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悪役令嬢後宮物語  作者: 涼風
にねんめ
170/243

惑う想い

ここ最近、執筆が楽し過ぎて日付の感覚が曖昧になり、日曜日の予約更新を忘れそうになる日が続いております……

執筆が楽しいのはとても良いことですが、曜日感覚が吹っ飛ぶとリアルの仕事まで忘れそうになるから、匙加減が難しいですね。


 ――そして、朝食後。


「やっぱり、午前中の人通りはまばらなのよね……」

「侍女さんの中でも下っ端の人しか動いてない感じではあるよね。その下っ端さんの人数がそもそも多いから、ぱっと見少ないとは思えないけど」


 予定通り、カイ一人だけをおともに散策へ繰り出したディアナは、悪目立ちするべく張り切って後宮(ハレム)の大回廊を歩いていた。大回廊は基本的に身分の高い者しか歩けない決まりらしく、ディアナたちの他に歩いている者は滅多に居ないが、大回廊脇の使用人通路はひっきりなしに侍女たちが行き交っている。大回廊だけならば人通りはまばらでも、全体で見れば決して人が少ないわけではない、そんな矛盾した空間をディアナは貴族令嬢らしく優雅に進んで。


「何というか……全力で邪魔よね、この大回廊。あんな狭い通路を大勢の侍女が通らなきゃいけなくて、こっちの大回廊はほとんど誰も使わないなんて、無駄この上ないわ。狭い通路で行き交うから、大きな荷物も運びづらそうだし」

「ま、この大回廊が空いてるのはこの時間帯だけなんだけどね。午後以降は側室さんたちが出てきて散歩してるから、そこそこ混んでる」

「なら、午前中だけでも侍女たちが大回廊を使えるようにすれば良いんじゃない? 主が休んでいる間に諸々の雑事を終わらせるのは効率的で良いことだと思うけど、通る場所が限られてるんじゃ作業能率も落ちるでしょ。午前中限定で身分関係なく大回廊を通れるようにするだけで、侍女たちの動きが改善されて皆が快適に過ごせるようになるわ」

「そこは俺も同感だけど。ディーって相変わらず、立派な貴族なのに特権階級の感覚が欠如してるよねぇ。こういうのって、『身分高い自分たちだけが通れる通路』って特別感にこそ価値があるんじゃないの?」

「あぁ……そういうのに価値を見出す人が一定数いることは知ってるけど、そこに固執する人は大概ろくでもない終わり方ばっかりなことも知ってるから、個人的には『歩く場所程度のことで特別扱いされて嬉しい?』としか思えないわね」


 大回廊の人通りがまばらなのを良いことに、背後のカイと小声のエルグランド語で、好き勝手なことを話す。ディアナが何を言ったところでスタンザの風習が変わるわけはないので、本当に好き勝手な感想だ。

 背後のカイがくすりと笑った。


「世の中の人みんながクレスター家みたいに考えられるようになれば、身分の違いで苦労する人はいなくなるんだろうなぁ」

「その代わり、規律も社会通念も大事にされなくなるから、統制が取りにくいことこの上ない世界になるわよ。ウチみたいに思考も行動も自由な存在は、少数派だからこそ社会の中で上手く回るんじゃないかしら」

「一理あるね。けど俺はそれでも、生まれた身分で人間の価値が決まって生き方すら縛られて、そこに疑問を挟むことすら許されない社会より、多少統制は取り難くても皆が自由にモノを考えて動けて、生まれに関係なくなりたい者になれる世界の方が良いなと思うよ。――スタンザ帝国をこの目で見た今は、より強く」

「カイ……」

「この国の社会構造って、完全に統治者側のためのものでしょ。皇帝とその周囲、極々限られた少数の人間がその他大勢を支配するための、完璧で合理的な身分制度。……けどさ、統治者が統治者であり続けることだけを目的に造られた制度は、強固な支配と引き換えに〝人間〟を歪ませるんだなって、実際に見てスゲー思うから」


 ……それは、ディアナも強く感じてはいて、けれどディアナの立場では下手に口にすれば内政干渉になりかねないからと、思うだけに留めていた所感だった。(まつりごと)に縛られない立場のカイがここまで深くスタンザ帝国について考え、感じ取っていたことに、ディアナは素直に驚く。


「……あなたから、統治や支配、社会制度についての意見を聞ける日が来るなんて思わなかったわ。その手のことに興味なんてないでしょう?」

「当たり前じゃん、一切ないよ。――単に、一年以上も国の中枢に近い場所にいて、自分のことそっちのけで国や民のためにって駆け回ってる女の子をずっと見つめて、その娘が笑顔でいられるにはどうすれば良いのか考えてたら、それくらいのことは感じ取れるようになるってだけの話」


