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悪役令嬢後宮物語  作者: 涼風
にねんめ
185/243

最後の一手

久々の長文パートがやって参りました。


 時間は進み――夜。


《皆の者。今宵は、帝国の新たな歴史を祝い、心ゆくまま楽しむが良い。――スタンザに誉あれ!》

《誉あれ!!》


 日没とともに始まった宴に臨席したディアナは、(これはエルグランド国使歓送の宴というより、鉱山発見のお祭り騒ぎをエルグランド側に見せつけるためのパフォーマンスね)と、冷静に分析しつつ、成り行きを静観していた――。



 ***************



 およそ一週間前、ブラッドとアルシオレーネが相思相愛であることを確信し、下賜制度を使って二人をくっつけるにはどうすれば良いか、エルグランド国使団全員で話し合った、そのとき。『下賜』を現実のものとするには、戦で敵国の王や将の首を取るに匹敵する功績を挙げる必要があるという非常に厳しい条件の突破口となったのは、ミアの何気ない提案であった。


「スタンザ帝国にとって、外つ国への侵略は、自国を維持し富を産むための手段ということですよね? ならば、戦以外の富となるものを国へ献上すれば、その功績は敵国の王の首に勝るとも劣らないのでは?」

「それは、そうだけど。レーネ様のお父上、テバラン博士も、他所から富を奪うやり方で国を裕福にする手段はもう頭打ちだとお考えだからこそ、雨の少ないスタンザ帝国でも安定して育つ作物を生み出すべく、研究を重ねておいでなのでしょうし」

「方向性としては正しいですが、植物の研究はどうしても時間がかかるのですよね……」

「どれだけ成長の早い植物でも、種から育てて実を収穫するまで、一月近くはかかるからね」


 アルシオレーネの父、テバラン博士は、帝国の身分制度に懐疑的な立場であるという。だからこそ、誰かを虐げなければ維持できないようなやり方に頼るのではなく、人が自ら己の富を、命を育めるような世界を望み、植物の研究に邁進しているのだろう。――物腰穏やかなれど決して揺るがぬ信念を貫くその様は、ディアナが尊敬している大人たちにも通じるところがある。


「要は、スタンザ帝国内にすぐ使えそうな〝富〟があれば良いのよね……」


 自分で呟いた言葉と、これまでイフターヌで見てきた様々な景色、大学で得た知識などを、ディアナは総合的に組み合わせて――。


「……手は、あるわ。実行へと移す前に、お父様やヴォルツ小父様にご相談申し上げて、陛下のご了承を頂く必要があるけれど」

「その前置きの時点で、嫌な予感しかしませんが……」

「まぁ、諸々賭けに近い策なのは確かよ。――スタンザ帝国内にある、未発見の資源を探し当てるの」


 唖然となった面々の中、真っ先に反応したのはやはりカイだった。


「資源って? 地下水源とか、そういう系?」

「それでも良いけど、地下水源は掘り当てるの大変だから……手っ取り早いのは、鉱山かしらね? 宝石の鉱脈とか、もっとシンプルに鉄とか――」

「……宝石はともかく、こんな軍事大国に鉄鉱山を発見させるなんて、リスクが高すぎやしませんか?」

「だから、お父様に相談しなきゃなのよ。――大学に納められている製鉄技術録や、イフターヌの東区で見せてもらった工業レベルから察するに、今のスタンザ帝国は『鋼鉄』製成段階にまで達していないから、鉱山一つ見つかった程度でエルグランドの脅威にはならないと思うんだけどね」


 ――今からおよそ九十年前、エルグランド王国の西側の港にスタンザの船が辿り着いた時点では、確かに両国の武力差、技術差は歴然としていた。所有している火薬武器の数、兵士の数ともにエルグランド王国はスタンザ帝国に遥か及ばず、それらを下支えする工業技術も同様であった。……およそ九十年前までは、そうだった。


(特に、当時のスタンザ帝国なんて、エルグランド王国への侵略意思を隠そうともしていなかったそうだもの。それで何の対策も取らないほど、さすがにエルグランド王家は甘くないわ)


 表向き、外つ国との友好政策を取りながら、エルグランド王は密かに、迅速に、周辺国の高い技術を〝盗む〟よう、諜報員たちを送り出した。――そして。


(一日でも早く、エルグランド王国が持つ技術が、スタンザ帝国を、他を引き離せるよう……クレスター家に、王国有数の鉱山地帯を与えて、研究開発を任せたのよね)


 半島の北に位置するガントギア特別地域は、岩だらけで作物などほぼ育たず、民たちは鉱石の採掘などで生計を立てている。重労働であるため、いくつかの採掘場は罪人の就労刑場として使われており、扱いが非常に難しい土地だ。

