナベに入れて煮立てる。煮たった所で弱火にし、豆腐と切った長ネギをいれて煮込み始めた。


「どうやら板野さんは仕上げに近づいているようなので阿多さんの方を確認しますか」


 真奈が料理をしている間に高美が長ネギを1cmくらいの斜め切りにして、キムチも一口大に切っている。なべでサラダ油を熱した中に豚肉を入れて火の通りで色が変わった所でお湯1カップと酒大さじ2・しょうゆとみりん大さじ1を加えた。


「さて、煮たったらアクを取らないとね。キムチと豆腐はその後~~」


 この先の作業を歌うように口に出して忘れないようにしている高美。


「ここで溶き卵投入! 半熟状の火加減を上手くやらないと」


 司会者のみことが高美の方に目を移していたので、こっちに注目させるという意味合いで大きめの声でワンポイントになる作業をしていると真奈はアピールする。もちろん真奈が仕上げに近づいていた事は把握していたのだが、司会は完成したかどうかあえて聞いた。


「手応えはいかがでしょうか? 板野さん」


 ご飯とスープ(番組側で用意しているやつ)に作った豆腐料理をのせて七味唐辛子を置いて審査待ち料理テーブルに並べる。


「卵のふんわり感がこの豆腐料理のキモです。結構自信ありますよ」


 なかなか個性的な料理でさすがねと思いながら、高美がアクを取り除き終わって材料を混ぜている。制限時間は残り5分だが強火に近い中火で汁気を煮て飛ばし、長ネギを加え混ぜて最後の一煮立ちで制限時間ギリギリまで使った。


「私も完成。相性の良い食べ物同士を使ったつもりよ」


 高美も当然番組側の用意した小さめの子ども用茶碗にご飯をよそって、キノコの味噌汁もつけて作った料理を審査待ち料理テーブルに置く。


「さて、時間になりました。どちらが勝つか予想もつかないこの料理番組、審査が始まりますよー」


 司会者が番組を盛り上げようとしている。審査員が評価しやすいように演出を行った。


「どちらの料理から審査しても構わないはずだし、今回は高美君のからでも良いかな?」


 今までは先に料理が完成した方から料理の審査をしていた。その代わり審査前の温め直しは容認するようにする。一番メインなのは真奈が認めるかどうかであるが。拒否するのも自由だと自由意志の村長も追加される。


「そうですね。審査は後からでも良いですよ」



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