 思わぬ返しに、気の利いた相槌すら浮かばず沈黙させられる。すれ違いざまに聞かれても不自然ではないよう、今のカイはいつもよりやや高めのトーンで話しており、普通に聞けば充分女性の声と認識されるだろう。侍女との会話で赤くなるわけにはいかないというのに、前触れなく心臓に響く言葉をさらっと言わないでほしい。


(どうして、このひとは……)


 いつも――いつも、いつも思う。カイの深く温かな情を感じる度に、どんな人生を歩めば、ここまで優しいひとになれるのだろうかと。いつだって、カイが当たり前のようにディアナに与えてくれるものは、本当は全然、当たり前なんかじゃない。

 カイはディアナを優しいと、自分のことより他人のことばかりだと、事あるごとに言うけれど。真実優しいのも、他人のことばかり考えているのも、ディアナではなくカイの方だ。カイはいつだって、自分の気持ちよりもディアナの望みを優先してくれる。ごく普通の顔をして、それが当然だと言わんばかりに。あまりに自然で、気付いたときにはそんな彼に甘えて、寄りかかってしまっているけれど……本当は、そんなひとこそ解放して、誰かのためでなく自分のために生きてもらうべきなのだ。優しい、優しすぎるひとは、他人を思い遣るあまりなかなか自分で自分の幸福を優先できないのだから。


(たとえば、カイの幸福が私の手を離した先にあるのなら――)


 ふと浮かんだ思考に、胸の奥が鋭く疼いた。冷静な自分が導く分かり切った答えを、まるで幼子のように駄々をこねる感情的な己が拒絶しているのだ。いったいどれだけ我儘になれば気が済むのかと、我ながら呆れてしまう。

 無言のまま大回廊の角を曲がったところで一度屋内に入り、使用人通路と離れる。途端に動く人の気配は遠ざかり、周囲は静寂に包まれた。

 その、一瞬の空白を逃すことなく。背後のカイがディアナの腕を取り、回廊脇の死角へと導いてきた。


「――ディー?」


 これほど近くにいて、ディアナの不安定な気持ちを見過ごすほど、カイは鈍い男ではない。真正面からこちらを覗き込んでくる紫紺の瞳は、ディアナを案じる優しい色に満ちていて、何故だか無性に泣きたくなった。


「……どうしたの? 俺の言葉、何か気に障った?」

「……して、」

「ディー?」

「どうして、あなたはいつも、そんなに優しいの?」

「え……やさ、しい?」

「いつも、私のことばかり気にかけて、考えてくれて。……カイはいつも優しくて、私がどう頑張ったって返し切れないくらい、沢山のものをくれる。前にあなたは、私が与えたものが返ってきてるだけだって言ってたけど、私、あなたがくれるものに見合うほどの何かを渡した覚えなんてないわ」

「……迷惑?」


 静かな問いには、ぶんぶんと、首を強く左右に振って。


「嬉しいに、決まってる。……でも、怖いの」

「怖い?」

「あなたはいつも、当たり前の顔をして、優しい気持ちをくれるから。……いつかそれに慣れ切って、あなたの優しさを〝当たり前〟だと勘違いしてしまいそうになる。ただでさえ最近、あなたには我儘ばかり言っているのに、これ以上傲慢な女にはなりたくない」


 日陰になっている回廊の死角は、まるでそこだけ切り取られた別世界のようだ。その奇妙な非現実感が背中を押したのか、普段なら言わないような心中を、気付けばぽろりと零していた。ディアナの言葉を聞いたカイの瞳が見開かれる様に、視線を合わせていられず俯いてしまう。


(本当は……)


 本当に言うべき言葉はきっと、この先にある。


 これ以上、〝勘違い〟してしまわないように。

 あまりに度が過ぎる我儘を、うっかり口にしてしまう前に。

 傲慢で身勝手な、最後の〝蓋〟が開いてしまうより、先に――!


(優しく、しないで、って……!)


 告げなければならない言葉に軋んだ胸を押さえ、顔を上げようとした、


 その、瞬間。


「――ホント、とんでもないよね、ディーって」


 手首と背中に熱を感じた一拍後、抗う間も無くカイの腕の中に囚われる。思わず呼吸が止まるほど強い抱擁に、ディアナの思考は停止した。

 耳元で、いつものカイの声が響く。


「俺、ディーが考えてるほど優しい人間じゃないよ。俺がディーを気にかけるのも、ディーのことばっかり考えるのも、俺がそうしたいから勝手にしてるだけだし。本当に優しくて思慮深い人間は、こんな風に相手を悩ませるような情の与え方しないでしょ」

「そんなこと……!」

「あるよ。――俺の勝手な感情を『嬉しい』って断言してくれて、なのにそれを当然に受け取ることを〝傲慢〟だって悩むディーを見て……こんなに悦んでる男のどこが優しいのか、俺としては純粋に疑問」

「喜んで、る……?」

「共にいてくれる人に感謝して、その存在をかけがえのない出会いだって大切にして、いつだって相手の人生を一番に尊重できるディーが、傍にいることを〝当たり前〟だと感じてしまうくらい、俺の存在に馴染んでる。――そう分かって、嬉しくないわけない」