 その、扱いが難しく位置的にも本領とは距離がある土地をクレスター家が所有しているのは、ひとえに素材の発掘から新技術、高性能武器の研究開発までを一箇所で行うためで……一般には秘されているが、現在のガントギア特別地域の一部は、王国が誇るあらゆる分野の最先端頭脳と凄腕職人が集う、一大研究開発都市へと発展を遂げている。王都の学院は、どちらかといえば未来の有能な人材を育て上げる教育機関としての役割に重きを置き、実践的な最新の技術研究などはガントギア特別地域へ場所を移したのだ。

 外から見れば、エルグランド王国は国情を包み隠さず流しているように思えるだろう。――そしてそれは、間違っていない。大多数の民も貴族も、自国の技術がこの九十年間で目覚ましい発展を遂げているなど、夢にも思っていない。スタンザ帝国や、山向こうの国々に影響され、〝周辺諸国並〟に引き上げられたと感じている程度だ。

 敵を騙すには、まず味方から――その精神に則り、歴代のエルグランド王とクレスター伯爵はガントギア特別地域の技術開発地区だけを徹底して秘し、いざというとき確実に国を、民を守れるよう、備え続けてきたのである。


 そうして、九十年の時を経た今――エルグランド王国の技術レベルは、スタンザ帝国を遥かに凌駕する域へと達した。多少の武器数の差、兵力差ならば、武器そのもののスペックでカバーできるまでになっている。『里帰り』中に運よくスタンザの最新武器を手に入れて調べることができたが、スタンザの技術がここ二十年ほど停滞気味なのに対し、エルグランド側の進歩は今のところ順調なので、こちらが有利な状況に変わりはないと確信することもできた。

 そのような現状を鑑みれば、今、スタンザ帝国で鉱山が一つ二つ見つかったところで、エルグランド王国との国力差がひっくり返る危険性は限りなく低い。……そもそも、現在稼働している鉱山自体、エルグランドよりスタンザの方が少ないのだ。エルグランド王国の鉱山の場所や採掘量は極秘事項なので、知っている者は少ないけれど。


「……まぁ、ディーが大丈夫って判断したってことは、本当に大丈夫なんだろうけどさ。鉱山って、そんなホイホイ見つけられるモノ?」


 ――詳細を聞かずとも、ディアナの口振りだけで、エルグランド王国にとってスタンザ帝国の鉱山が危険でないことを察したらしいカイが、話をより具体的に進めてくる。尤もな彼の問いに、ディアナは首を縦に振った。


「何となく、だけどね。この辺にあるんじゃないかな、って予想はできてるの」

「……いつもの〝声〟に教えてもらってる感じ?」

「エルグランドほど、分かり易くはないけどね。鉄を嫌う植物が避けている土地を探れば、鉄鉱山の場所は概ね見当がつくから」

「ディーの〝それ〟、地味に汎用性が高いよね」

「そうかしら? ……引き籠りつつ大地の有り様を探れるって意味では、そうかも」


 だからこそ、伝承に語られる『森の姫』たちも、クレスターの森に居ながら離れた土地の様子を探り当て、的確な霊術(スピリエ)を施すことが出来たのだろうとは、最近ようやく分かるようになった。……自分の力がどういった類のモノか不透明だった頃は、伝承に出てくる『森の姫』と同じ霊力(スピラ)が自分の中にあるとは思えなかったけれど。意識して皆の〝声〟を聞き、〝生命〟を感じ取ることで、把握できる大地が日に日に広がっているのが実感できる。もう少し修練を積めば、大地に根差す植物だけでなく、その上に生きて動いている〝生命〟の詳細も掴めるようになるのかもしれない。


 ――そんな会話の後、カイが『遠話』の呪符を使ってソラに連絡し、『下賜作戦』についてデュアリスとヴォルツに相談、ジュークの許可をもらっている間に、ディアナは大学の蔵書で『下賜』について調べ、数少ないながらも武功以外の功績で皇帝から側室を下げ渡された臣下が存在したことを確認。皇帝が認めた功績を挙げれば『下賜』は成り立つのだという確信を得て、策の細かい部分を詰め直した後、カイにブラッドとの繋ぎを託したのである。






《――ブラッド、と申したかの。いやはや、大手柄じゃ。我が国に、あれほど巨大な鉄の山があったとは、誰もついぞ考えつかなかったこと。よくぞ、探し当てた》

《は……ありがたきお言葉にございます》


 先ほどから代わる代わる、ブラッドがスタンザの有力者たちに労われている。中には半分やっかみのような態度の者も居るが、労いであることには変わりない。ブラッドが鉱山を見つけたキズーニャ地方は、植物が育ちにくいスタンザ帝国の中でもとりわけ貧しい、岩肌剥き出しの山ばかりの不毛な土地とされていた。それが一夜にして宝の山へと化けたのだから、皇帝を始めとする上層部が喜色満面になるのも当然といえば当然だ。

