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二羽の強行軍

皆様のご意見を受け、前話の掲示板回に大幅に変更を加えました。ほぼ別物となっておりますのでお手数ですが前話から読んでいただけますと助かります。



————————————

NPCN:エムル

LV:56

JOB: 魔術師

ヴォーパルバニー・トラベラー

HP(体力):125

MP(魔力):655

STM (スタミナ):80

STR(筋力):30

DEX(器用):71

AGI(敏捷):50

TEC(技量):70

VIT(耐久力):35

LUC(幸運):85

スキル

・ベストステップ

・タップステップ

・クリティカルフォーカス

魔法

・【座標転移】

・【座標転移門】

・【座標転移「凱戦門」】

・【ランダムエンカウンターLv.2】

・【マジックエッジLv.7】

・【加算詠唱(アッド・スペル)Lv.5】


装備

武器:旅する賢者(ワイズ・ガング)

頭:観測者の片眼鏡

胴:兎式儀礼服

腰:兎式儀礼服

足:兎式儀礼服

アクセサリー:致命兎の秘環

————————————



ゲーム故に不思議なことでもないのだが、この小さな兎にほぼ全ステータス負けている事実に少しだけ凹んだ。いや、すぐに追い抜けばいい話だ、うん。

覆面越しとはいえ、俺の切ない視線に気づいたのかエムルはキョトンとした顔で首をかしげる。手をヒラヒラと振って何でもないと示せば、納得したのか改めて人が少ない沼荒野を見回す。


「でもサンラクサンどうするんですわ?その呪いは他のモンスターを遠ざけちゃいますわ」


「それに関しての対策は既に考えてある」


「どんな?お、あっこにドロガエルおります……わぁ!?」


ドロガエルことマッドフロッグがこちらに気づく、所謂感知範囲に入る前に俺は全力で走り出す。

感知範囲に突入し、一目散に距離を詰めた俺に気づいたマッドフロッグが逃走せんと泥の中に潜り込もうとするが……遅い。伊達に敏捷ガン盛りやってるわけじゃねーんだよ!


「おぉぉぉぉぉっしゃぁぁぁぁぁあ!」


「ゲロォ!?」


沼に足を入れれば走れなくなる、故に沼の縁から跳躍してマッドフロッグまでの距離を一工程で詰める。

そして顔だけ沼の中に潜らせていた体勢のマッドフロッグのケツに膝蹴りを叩き込み、足りないSTRを十数メートルの全力助走で得た慣性で無理やり補うのだ。物理演算(あたりまえ)が正確に働くゲームは神ゲー、これ豆な。


逃走を強制的に中断させられ、尻にニードロップを食らったマッドフロッグは泥沼の上を転がりのたうつ。マッドフロッグが立ち上がる前にさらに肉薄し、両手に持った湖沼の短剣を垂直に突き刺す。


「グェエ!?」


短剣を握る手に確かな手応えを感じる、断末魔の悲鳴を上げたマッドフロッグに駄目押しの攻撃を叩きつけると、マッドフロッグはポリゴンとなって爆ぜた。


「ふう………と、まぁこんな感じに「逃げられる前に追いついてぶちのめす」という戦法が現状できる最善だと結論づけた」


「う、うわぁ……サンラクサン、本物のモンスターみたいでしたわ……」


「失礼な」


幸か不幸か……いや、ぶっちぎりで不幸だが幸いな事に装備重量による動きが遅くなる心配は皆無だからな、敏捷とスタミナの暴力で逃亡を阻止して的確に弱点を狙うクリティカルでHPを削りきる。

野生の肉食獣のようなこの戦法が今の俺の最適解だ。ただ問題があるとすれば、この方法は予想以上に気疲れする。


「全力疾走した後にスタミナ管理しながらクリティカルを狙わないといけないからなぁ……」


50m走でゴールした直後に剣玉をさせられている気分だ、気を抜くと集中が途切れかねない。とはいえ、とりあえずAGIが低いモンスター相手ならこの戦法が有効であることは実証された。


「というわけでこれからのスケジュールを発表します!」


「わーわーやんややんやー」


「エリアボスまでぶっちぎる、以上!」


「予想外に雑でしたわ!?」


言っただろう、強行軍だって。


「道中の雑魚はあからさまにレアエネミー以外は全部無視する、断腸の思いではあるが、初心者で詰まる(・・・)だろうセカンディルは抜けておきたい」


この手のフルダイブゲーは自分の身体を動かす、という点が前時代的なディスプレイゲームとの最大の違いだ。

リアルの運動神経がそのまま反映されるわけではないが、やはり始めたばかりですぐにゲーム内の物理法則に適応できる生粋のVRゲーマーというのはそう多いものではない。となれば、始めたばかりの大半は最初の街か、かろうじてクリアした次の街に溜まる(・・・)

人で賑わうことは街というものにとっては歓迎すべきことかもしれないが、その全てがほぼ同じ目的を持っていたなら、待っているのは特定施設の渋滞だ。そこら辺の対策はどうなっているんだろうか……?いや、今はどうでもいいか。ともかく、本腰を据えてユニークシナリオに臨むのであるなら、街としての「容量」が高い場所が望ましい。

例えばセカンディルの数倍の規模を誇る大都市サードレマだったりな。


「というわけでサードレマまでノンストップだ。敏捷俺と同じくらいなんだし遅れるなよ?」


「アタシ駆け回るの苦手ですわ……」


「兎が言うセリフじゃないなそれ」


いざ行かん。エリアボスのその先、サードレマへ!!

逃げるモンスターを追いかけて狩るAGI特化、というのは序盤か中盤でかろうじて通用する戦法です。

最前線でも通用しないわけではないですが余裕でプレイヤーの限界速度よりも速いモンスターも多いため、結果的に追いかけ回すよりも待ち構え、追い詰める戦法がメジャーです。

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― 新着の感想 ―
[一言] この時点で人数の容量に関する言及あったのか
[一言] 思っていたよりも力技でレベル上げしていくのか
[一言] 吾輩、ずっと勘違いしてたわ…( '-' *) エムルお前…服、来てたんやな…|´-`) 773話までずっと全裸で想像してたわ…すまそ|´-`)
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