「……っ」


 分かるようで分からない、カイの理屈。けれど耳元で響く声には本気の音が溢れていて、この言葉が気遣いや慰めでなく、彼の本心なのだということは感じ取れた。……ディアナが何を言おうとも、カイがディアナへの態度を変えることはないということも。

 腕の中で浅い呼吸を繰り返すディアナに気付いたのか、カイは抱擁を緩く解き、そっと頬に掌を当ててくる。


「ごめん。苦しかったね」

「だい、じょうぶ」


 苦しくはあったけれど、それは物理的なものではなく、精神的な要因から来る苦しさだ。惑う心中を断ち切る力強さで抱き締めてくれたことで、むしろ呼吸は楽になった。ディアナの言葉がカイの行動に何の影響も及ぼさないのなら、もうしばらくはこのまま、いつかは告げねばならない〝それ〟を胸の内に留めておける。


 ――その安堵すら身勝手で我儘な感情だと、痛いほどに理解はしているけれど。


「……ね、ディー。気分転換に、奥の庭へ行かない?」


 ふとカイが、表情を明るいものに切り替えて提案してきた。奥の庭とはおそらく、アルシオレーネが新種の花を育てているあの庭のことだろう。

 このまま大回廊を歩き続けても撹乱以上の効果は見込めなさそうだし、カイの言うとおり気分転換がてら庭を散策しつつ、人通りが増えるのを待つのもありかもしれない。


「そう、ね。ここからなら、道もそれほど入り組んでないし」

「よし、決まり。誰か来るまでは、一緒に歩いて良い?」

「……えぇ」


 ディアナも正直、カイが背後で控えている状態はどうにも落ち着かなかった。他の侍女たちも一緒なら紛れるけれど、カイと二人きりだと何故か違和感がすごい。

 主人と侍女としては不自然極まりないが、カイと並んで二人、ディアナは再び回廊へと戻るのであった。



 ***************



 訪れた奥の庭は、先日と変わらず、色とりどりの可憐な花が咲き誇っていた。さすが、潮風にもめげず花を咲かせるたくましさを持つマァリと、可愛らしさが人気のモモノを掛け合わせただけのことはある。生息域も特徴もまるで異なるその二種をナーバで繋ぎ、人の手によって新たに誕生した品種だからか、ここの花々はとても人間に好意的でもあり、優しい気配に囲まれてディアナはほぅと息をついていた。


(あんまり自覚してはいなかったけど、気疲れはしてるのよね、たぶん)


 エルグランド王国の後宮で『紅薔薇様』と呼ばれる日々を一年過ごして慣れはしたが、もともとディアナは目立つことがあまり好きではないし、上の立場からあれこれ指図するのは全力で苦手だ。暫定で『紅薔薇様』をやっているだけでも似合わない感甚だしかったのに、期間限定とはいえ準王族なんて身分になってしまった。しかも国使団の長――エルグランド王国を代表する立場ともなれば、嫌でも目立つしある程度の威厳を醸し出さなければ舐められてしまう。ディアナ個人が舐められるだけなら気にしないしいつものことだと流せば済むが、準王族という身分と国使団の長という立場が舐められるのは、エルグランド王国全体が舐められることにも直結するので見過ごせない。

 そんな事情がのしかかった結果、スタンザ帝国でのディアナはどーんと目立ちつつ、おそらくこれまでの人生の中で一番、いかにも身分高い高貴な存在の如く振る舞っていた。目立つのには『紅薔薇様』のおかげでそこそこ慣れたが、高貴な身に相応しい威厳ある振る舞いなんてものにはとんと縁がなかったので、気疲れするのはある意味当然かもしれない。


 ――知らず知らずのうちにささくれ立っていた心が、優しい緑に囲まれて解される。スタンザ帝国はエルグランド王国ほど緑の気配が濃くはなく、それももしかしたら気疲れに拍車をかけていたのかもしれなかった。生まれたときから慣れ親しんだ気配がすぐ近くにないのは、調子を狂わせるに充分な理由だろう。

 小さなベンチに腰を下ろし、目を閉じて。ディアナは静かに、周囲の花々へ意識を沈めていく――。


[レーネ]

[レーネ、マモル]

[レーネ、カナラズ、タスケル――]


 深く〝潜った〟瞬間、溢れ出てきた怒涛の〝念〟。表層にある植物の素朴で純粋な〝声〟とは明らかに異質な〝それ〟に、ディアナは思わず飛び起きる。少し離れた場所で周囲を警戒していたカイが、少し驚いた様子で駆け寄ってきた。