 豪華な祝宴の片隅でのんびりと果物を摘みながら、ディアナは少し遠い目になる。


(……実を言えば、スタンザ帝国の大地って農耕にこそ不向きだけれど、その分地下資源が豊富なのよね。今回はスピード重視で分かり易い鉄鉱山に絞ったけど、探った感じ、他にもありそうな気配がしてるもの)


 スタンザ帝国は、不毛の大地などではない。ただ、その上に生きる人々が、自分たちの足元にある大地との付き合い方にまだ気付けていないだけだ。その気になればいつでも、スタンザ帝国は誰かから奪う生き方から、大地の恵みに生かされる生き方へと転向することができる。


(今回の鉱床発見で、目端の利くスタンザ人の誰かが、足元の大地の可能性を見出してくれたら良いのだけれど……)


 鉱山が一つ発見されれば、採掘、製鉄作業、加工や完成品の販売といった仕事が付随して生まれる。上手く使えば、安定した雇用を生み出すことも可能だろう。雇用が安定し、民の暮らしが全体に底上げされれば、貧民から重税を搾り取らずとも、国の財政もまた安定する。民の暮らしを豊かにすることは、長じて国そのものの豊かさに繋がるのだ。


(……所詮、異国人に過ぎない私には、蒔ける〝種〟だってたかが知れてる。この後のことは、ブラッド殿と、エクシーガ殿下にお任せするしかないのでしょうね)


 名前も知らない有力者たちに持ち上げられ、どことなく居心地悪そうに笑うブラッドを目の端で捉えつつ、ディアナは半ば空気と化して宴全体を観察する作業に戻った。


(それにしても……ここまで策が上手く転がって、本当に良かった)


 ――今回の作戦、一番の難所は鉄鉱山の発見より、むしろその後。鉱山発見の手柄を、きちんとブラッドのものとして認めさせる段階にあった。ディアナから鉱山の大体の場所を示した地図を預かり、鉱床を見つけるコツをデュアリスから伝授されたカイが同行した時点で、鉱山が見つかるのはほぼ確定事項のようなものだ。最初から、見つかるかどうかの心配は、あまりしていなかった。

 時間もなかったので、ブラッドを発見者として皇宮殿へ報告させる具体的な方法はカイとブラッド本人に丸投げる形になったわけだが、さすがというか何というか、二人は押さえるべきところをきちんと押さえたらしい。きちんとキズーニャ地方のお偉いさんの口から、ブラッドを発見者として皇宮殿に鉱山発見の一報を入れさせた。イフターヌの上層部が報せを信じ、無名の兵士であるブラッドを功労者として認めるか、それだけが賭けであったが、どうやら現在のスタンザ帝国にとって鉱山は本当に貴重なモノだったらしく、無事にブラッドの名は皇帝まで上がり、功労を認められる運びとなったようだ。

 後は、この功が皇帝陛下にどの程度評価されるか――。


 ――ゴォーン!


 大広間の隅にある金属製の鐘が、大きな音を一つ響かせた。皇帝陛下が現れる合図らしく、宴に参加している人々全員が上座を向いて拝礼する。

 鐘の余韻が消える頃、幕の奥から煌びやかな衣装に身を包んだ皇帝陛下が、威風堂々と姿を現した。……実は初日以降一度も顔を合わせていなかったので、ディアナにとっては久々の邂逅である。

 ディアナの席は、かろうじて上座ではあるが、位置的にはむしろ大広間の隅。歓送の宴と言いながらこんなみみっちい嫌がらせをしてくることには、もう今更驚きも呆れもないが……そのせいで皇帝陛下からやや遠いのは、観察しづらく少々面倒だ。

 ディアナは意識して心を鎮め、目と耳だけでなく感覚全部を鋭くさせて――〝生命〟の気配も感じ取れるよう霊力(スピラ)を研ぎ澄ませて、成り行きを見守った。


(――、あ、れ?)


