12月16日:立証完了
寝落ちの詫び
竜滅装備。取得条件は「真なる竜種」との戦闘中に最も使用した武具防具を戦闘終了時かつ勝利時に保有していること。一部の装備を除いた武器防具が対象であり、竜滅装備単体でもある程度の性能を発揮するが、その真価は職業【真竜討滅者】と併用することで発揮される。
真なる竜種を打ち倒した俺たちが振るっていた武器は竜の加護を……いやどうなんだ、どっちかというと怨念? を受けてその姿を変えていた。
それを見た討伐者達の反応はといえば。
「うーわ、これ一番長く使ってた武器が対象かよ!! クソが、それが分かってりゃ最初から同じ武器を使ってたぜ」
「んー、それだと実現杖も対象のはずだけどねぇ……特殊な武器は対象外かな?」
「待って! 儀礼剣って極論消費アイテムなのに竜滅装備化は不味い! 徹夜してもリカバリできないぃぃぃぃぃぃ!!」
「あっ、これ破損状態アイテムにならなくなったのか。うーん、銃がユニーク化したのは嬉しいけど貧乏性になりそうだ」
悲喜交交って感じだな、なんというか。
竜滅装備は見た限り、普通に耐久値がゼロになると消失する通常武器と同じ判定だ。ジョブが称号化する事も踏まえるとあんまり無闇な突撃は出来ないジョブだ……極論を言えば倉庫にしまっておくのが一番賢い気がする。
しかしまぁ、何事にも例外というものはある。例えばディプスロの実現杖? なるとんでもユニーク武器は竜滅装備化しなかった。多分勇者武器とかも含まれるんだろうな、だが神代武装は対象内……条件はなんだ? いや考えても仕方ないか、また別の真なる竜種に出くわす確率はあんまり高くなさそうだし。対乱数に再びを求めると沼る、それは人類の歴史が証明している……
「それに、当初の目的は果たせたわけだしな……!」
そも、真なる竜種を倒しに来た理由はジョブを手に入れるためじゃない。元を辿ればただ一本の剣を強化する為だけに他の連中を巻き込んだのだ。
「真説輝焔アラドヴァル……」
竜威を取り込み、仮説でしかなかった仮初の輝槍。それが今ここに完成を見た。焔槍剣の名前は1日経たずに過去のものになったよ悲しいね、でもゲームの強化ってそういうもんだから……「いい感じの枝」が「創世樹枝ユグドランガイア」になったりな。なお強化八段階目でまだ上がある。
いやあのゲーム武器種馬鹿みたいに増やしすぎなせいで攻略班が誰がどの武器のことを話してるのか分からない、みたいなことになってたけど……大は小を兼ねるけど大が必ずしも正解ではない、か………うーんフィロソフィ。
「アーイイ……完成した武器を見てる時が世界で一番幸せな瞬間だぁ……脳内麻薬ビチャビチャ」
「あっはサンラクくぅん今キメセクの話したぁ!?」
根性焼き。
「あっ! らめぇ! おへそを焼かれるの何か新しい扉が開きそうっ!」
「瞳孔が開いて欲しいなぁ」
「あ、私瞳孔開いた死体のモノマネできるよぉ?」
「焼かれたまま通常運行で話すな」
「リジェネかけたからねぇ……」
細胞も残さず焼却しないと再生し続けるタイプの敵なんだよなぁ。もはや根性焼きナイフじゃ火力不足なのは決定的だ……強化とかできるかなこれ。そうだ………強化といえば、だ。
「ディプスロ、確かその杖は竜滅武装化の対象外だったよな?(根性焼きナイフを押し付けながら)」
「そうだよぉ(リジェネをかけ直しながら)」
「ってことは……」
「これでしょお?」
ディプスロが取り出して見せてきたのは、銀色の石ころのようなものだ。見ようによっては宝石の原石にも見えないことはないが、持ってみると分かる。なんかこう……脈打ってる。
ふむ……ディプスロも持ってるってことは条件は「該当部位に対象となる装備が存在しない」かな。
「サンラク君はいくつ持ってるのぉ?」
「三つ」
「露出プレイで三つも貰えるなんて脱ぎ得だねっ! でも股間に玉が二つあるから合計五つだねぇ!?」
「根性焼き(刺)」
「おへそにあちゅいのが有線接続しちゃうのおおおお!」
頭と胴体を無線環境にしてやろうかこの色ボケLANポート。
新、あるいは真・アラドヴァルの刀身を濡らすファーストブラッドを変態の体液にすることに申し訳なさを感じるレベルだが、それでも滅ぼさねばならぬ悪がある……
「さて……一応俺が音頭取らないとダメか。えー、本日お集まりの皆様、お疲れ様でしたー。無事トマホーク君をぶちのめしたことで今回のパーティ結成の目標が達成できましたのでー、えーこれにて現地解散で」
「ウソだろおめぇ、僻地に片道切符じゃねえか」
「どうせキャッツェリアで報告する必要があるんだし、帰るまでが遠征だよサンラク」
「名残惜しいですね……一徹で済んだのは嬉しくもあり名残惜しくもあり、という感じです」
「もうちょっと待てば朝だよサンラク君! 朝チュンしようよ朝チュン!!」
刺して、回す。
「心も体もアンロックだよぉ! 臓物まで愛して……っ!」
「いや施錠したんだが」
「お前は俺だけのもの……ってコト!?」
ダメだこりゃ、無敵モードだこいつ……最終手段だ。
不意打ちで耳元に顔を近づけて……
「Chalcosoma moellenkampi……」
「ひゃあぁ」
やはり耳元で囁かれるのに弱いのか、すこーんと腰が砕けたディプスロに俺は無言で拳を突き上げ勝利のポーズ。
ちなみにChalcosoma moellenkampiはモーレンカンプオオカブトの学名でありモーレンカンプオオカブトはコーカサスオオカブトやアトラスオオカブトと同じカルコソマ属で共通してやたら気性が荒い傾向にある。ウチの母は甲虫同士で戦わせるのはあんまり好きではないが幼い頃に母の飼育ケースからパラワンとモーレンカンプを戦わせた時はなんかもう色々凄かっ(以下略)
陽務家では虫の学名を覚えると物凄い勢いで褒められるので自己肯定感と虫に関する雑学が培われるし、魚の漢字を書けるようになるとその魚の料理とお小遣いが貰えたので兄も妹もやたら虫と魚に詳しいし鰻を調理できる
それはそれとして最新四巻好評発売中のコミカライズ版、まさかの次に来るマンガ大賞コミックス部門にエントリーしております。ライバルが強すぎるし貴方達の時代もう来てるでしょ!ナウ!って感じになってますがもしまだ投票権を温存してる方がいたら是非是非投票よろしくお願いします!!
自分も頑張って五巻の書き下ろし作業進めてますので……(なお今回の更新はその書き下ろし作業を止めて書いた。本末転倒では???)