「ディー? どうしたの?」

「今……」

「うん、今?」

「今、この子たちの〝声〟を聴いてたんだけど。人間に優しい気配だから大丈夫かなと思って、ちょっと深く同調してみたの」

「それは……要するに、ディーの心をこの花たちに合わせてみた、ってこと?」

「合わせる、というか……力を抜いて水の中に沈む感覚に近いかも。クレスターの森では、しょっちゅうしてるの。人間を嫌っていたり、警戒してる子たちだと深みに引き込まれて戻って来られない可能性もあるけど、クレスターの子たちは私のこともよく知ってるし、人間のことも好いていてくれるから。私が沈んでも、優しく包んで癒してくれる」

「……それ、クレスター以外ではやっちゃいけないやつでしょ。ここの花が人間に好意的だっていうのは、ディーがそう感じたなら確かなんだろうけど、だからって無条件に包んで守ってくれるかどうかは別の話だよ」


 カイの言は尤もだ。こくりと頷き、ディアナは息を吐く。


「だから、ここではそこまで深く〝潜る〟つもりはなかったわ。この子たちの優しい〝声〟を感じ取れる程度に留めておくつもりだったんだけど……新種の花だからか、思っていたより深さがなくて」

「植物の〝意識〟の深さに新種とか関係あるんだ?」

「ある、みたいね。考えてみれば、人間が生み出した新しい子の〝声〟を感じ取ったのは初めてだし。……そっか、それもあるのかも」

「どういうこと?」

「この子たちの深い部分には、この子たち以外の〝念〟が染み付いてる。たぶん、この子たちの〝始まり〟に関わった人間の〝念〟が」

「始まりの〝人間〟……」


 口の中だけで呟いて、カイは周囲の花々に視線を流した。


「植物に人間の〝念〟が染み付く、か」

「別に、植物に限らないわよ。互いに影響し合い、それぞれの〝声〟を響かせ合いながら生きていくのが生物なんだから。人間同士もそうだし、人間と動物、植物だって同じこと。関わった命の影響を受けて、様々に変化していく」

「言ってることは分かるけど……それだと〝染み付く〟って表現は不適当じゃない?」

「人間同士や、ある程度はっきりした意識や〝情〟を持つ動植物相手なら、互いの〝声〟を響かせ合って相互変化に繋がるんだけど、この子はまだ生まれて間もないから。自己確立すら不確かな時期に、人間特有の濃い情念を注がれつつ育てられたら、こうなりもするんでしょうね」

「なるほど。人間を完璧に洗脳したいなら赤ん坊から育てろっていうのと、似たような理屈か」

「身も蓋もないわね。その通りだけど」


 苦笑するディアナに、カイも軽く微笑みを返して。


「で、このお花さんたちに染み付いてる〝念〟とやらはどういう類のもの? ディーにとって危険な感じ?」

「ううん。別に悪意とかじゃないし、そもそも私のことなんてまるで眼中にないから、危ないことは全くないけど……」

「けど?」

「……レーネ様にとってはどうだろう、って感じ」

「は?」


 目をぱちくりとさせるカイ。少し笑ってから、ディアナは立ち上がる。


「気を抜き気味だったとはいえ、私がうっかり流されそうになるくらい激しい情念だもの。想いの形そのものは決して悪いものじゃないけれど、ここまで激しいと妄執と紙一重だわ。……それを一途に向けられている相手を、思わず案じてしまう程度には」

「つまり、ディーが感じ取った〝念〟は、レーネさんに向けられている想いなんだね?」

「えぇ。それも、願いではなく――確固たる決意」


 花に〝念〟を染み込ませた人間の年齢性別は不詳だが、「守りたい」「助けたい」というふんわりした意思表示ではなく、一切の躊躇いも揺るぎもない「守る」「助ける」という決意から察するに、彼女を何よりも大切に想う誰かであることは疑いようがない。側室であり、それほど暮らし向きに困っているようには見えないレーネを〝助ける〟とはどういうことなのかという疑問は、今はいったん置いておくことにして。


「確か……この花って、レーネさんのお父さんが新しく作ったんだよね?」

「そうよ。タリーク・テバラン博士。エクシーガ皇子と同じ大学で、植物学の研究をしていらっしゃるわ。――といっても研究分野がかなり違うから、ついこの間まで皇子と直接の面識はなかったけど」

「そういえば、一昨日大学へ行ったときに、挨拶したんだっけ?」

「えぇ」


 最初にイフターヌの街へ出た日、貧民街の人々と関わったディアナは、一人の異国人に過ぎない自分が彼らのためにできることは何だろうかと考え、その翌日にエクシーガの大学を訪れていた。この国の文化、学術レベルをきちんと把握した上で、蒔ける〝種〟がないか模索したかったのだ。

 エクシーガは大喜びで大学内を案内してくれ、ディアナの興味関心が植物関係にあることも覚えていたらしく、植物学の研究者たちが集まる棟にも連れていってくれた。そこで挨拶を交わしたテバラン博士こそ、アルシオレーネの実の父親だったのだ。