 霊力(スピラ)を開放させた瞬間、僅かな違和感が胸に突き刺さる。

 しかし、その違和感の正体を探る前に、椅子へと腰を下ろした皇帝陛下が声を張り上げた。


《兵士ブラッド、ここへ》

《――はっ!》


 緊張した面持ちでブラッドが大広間の中央を通り、皇帝陛下の前で膝をつく。


《面を上げよ》

《は》

《……うむ、良い顔つきじゃ。此度、我が国にとって貴重な鉄の山を発見したとのこと、ようやった》

《陛下のお言葉を賜るは、至上の誉にございます》

何故(なにゆえ)キズーニャなどという不毛の地に、鉄の山があると目星をつけたのじゃ?》


 ……予想された質問だ。もちろん、不自然でない理由は作ってある。

 ブラッドも緊張が解れてきたらしく、先ほどよりは堂々と、皇帝陛下の目を見て口を開いた。


《――は。実は、私は兵士となる以前、ある植物学の学者様に師事しておりまして》

《ほほう。植物学とな》

《左様です。師はいつも、『草木が厭う大地には、それなりの理由がある』と申しておりました。私は兵士となった後も師の言葉を胸に留め、植物が育たぬ土地を巡ってはその原因を調べており……今回、こうして鉄の山を発見するに至ったのです》

《……そうであったか。そなたの弛まぬ探究の道が、この度の手柄へと繋がったのじゃな》


 納得した様子の皇帝に、ブラッドがやや複雑そうな面持ちになった。ブラッドが語ったテバラン博士の言葉に嘘はないものの、兵士となったブラッドがずっと各地を調べていたというのは作り話だからだ。……どうやらブラッドは、基本的にあまり嘘が得意な性分ではないらしい。

 ブラッドの話に幾度か頷いた皇帝は、改めて彼を見下ろした。


《兵士ブラッドよ。この度のそなたの働きは、我が国にとって実に有益なものである。よって、特例ではあるが軍におけるそなたの階級を引き揚げ、家名を与えることとする》

《身に余るお言葉にございます》

《また……帝国の新たな夜明けを導いたそなたに、皇帝として褒美を取らせたい。――兵士ブラッドよ、何か望みはあるか》


 来た。――ここだ。

 ディアナが察した〝流れ〟を、生粋のスタンザ人であるブラッドが察せないはずもなく。

 堂々と顔を上げ、ブラッドはその黒い眼差しに真摯な光を灯して、宣言した。


《はい、陛下。畏れながら申し上げます。――どうか、ご側室、アルシオレーネ・バルルーン様を、賜りたく》


 ざわり。

 静かだった大広間が一瞬揺れ、奥の方でがちゃんと食器が割れた音がした。……あそこにいるのは、バルルーン家の現当主。ライアの伯父、アルシオレーネの養父に当たる人物のようだ。

 落ち着きなくざわめいた広間とは裏腹に、皇帝は面白そうな表情で、ブラッドを見下ろしている。


《ほほぅ、アルシオレーネをのぅ。何処かで見初めたのか?》

《……アルシオレーネ様がお生まれになった瞬間から、生涯を共にと誓って生きて参りました》

《そうであったか。……若いのぅ》

《どうか、陛下。アルシオレーネ様を、我が妻に頂きたく存じます。この大望叶いし暁には、かのお方ただ一人を女神と崇め、命ある限り大切に守り抜いて参りますゆえ、どうか!》


 心からの願いを、誓いを込めて、ブラッドは深く叩頭する。誰もが、ブラッドの想いは本物であると確信するしかないような、そんな迫力に満ちた誓願であった。

 ざわざわと揺れる広間は、しかし誰も動けないまま、ただ皇帝陛下の答えを待っている。

 しばらくの間、沈黙を数えて――皇帝は、ゆっくりと顔を上げた。


《……良かろう》

《!!》

《側室、アルシオレーネ・バルルーンを、兵士ブラッドの妻として下げ渡す。――家名を得、妻を得て、今後ますます一家の主として、国を支えるひと柱として、励め》

《陛下……陛下の寛大なお心に、深く感謝申し上げます。この先の一生、陛下のため、スタンザ帝国のため、この身を尽くして参ります》


(成、った――!)


 今、この瞬間、ディアナの目の前で。

 廃れていたはずの『下賜制度』が復活し、アルシオレーネの降嫁が決定した。

 これは、スタンザ帝国にとっても歴史に残る――。


《お待ちくださいませ、陛下!》


 広間が祝福の気配に染まりかけた瞬間、先ほどがちゃんという音がした辺りから異議の言葉が響いた。驚きのあまり皿を割った張本人、バルルーンの当主が転がるように広間の中央へと出てくる。……なるほど、目元の辺りだけなら、ライアと形が似ていなくもない。


《畏れながら申し上げます。アルシオレーネは陛下に差し上げるべく、手塩にかけて育て上げた娘にございますれば……このような、身分も名も無き下賤の者に下げ渡すことだけは、何卒、ご容赦願いたく》

《ほほぅ……バルルーンよ、其方、我が国にとって有益この上ない巨大な鉄の山を見つけた者を〝下賤〟と言ったか?》

《いえ、そうではなく!》

《ブラッドは此度の働きで、身分も名も持つ者となった。降嫁先として、決して見劣りする男ではない》

《いえその……しかし、アルシオレーネとて、陛下にお仕えすることを至上の誉に感じているはず。己の預かり知らぬところで、身分も名もないような男に褒美として与えられるというのは、親としてあまりに不憫で――》


 ……クリスの兄を見たときも思ったが、同じ親の血を受け継ぎながら、ときに子どもの〝格〟が大きく違ってしまうのは何故なのだろう。ライアの母であるドーラと、あそこで皇帝にやり込められてあたふたしている男は実の兄妹のはずだが、どう考えても人間としての格はドーラの方が圧倒的に上だ。

 どうしてもアルシオレーネを側室にしておきたいバルルーン当主の言い分に、皇帝陛下は少しの間、黙考して。


《娘を思う其方の親心は分かった。ならば――降嫁を受けるか否か、本人に聞いてみることにしよう》

《はっ……?》

《――アルシオレーネをここへ!》


 皇帝の声を合図に、大広間の扉が開く。大きく開かれた扉の向こうには――。


(レーネ、様?)


 シンプルな黒ローブに身を包んでこそいたが、気配からして間違いない。……よほどのことがなければ後宮(ハレム)からは出られないはずの側室、アルシオレーネが立っていた。

 ディアナの脳裏で、複数の疑問符が踊り出す。


後宮(ハレム)からこの大広間まで、結構な距離よね? ブラッド殿が陛下に下賜を願い出てからレーネ様を呼んだんじゃ、絶対に間に合わないわよね?? つまり陛下は最初から、ブラッド殿が褒美にレーネ様を望むと確信した上で、彼女を近くのお部屋に待機させていた、ということかしら???)


 だとしたら、――いつ、どうやって、皇帝陛下はブラッドの目的を知ったのか。彼はほぼ毎晩、後宮(ハレム)に足を運んではいたようだが、アルシオレーネのことは存在を認識しているかどうかも怪しいレベルで放置状態だったはずなのに。


(これは、もしかしたら――)


 一つの事象が呼び水となり、ディアナの中でとある〝仮説〟が急速に浮かび上がってくる。この感覚が導いた〝仮説〟は、証拠などまるでないがほぼ〝真実〟に相違ないことを、経験則でディアナは知っていた。――『賢者の慧眼』が視るものは、決して外れない、と。

 制御不能の早分かり能力にディアナが翻弄されている間に、アルシオレーネは静かな足取りで大広間の中央へと歩を進め、義理の父であるバルルーン当主の数歩後ろで淑やかな礼を執った。


《アルシオレーネ・バルルーンにございます。お呼びに従い、ただ今罷り越しました》

《うむ。……アルシオレーネよ、お前を呼んだのは他でもない。今、お前に降嫁の話が上がっておる》


 皇帝陛下の言葉にも、アルシオレーネは微動だにしない。最敬礼の姿勢のまま、皇帝の言葉を聞いている。


《降嫁先は、この度スタンザ帝国にとって有益な手柄を上げた兵士、ブラッドと申す者じゃ。功績の偉大さに見合った地位と名が与えられることも、既に決まっておる》

《……はい》

《しかし……お前の父は、お前に断りもなく側室から下げ渡されることになるのは不憫であると案じておってな。それも尤もと、こうしてお前の意思を確認すべく、呼んだ次第じゃ》

《……》


 アルシオレーネの身体は動かない。彫像のように固まって――しかしディアナには、アルシオレーネの深い葛藤が何故か分かった。……ここで、バルルーン当主の前でありのままの〝意思〟を述べれば、テバラン博士がどうなるか分からないという、彼女の深い葛藤が。

 それでも。……今のディアナの立ち位置では、ただ、アルシオレーネの決断を見守ることしかできない。

 ――静寂に包まれた大広間で、皇帝陛下の声が響く。


《――面を上げよ、アルシオレーネ。直答を許す》

《…………はい》


 たった、一言。皇帝に応えたアルシオレーネの声には、凛とした覚悟が込められていた。……彼女に会った最後の日、己を偽ることなく誠実にディアナと対峙した、あのときの〝声〟だ。