「名前だけじゃ分からなかったけれど、博士とレーネ様は目元がとてもよく似ていらしたから。お父様が植物の交配について研究なさっていることもレーネ様から伺っていたし、水を向けてみたら案の定だったわ」

「レーネさん、バルルーンの家名を名乗ってたもんね。バルルーン家とテバラン家って血縁関係でもあるのかな?」

「さぁ……時間もなかったから、あんまり深くは聞けていないのよね。まさか初対面で『娘さんとは家名が異なりますが』なんて不躾に尋ねるわけにもいかないし」

「これがエルグランド王国だったら、その辺の事情は予め仕入れてから接触するんだろうけど」

「ホントにね。人手も足りないし、言葉が違うから情報一つ仕入れるのも苦労するし、異国での諜報活動は思った以上の高難易度だわ」


 軽くため息をついて、ディアナは一昨日出会ったテバラン博士を思い返す。


「博士ご本人は、温厚で誠実そうで、思慮深くて博学で、とても優れたお人柄と深い見識を併せ持ったお方だと拝察したわ。私みたいな小娘が多少不躾なことを言った程度で怒る方ではないと思うけれど、だからってわざわざ失礼な質問をしてご不快な思いをさせて良いことにはならないでしょう?」

「まぁ、それはそうだけど……っと」


 正面で話していたカイが、ふと表情を抑えてディアナの背後に回った。回りつつ、囁き声で告げてくる。


「噂をすれば、だ。レーネさんの気配が近付いてくるよ」

「分かったわ、ありがとう」


 頷いて立ち上がり、ドレスの裾を揃えて、ゆったりと花畑を鑑賞していた風を装う。そう経たないうちに軽い足音が響いてきて、ディアナは今気付いたかのように振り返った。


《えっ……ディアナ様?》


 植物の手入れ道具を腕に抱えたアルシオレーネが、目をぱちくりとさせて驚いている。ディアナは思わず演技ではなく微笑み、体ごと、彼女へ向き直った。


《おはようございます、レーネ様。申し訳ありません、朝早くからお邪魔致しまして》

《い、いえ、とんでもございません。おはようございます、ディアナ様》

《レーネ様は、お庭のお手入れですか?》

《左様にございます。毎日こまめに見てやりませんと、この美しさは保てませんから》


 彼女の言葉に、そうだろうなと頷く。ありのまま自然に生きる植物も美しくはあるが、この奥庭の花畑の美しさはそれとは別の、人間が手塩にかけて生み出したものだ。

 ディアナは明るく笑いつつ、レーネに場所を譲るべく端へと寄った。


《テバラン博士も、さぞお喜びでしょう。娘御のレーネ様が、ご自分の生み出したお花を、ここまで美しく咲かせておいでなのですから》

《え……》


 アルシオレーネの瞳が大きくなった。かろうじて腕の中の手入れ道具は落とさず済んだようだが、大きく上下した胸が彼女の動揺を知らせてくる。


《父を……ご存知、なのですか?》

《はい。一昨日、第十八皇子殿下に案内して頂き、大学を見学しました際にご挨拶申し上げまして。レーネ様とそっくりの目をしていらっしゃいましたので、もしやと思いお尋ねしたところ、お父上だと話してくださいました》

《そう、ですか》


 何度か深く呼吸して、アルシオレーネは一度ディアナに背を向け、手入れ道具を静かにベンチへと置いた。

 そして、一拍後。覚悟を決めたかのように、勢いよく振り返る。


《ディアナ様。父は、息災でしたでしょうか?》

《え……えぇ。とてもお元気で、植物の品種改良について、精力的に研究を重ねておいででした。大変興味深い内容で、わたくしも勉強になりましたわ》

《そう……そうなのですね。元気、なのですね》


 良かった、と音にならない声で、アルシオレーネは何度も呟く。ディアナは思わず、背後のカイと視線を交わした。……彼女と話をするのはまだ二度目だが、どう見ても尋常ではない。


《あの……レーネ様。何かご事情がおありのようですが、差し支えなければ、教えて頂けませんか? 何かお力になれることがあるかもしれません》

《ディアナ様……》

《同じ街の中にいらっしゃるお父上のご消息を、異国人のわたくしに尋ねなければ知ることもできないなんて、どう考えても異常です。スタンザ帝国の後宮(ハレム)は、一度入れば簡単には出られない場所と聞き及んでおりますが、外部と手紙のやり取りをする程度の交流は認められていたはずでは?》


 非礼は承知で一歩踏み込んだディアナを、レーネの青みがかった灰色の瞳が、凪いだ湖面のように映して――。


《……ディアナ様は、不思議なお方ですね》

《……え?》

《お会いするのは、まだ二度目ですのに。お人柄を知るほど、深くお言葉を交わしたわけでもありませんのに。……あなた様の瞳に見つめられると、心を丸裸にして、何もかもを曝け出してしまいたくなります》