 果たして、顔を上げたアルシオレーネは。


《わたくしの意思を尊重してくださる、陛下の寛大な御心に、深く感謝致します。――此度の降嫁、是非とも拝受致したく、お願い申し上げます》


 一片の曇りもない、真っ直ぐな眼差しで、そう告げた。

 アルシオレーネの言葉に皇帝は深く笑み、ブラッドは満面の喜色を浮かべ――。


《なっ、何を申すか! 貴様、自分が何を言っているのか、分かっているのだろうな!?》


 バルルーン家の当主は立ち上がり、我を忘れた様相でアルシオレーネへと詰め寄る。

 突然勃発した親子の諍いに大広間がざわつく中、アルシオレーネは怯むことなくバルルーンの当主を見据える。


《分かっております、全て。……ですが私はこれ以上、自分の心を偽ることを良しとはできません》

《何を――》

《……あの大火で全てを失った私たち親子に手を差し伸べてくださった、そのご恩に報いることができればと、これまで心を殺して参りました。ですが――》


 アルシオレーネの視線が動き、こちらを向く。普通に視線が合ったディアナに、彼女が微笑んだのが分かった。


《慣れ親しんだ祖国を遠く離れ、理想とは真逆の現実を突きつけられながら、それでもなお凛と前を向いて闘い続ける。祖国民のみならずスタンザ民のことも深く思い遣り、それゆえに両国の平和と友好を願い、ご自身にできることを真摯に模索して。……そのお優しさゆえ、きっと人一倍、世界の理不尽さに傷ついておいでのはずなのに、決して手を伸ばすことを諦めない》

《何の、話を》

《あの方と、お会いして。畏れ多くも、沢山のお言葉を頂戴して。……思わぬ希望まで、頂いて》


 一度、ゆっくりと目を閉じて。

 次に開いたとき、アルシオレーネの瞳には、強く美しい〝光〟があった。――取り戻した誇りが、〝アルシオレーネ〟として生きてきた尊厳が煌めいていた。


《分かったのです。たとえ大切なひとのためではあっても、自分の心を偽って、殺して、そうして生きる〝命〟は死んでいるも同じだと。――そのような生き方は何より、幸福を願っているはずの〝大切なひと〟を不幸にする。私を諦めず、愛してくれているひとへの侮辱ですらあると》

《な……っ》

《ご当主様。私はもう、ご当主様がお望みになった〝バルルーンの娘〟ではいられません。……きっと、最初から。どれほど己を殺したとて、そのような存在にはなれなかったのです》


 ……おそらく、今のアルシオレーネが、〝バルルーン〟に縛られていない本来のアルシオレーネだ。何事に対しても誠実に、真正面から向き合おうとする。それだけの強さと勇気を持つ、スタンザの娘――。


《ふざけるな!! 誰のおかげで、テバランが研究を続けていられると――!》


 ……その真心が届く相手と届かない相手がいるというのは、残酷な現実だが。

 激昂してアルシオレーネに掴みかかろうとするバルルーンの当主を、割って入ったブラッドが押し戻す。久々に逢う愛しい男が危険と対峙する様に、彼女の瞳は複雑に揺れた。


《ブラッド――》

《大丈夫だ。――レーネ、俺から離れるな》


 ブラッドの腕をもってすれば、戦闘とはほぼ無縁なバルルーンの当主が暴れたところで、取り押さえるのは造作もない。再び向かってきた当主の腕を掴んで捻り、問題なく動きを封じる。

 一連の騒ぎを傍観していた皇帝は、もはやあからさまな呆れ顔だ。


《……バルルーンよ。娘はどうやら、兵士ブラッドと連れ添う道を望んでおるようじゃ。其方も父親ならば、娘の新たな門出を祝福してやってはどうか?》

《陛下! 何故です! 何故、ドーラに生写しなアルシオレーネを――》


《――もう止さんか、フサム》


 不意に、大広間に新たな声が響いた。決して大きくもなければ荒げてもいないのに、朗々と響くその声は喧騒の全てを負かし、一瞬で場の空気を支配するだけの強さに満ちている。

 杖をついていながらも矍鑠とした足取りで、その人物はゆっくりと、しかし迷いなく大広間の中央へと進み、皇帝の前で膝をついた。


《ご無沙汰いたしております、陛下。此度は、未熟な甥がお騒がせ申し上げました》

《……久しいな。まさか、そちまで来ていたとは思わなんだ。老いを理由に宮を退いてからは、世捨て人のような隠遁生活を送っていると聞いていたが?》

《ほっほ。相も変わらず、陛下は手厳しくていらっしゃる。仰る通り、気楽な隠居暮らしを続けておりましたが、昨日は偶然にも、第十八皇子殿下の離宮からお招きを受けておりましてな。一晩泊めて頂いたところ、皇宮殿にて何やら一大事が起こったらしいと伺い、つい気になって殿下のおともとして同行した次第です》

《変わらんのぅ。世俗になどまるで興味のなさそうな顔をして、こと重大な局面を逃すことは決してない。『バルルーンの影軍師』と呼ばれた、その頭脳と立ち回りは健在じゃな》

《ほっほっほ。何のことやら》


 ……バルルーン翁が同行していることは気配から察していたが、まさか皇帝陛下と気安く言葉を交わせるほどの関係性だとは思わなかった。呼ばれてもいない宴にひょっこり顔を出しても咎められない、それだけの実績と存在感がある人なのだ。