《……初めて言われました、そんなこと》

《であればきっと、ほとんどの方は、あなた様の前では考えるよりも先に、己を暴かれてしまうのでしょう》


 そう言って、アルシオレーネは静かに、切なく、微笑んだ。


《お力をお貸し頂きたいわけではありませんが……少し、昔話をしてもよろしいでしょうか?》

《えぇ、もちろん》

《ありがとうございます》


 お礼を言って話し出したアルシオレーネの〝昔話〟は、予想はしていたものの壮絶の一言に尽きた。


 ――聡明な学者の父と、美しく優しい母の一人娘として生まれたアルシオレーネ。父は学問の道を邁進するあまり出世や金儲けには不向きな質で、母とレーネを養うだけでいっぱいいっぱいの暮らしではあったが、それでも家族は幸せに暮らしていた。スタンザ帝国には珍しく、年中緑の絶えないテバラン家は隣近所から奇異の目を向けられてはいたが、逆にそんな庭に興味を持ってやって来る子どもたちも多く。父はそんな子どもたちに無償で簡単な読み書きや算術を教えていたので、ちょっとした学び舎のような様相でもあったという。

 やがてアルシオレーネが十を過ぎた頃、もともとあまり体の丈夫でなかった母が身罷り、レーネは父と二人になった。雨の少ないスタンザ帝国でも育つ植物を生み出そうと研究を続ける父を、レーネは母に代わって支え、家を切り盛りするようになる。昔からテバラン家に出入りしていた幼馴染みたちが手伝ってくれたこともあって、どうにか父の研究の成果が見えてきた、そのとき。悲劇は前触れなく、彼女を襲った。

 何十日も雨が降らず、空気がからからに乾いていたある日の夜、不意に灯った滅びの火。とある一軒の火事が、乾いた風に流されてあっという間に広範囲へと広がり、その炎は容赦なく、テバランの家も飲み込んでいった。母の思い出も、父の研究成果も、ほとんど何も持ち出せないまま、ただ命だけを抱えて逃げて――宥めるように降り出した雨によって炎が消えた後、家があった場所には、ただ焼けた石の骸だけが残っていたそうだ。

 ほとんど何も持ち出せず、無一文になった父とアルシオレーネ。途方に暮れる彼らに甘い言葉を並べて近付いてきたのが――。


《バルルーン家の方、だったのです》

《……つまり、それまでレーネ様のお家とバルルーン家には、何の関わりもなかったのですね?》

《無論のことです。テバラン家は先祖代々イフターヌに住うスタンザ民ですが、家格は中の下。名家の方々とお付き合いできる身分ではございません》

《なのに、バルルーン家が、テバラン家に援助を申し出た?》

《はい。――私をバルルーン家の養女として差し出すならば、父の研究の後援者となろうと、現当主様直々にお言葉をくださったのです》

《それはまた、随分と気前の良いお言葉に聞こえますが……裏を返せば、それだけレーネ様が欲しかった、ということでしょうか?》

《……私も、最初は何故、ご当主様がここまで私を望まれたのか、理解に苦しみました。バルルーン家はスタンザ帝国きっての名家、血縁者はそれこそ星のようにいらっしゃるはずです。血の繋がりもなければ家格も釣り合わない私を、わざわざご当主様の養女にする必要が、いったいどこにあるのかと》


 レーネの言葉は正論だ。一夫多妻が認められている国の名家ともなれば、親類縁者の数はエルグランド王国貴族の比ではないだろう。レーネと歳の近い娘など、その気になればいくらでも見つけられたはずだ。

 首を捻るディアナに、アルシオレーネは苦しげに笑って。


《ですが、お屋敷に上がって、令嬢教育を受けるうちに、分かったのです。――私の容姿が、かつて側室のお話を頂きながらもお受けせず、他の方と恋をして結ばれ、スタンザ帝国から去った……ご当主様の妹君と、よく似ているということが》


 ディアナは再び、背後のカイと視線を交わす。頷いた彼は納得の表情を浮かべ、不自然でない程度にアルシオレーネを観察していた。おそらく、記憶にある彼女と見比べているのだろう。


(……そっか。最初にレーネ様を見たとき、どうしてかあんまり警戒心が働かなかったのって、レーネ様のお色がライア様にそっくりだから、だったのかも)


 灰色の瞳に、太陽の如き金の髪。アルシオレーネが小柄で、全体的に可憐な印象だから似ているとは思わなかったけれど、よくよく見れば確かに、一つ一つのパーツは似通っている。ライアは自分を、顔立ちも色合いも母似だと言っていたから、ライアに似ているということはライアの母にも似ていると考えて良いだろう。上背があり、どちらかといえば大柄なライアより、全体的な雰囲気はもしかしたらレーネの方が近いのかもしれない。