 皇帝陛下への挨拶をさらりと終え、バルルーン翁は改めて、ブラッドに動きを封じられている当主へと向き直る。


《フサムよ。あまり、バルルーンの名を汚すでない》

《叔父上――!》

《アルシオレーネ、といったか。その娘を養女にした経緯は聞き及んでおる。……愚かなことをしたものじゃ》

《……元はといえば、叔父上が原因ではありませんか。父上はドーラを手放すことを躊躇っておられたのに、叔父上が母と結託して、ドーラをエルグランドなどという弱小国へ嫁に出すよう、父上を説得なさったのです。そのせいでドーラは、側室の栄誉を受けることができなかった!》

《何度言えば分かる。娘を後宮(ハレム)へ上げることが家の栄となる時代は、もはや過去のものとなったのじゃ。ドーラがストレシア家に嫁いだことでバルルーン家がどれほど救われたか、当主のお前が知らぬはずもあるまい》

《そのようなもの! スタンザ皇妃の座と比べれば、何の値打ちもない!》

《いい加減にせぬか。……お前のそれは、ただの夢想に過ぎぬ。たとえドーラが後宮(ハレム)へ上がったとて、皇妃となる未来は訪れなかった》

《だとしても……あのような未開で野蛮な下賤の国へ、ドーラを嫁がせるなど、》

《それを望んだのは、ドーラ本人じゃよ。――フサム、三度目はないぞ。エルグランド王国の国使様、準王族であらせられる姫君の御前で、あまりスタンザの恥を晒すな》


 ……人は、これほど静かに、温厚な声音で、壮絶な怒気を表現できるのか。ディアナ如き若輩者では到底辿り着けない、深く長く生きた者だけが宿す〝凄み〟に、バルルーン当主だけでなく大広間全体が呑まれる。平然としているのは、玉座の皇帝陛下くらいだ。

 これだけ大人数の前で勢いよくエルグランド王国を侮辱されたわけだから、ディアナの立場としては抗議しなければならないのだが、一度目も二度目も、ディアナが怒るより先にバルルーン翁が諫めてくれているため出番がない。――老いてなおこれほどしっかりした判断力を有している人が呑気な隠居暮らしに興じているのだから、再会して即イヤミを言い放った皇帝陛下の気持ちも分かる。

 とても隠居とは思えない圧倒的な迫力で当主を黙らせたバルルーン翁は、杖をかつん、と鳴らしてため息をついた。


《……フサム。お前の見た夢は、夢に過ぎぬ。ましてや、ドーラ本人ではなく、面差しが似ているだけの別人に負わせるものではなかった》

《……》

《テバラン博士はご立派で、聡明な方じゃ。己がアルシオレーネ嬢の枷とならぬよう、もう随分と前から、バルルーンの援助がなくとも大学での研究が続けられるよう、手を回しておられる》

《え――》


 驚くアルシオレーネに、ブラッドが頷く。……実は何となく、ディアナも察していた。始まりこそバルルーン家の推薦だったのかもしれないが、今やテバラン博士はあの植物研究棟にとって、なくてはならない人となっている。仮にバルルーン家が「テバラン博士を解雇しろ」と圧力をかけてきたとしても、大学側は頷かないだろう。


《テバラン博士の研究も、ブラッド殿の発見も、遠からぬ未来、スタンザ帝国の新たな活路を切り開くであろう。――アルシオレーネ嬢はもちろんのこと、バルルーン一族にとっても、此度の降嫁は最高の栄誉なのじゃよ》

《叔父、上……》


 当主の身体から、力が抜けた。ブラッドが手を離しても、もう暴れる気配はない。

 項垂れた甥を哀れみの視線で見下ろしてから、バルルーン翁は改めて身体ごと振り返り、玉座の皇帝を仰ぐ。


《かような見苦しき様をお目にかけましたこと、重ねてお詫び申し上げます。……どうやら甥は少々疲れている様子、今宵はこれで暇を取らせようかと》

《好きにするが良い。……バルルーンよ、そなた、未だ頭も身体も衰えておらぬなら、この先も折を見て子らの(しるべ)となってやれ。隠居身分に甘んじて、若人にばかり重荷を負わせるものではないぞ》


 頭を下げるバルルーン翁に応える皇帝陛下は、いつものように面白がっている風にも、……ブラッドやアルシオレーネのような若い世代の行く末を、本気で憂いているようにも見えた。憂いて――どこか、懺悔しているかようにすら、思えた。


(……?)