《ご当主様は今でも、妹君が後宮(ハレム)入りさえしていれば、皇帝陛下の寵愛を一身に受け、バルルーン家はもっと栄えていたと信じておいでなのです。妹君は、スタンザ名家生まれの女性らしくなく奔放なお方で、皇帝陛下とも臆さずお話になり、陛下の覚えもめでたかったと……毛色の変わった女性をお気に召される陛下のことだから、妹君のことも寵愛されたはずだと》

《……そう思い込むあまり、妹君と容姿のよく似たレーネ様を養女として教育し、後宮(ハレム)へ上げられたということでしょうか?》

《はい。妹とよく似た容姿の娘なら、皇帝陛下のお目に必ず留まるはずだと、そう仰っておいででした》


 ……ストレシア侯爵家がバルルーン家と没交渉な理由が、ここに来て明らかになった。ライアの母の父――バルルーン家の前当主は、娘を異国へ嫁に出す気概と度量を持った人物だったようだが、息子がこれでは浮かばれまい。美しく育った妹が皇帝の寵愛を受ける夢を見るまでは勝手だが、それが破れたからといって無関係の娘の人生を勝手に歪めて良いことにはならない。

 ディアナの表情に何を思ったか、レーネは僅かに苦笑する。


《ご当主様には、感謝しているのです。ご当主様のお力添えがあってこそ、父は研究を続けることができているのですから。最初にお話を頂いた際、父はお金のことも研究のことも心配しなくて良いと言ってくれましたが……》

《……バルルーン家がテバラン博士を援助するだけの権力と金銭を持っているのなら、反対に博士の邪魔をすることもできるでしょうからね》

《……はい。あの頃、私はまだ十二を数えたばかりでしたが、それでもご当主様の並々ならぬ熱意は分かりました。お断りすれば、父の命すら危ういのではないかと……そう感じてしまうほどの、狂気じみた熱量でしたから》


 薄々感じてはいたが、アルシオレーネはテバラン博士譲りの聡明さを持つ娘だ。それ故に彼女はバルルーン家の申し出を受け、父から離れることを決意したのだろう。


《バルルーン家へ参ってからは、下賤な生まれであったことは忘れろと厳しく言い含められました。父とは手紙のやり取りすら許されず、誰に近況を尋ねることもできず……ただ無事でいてくれるよう、元気で過ごしてくれるよう、願うことしかできなかったのです》

《なるほど……》


 テバラン博士は、さすが大人だ。一昨日、レーネの名前を出した際、そんな事情はおくびにも出さなかった。十二の頃から消息不明の娘の近況を聞かされて、《そうですか。元気に過ごしているようで何よりです》と笑顔で受け答えできる胆力は、一朝一夕では身に付かないだろう。

 と、そこまで考えて、ディアナの脳裏に一つの疑問が浮かんだ。


《それでは、レーネ様が今育てておいでのお花は、いつ、どなたから頂いたのですか?》


 テバラン家を下賤と蔑むバルルーン家の現当主が、焼け残った物品類の持ち込みを許可したとは考えにくい。必然的に、レーネがバルルーン家の養女となってから、後宮(ハレム)へ上がるまでの間にもらったことになるが、博士との接触を一切禁じられていたとなると……。

 ディアナの問いに、アルシオレーネは少し視線を泳がせ、俯いた。


《……ここで育てている花は、私が後宮(ハレム)へと参る前の夜、密かに訪ねてきた幼馴染からもらったものです》

《幼馴染? 博士から勉強を教わり、長じては博士のお手伝いをしてくれていたという、そのご友人ですか?》

《はい。……博士が完成させた、スタンザでも色鮮やかに咲く花を育てたから、連れていって欲しい、と。一輪の花を植えた、鉢植えをくれたのです》


 三度、ディアナはカイと視線を合わせる。――先ほどから話に出ていた、幼い花たちに濃い〝念〟を植え付けた人間とは、まさか。


《あの、レーネ様。間違っていたら、申し訳ありません。その幼馴染のご友人とは……もしや、ただのご友人ではなかったのでは?》


 弾かれたように、アルシオレーネが顔を上げる。ディアナを見つめるその瞳は、畏れに近い驚愕に染まっていた。


《どうして……》

《あ……いえその、なんとなく。もちろん、それを責めるつもりも、誰かに吹聴するつもりもありませんよ。人の心だけは、自分でもままならないものですから》


 馬鹿正直に「花たちから〝念〟を感じ取ったので」と説明したところで理解不能だろうから、適当に誤魔化しつつ安心させておく。ディアナの目論見は成功したようで、アルシオレーネはほぅと息を吐いて表情を崩した。


《あのひとは……父の庭が大好きで、私が物心ついたときにはもう、よく遊びにきていたんです。貧しい家の生まれで、働きながら時間を見つけて我が家を訪れては、父から読み書きを教わっていました》

《努力家な方なのですね》

《はい。そのうち、父は彼を助手として雇い、僅かながら給金も出すようになりました。……母が亡くなって落ち込む私を、『俺がいずれ先生の後を継いで立派な学者になって、レーネと結婚してこの家を守るから、大丈夫だ』って励ましてくれて》