 最初に皇帝陛下を見た瞬間、ディアナの胸を刺した違和感が、ここに来て再び大きくなる。何かが――ディアナの中の〝何か〟が、ざわつき出す。


《さて……少し話はこじれたようだが、バルルーン家としてはアルシオレーネの降嫁に異存はないということで良いな?》

《相違ございません。……こうして話をするのは初めてじゃの、アルシオレーネ嬢》

《はい、ご隠居様。――この度は、誠にありがとうございました》

《深く、御礼申し上げます》

《礼ならば、この〝未来〟を導いた、全ての方へ申しなされ。……儂のしたことなど、微々たるものじゃよ》


 広間中央で話がまとまりつつあることで、萎んでいた祝福の雰囲気がもう一度高まる。

 宴の参加者たちが注目する中、ゆっくりと皇帝陛下が立ち上がった。


《余はここに、改めて述べる。――側室、アルシオレーネ・バルルーンを、兵士ブラッドの妻として下げ渡すこととする。担当宮務官は速やかに、アルシオレーネの降嫁を手配せよ》

《――はっ》


 ゴォーン、ゴォン、ォン――!


 ブラッドの功績が認められ、褒賞が定まったことを祝う鐘が高らかに鳴らされる。大広間は歓声に湧き、ブラッドとアルシオレーネは歓びに涙して膝をつき、そんな若者二人をバルルーン翁が穏やかに見守る――そんな、まるで絵に描いたような大団円の様相の中で。


(おかしい。おかしい……!)


 ディアナの胸中で騒ぐ〝何か〟は、もはや誤魔化しようもないほどに、大きな違和感を訴え続けていた。


 初めて謁見したあの日、大広間の扉を挟んでも楽に感じ取れた皇帝陛下の気配が、どうして今は神経を尖らせなければ分からないほど、薄く、小さくなっている?

 年齢はさして変わらないはずのバルルーン翁からははっきりと聞こえてくる〝生命〟の〝声〟が、どうして皇帝陛下からはほとんど聞こえない?


 ――未だ頭も身体も衰えておらぬなら、この先も折を見て子らの(しるべ)となってやれ――


 どうして――同世代の〝戦友〟に後を託す、『遺言』のような言葉を、告げた?


(これ、は……)


 手足が、震える。――重く、なる。

 憶えている。……忘れられるわけがない、予感。


 ディアナの中で、ずっと、ずっと、眠っていたもの。〝生命〟を与える霊力(スピラ)を宿すからこそはっきりと視える、それは。


《……っ、ぐ、ぅ》

《へい、か?》

《う――!》

《陛下!!》


 玉座に腰を下ろそうとした皇帝陛下が、不意に胸を押さえ、前のめりになる。気付いた近侍が皇帝を支えたが、彼はそのまま表情を苦悶に染め、その場に倒れ伏した。

 大広間の空気が、一気に凍りつく。


《陛下!》

《どうなさったというのだ……!》

《すぐに医者を!!》


 側近たちが慌てて駆け出すが、……分かる。

 今のディアナには、分かってしまう。


(死の神の刃が、皇帝陛下の首筋にかかった。……助からない、このままでは)


〝生命〟を与えるためには、〝生命〟の終焉(おわり)を視なければならない。

 それゆえ、『森の姫』は感じ取るのだ。――〝死〟の予兆を、この世界の誰よりもはっきりと。死の神の刃を、幻視するほどに。


(そして……彼の神と相まみえたということは)


 心の内から、溢れ出る〝何か〟――今、この瞬間に覚醒(めざめ)た、ディアナの霊力(スピラ)

〝生命〟を守り、育み、……与える、奇跡と呼ばれた伝説の霊力(スピラ)が、ディアナの内に満ちていくのが分かる。


《皇帝陛下――!》


 騒然となる宴の席で、ディアナは静かに〝未来〟を決める。


 ――〝星〟が導く、そのままに。


作者の趣味が全力で反映された回、その2でした。アラセブ(アラウンドセブンティ)が思いっきりメインの話とか誰得……と呟く冷静な自分を、「うるせェ私得だよ!」と圧倒的我欲がなぎ倒した形です。個人的に70代のおじいちゃまおばあちゃまって、積み重なった人生経験が渋みとして滲み出てて、格好良いと思うんですよね。なかなか理解してもらえませんが。

さて次回、地味に宴で一言も喋らず、動きすらしなかったディアナさんのターンです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 朝鮮半島みたいな考え方と内政干渉
[良い点] 普段は隠居していると見せかけているが、ここぞと言う時には…というテンプレを綺麗にこなされた翁!なんて素敵なおじいさま!! [一言] ディアナの森の姫の最大の能力である生命を与える力、ここで…
[一言] 政治や国防にかかわる複雑な駆け引き、大好きです。 以前、貴族議会のやり取りも楽しく拝読しました。 国防まで担うとは、デュアリス様忙しすぎです。(笑)
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