《まぁ、婚約者でいらした?》

《幼子の口約束です。でも、そうなったら良いなと幼心にも願っておりました。……あの大火が、全てを飲み込むまでは》

《レーネ様……》


 あぁ――また、だ。

 ここにもまた、運命に翻弄され、願った未来を奪われて、残酷な現実の中で生きることを強いられた人がいる。

 絶望に心を折られてもおかしくない状況なのに、それでも目の前の女性は、気丈に微笑んでいた。


《この花を届けにきてくれた、あの最後の夜……彼は、約束してくれました。『必ず、迎えに行くから』と》

《迎え、に?》

《諦めが悪い人なのです。百年も前に廃れた制度に希望を見出して、『成り上がって、絶対にレーネを賜る功績を挙げてみせるから、待ってろ』って》


 諦めが悪いのは、ディアナも同じだ。会ったこともないその男に、とてつもない親近感が湧く。

 そして――今、レーネはなんと言った?


《百年も前に廃れた制度、とは? その制度に則れば、レーネ様を後宮(ハレム)からお救いすることができるのですか?》

《理屈では、ですが。この国が大きな戦を繰り返していた百年ほど前までは、戦で大きな武功を挙げた兵士に、皇帝陛下が褒賞として側室を下げ渡すことが頻繁にあったのです。『下賜』と呼ばれるこの制度によって、多くの側室が勇敢な将へ降嫁したと、伝わっておりますわ》

《下賜、制度……》


 ディアナが知るスタンザ帝国の慣例や制度は、彼らとの付き合いが本格化したここ数十年のものに限られている。それ以上古いものとなると、さすがに〝親戚〟たちも探り切れていない。

 百年以上前に存在したその制度が、今も仕組みとしては生き残っているのなら――!


《で、あれば。ご婚約者様の仰る通り、諦められることはありませんわ。待つだけなのは歯痒いですが……》

《いいえ、ディアナ様。今はもう、時代が違います。側室を賜われるほど大きな武功を挙げられる戦など、この大陸では起こりません》

《それはそうかもしれませんが……》

《……たとえば、エルグランド王国と全面戦争にでもなれば、それはまたとない好機(チャンス)でしょうけれど。私はもとより、ディアナ様とて、そんなことはお望みではないはずです》

《……えぇ、それは困りますね》


 正直なディアナの相槌に、アルシオレーネはくすりと笑う。


《もう、良いのです。あのひとが、今も私を諦めていないかどうか、そんなことは分かりようもないこと。――私の人生において、たった一人でも心の底から〝私〟を望んでくれるひとがいた。その想い出だけで、私は充分に幸福で……想い出を偲ぶ花たちが咲く限り、この幸福を忘れずにいることができるのですから》

《レーネ様――》


 咲き誇る花を瞳に映しながら、凛と微笑むアルシオレーネは美しかった。誰かに強く望まれた、ただそれだけのことをこれほど大切にできるのは、きっとそれだけ深く、その〝誰か〟を愛しているからなのだろう。

 その姿は、どこか気高くも見えて……ディアナにとって、目指す一つの理想にすら思えた。


(この先、もしも誰かを愛する日が来るのなら、こんな風に愛したい。小さな幸福を大切に抱えて、決して相手の重荷にはならない、そんな愛し方がしたい……)


 レーネは今でも、花をくれた彼を愛しているのだ。だからこそ、咲く花たちを大切にしている。……想い出を、慈しんでいる。

 今が幸福だという、その言葉に嘘はない。けれど、こんな綺麗に誰かを愛せるレーネには、今以上の幸福を掴んでほしいとも、ディアナは勝手に願ってしまう。


 複雑な思いを絡ませながらレーネを見つめるディアナを、背後から、カイが静かに見守っていた――。


二人きりになるとナチュラルにいちゃつくカイディーを書きながら、冷静な私が「どうでも良いけど、今のこの二人って、側から見たら完全な百合状態なんだよなぁ……」と遠い目になっておりますが、肝心の本人たちがまったく気にしていないので、作者の複雑な心境は本文に反映されない仕様となっております。

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― 新着の感想 ―
>ディアナの立場では下手に口にすれば内政干渉になりかねないから すでに思いっきり内政干渉してて草
[良い点] いつも楽しく読ませてもらってます! スタンザ編も役者が出揃ってきた感じで、ますます目が離せなくなってきましたね。問題と課題は山積みですが、ディアナ達がどう対処していくのか...真の黒幕はど…
2020/09/06 09:53 カキノタネ
[良い点] いいぞカイ、もっとやれ。 カイの悦ぶと、ディアナの喜ぶの変換に、二人の心が現れていてとても好きです! [一言] 穿った見方しかできない方のご意見は、そっと心に留める程度で気に病まれませんよ…
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