閑話その35〜議会、兄が見た結末〜
タイトルのとおり、エドワードさん視点で議会編ラストです。
エドワードはホント、説明回でも実動回でも止まることを知らず動いてくれるから、マジで助かる……。
――斯くして、娘たちと『証人』三名が去った後の議会場では。
「……さて。可愛い娘たちの居ないところで、第二ステージといこうじゃないか?」
ぞっと響く魔王声に促され、国王近衛の騎士たちが次々と、狙い定めた貴族を拘束して議会の中央へと引きずり出した。いずれも、『側室『紅薔薇』による寵姫誘拐及び殺害について』の調査報告書に名前を書いた内務省官吏と、『側室筆頭『紅薔薇』の処刑嘆願』に了承の印を入れた調停局の局員たちだ。――揃いも揃って先ほどから、ディアナの味方をしてくれる後宮の女性たちにつっかかっていた、処刑推進組である。
アルフォードがこの場を任せた部下たちはさすがに優秀で、出てくる間合いも連行の手際の良さも文句の付けようがなかった。……罪人の連行などは本来なら王宮騎士の仕事であるが、今回その王宮騎士の中から『反逆者』が出たという事情もあり、ジュークが例外的に国王近衛を動かしている。
ちなみに、部下たちにこの場を預けたアルフォード本人は今回、議会の中と外の連携調整役を担っている。ディアナの味方になって戦ってくれているのは議会に入れる者ばかりではなく、しかし流れによっては彼らの力も必要になるからだ。
……まぁ今は、放心したディアナを安全に『紅薔薇の間』へ連れて行くために、本当に議会から離れているけれど。
(保たなかったか。……やってくれる)
『二つで一つ、対の文様。どれほど遠く離れても、互いの『絆』を受け止めて、互いの『声』を届け合う』
伝承に謳われるこの『文様』は、『遠話』の呪符と呼ばれるもの。資質のある者が正しく使えば、遠く離れた味方と物理的距離を超えて会話ができ、しかもその内容を当事者二人以外から完全に隠すことができる。
クレスターの屋敷の地下に秘められた『伝承』は、呪符一つに留まらない。空を駆け、大気を味方につける風使いや、水を纏い、海すら操る人魚と呼ばれた娘。――大地に愛され森に守られて、命育む奇跡の力で世界を動かした『森の姫』など、まさに子どもが喜ぶ空想のようで。
幼いディアナを「お伽噺くらいに思っとけ」と誤魔化したデュアリスの気持ちが、今なら怖いくらいの実感を伴って、エドワードにも迫ってくる。
(千年以上の月日の中が経って、俺たち『古の一族』ですら、『伝承』の実態を読み解くことは困難なのに。どこの誰が、不完全な『呪符』なんざ組み立てて、資質のない奴らに渡して、――ディアナの目の前で、『最悪の結末』を見せつけやがったッ!!)
エドワードは『賢者』を継ぐ者として、『伝承』が単なるお伽噺でないことは知っていた。『闇』に混じって仕事をする中で、現代に『伝承』の世界が生き残っていることも、何となくではあるが感じていた。
――しかし、最も身近な家族の中にいる『伝承』を、今なお語り継がれる歴代最高峰の『姫』に勝るとも劣らない『力』を持つ存在を、こうなるまで隠し続けたデュアリスの手腕には、ただただ感服するしかない。
(……過ぎた『力』は災いしか招かない。身の丈に合わない『呪符』が、ライノとベルから命すらも奪ったように。――あれは、『力』を持つ存在にとってまさに、『最悪の結末』だ)
オレグはまだかろうじて息をしていたが、それもどこまで保つか。適切な治療を施せば延命は可能だろうけれど、『オレグ』の人格はもう残っていなかった。……ただ息をするだけの『生物』としてでも、彼は生き続けたいだろうか。オレグでないエドワードには、想像することも難しい。
『伝承』が千年以上前の『現実』だったと知っていても、エドワード、そしてデュアリスにすら、『呪符』についての詳しい知識は存在しなかった。――扱える者以上に『呪符』に描かれる『陣』を組み立てられる者は稀で、『伝承』の中にすらほとんど出てこないからだ。
『なるほど。……大変なことになっているのですね』
そんな自分たちに、何でもないことのようにあの人は言った。
『このように出来の悪い呪符、私の師が見たら愕然としたのち激怒でしょう。これでは『力』のない者だけでなく、修練を積んだ者ですら喰らいかねない。……こんな粗末なものを『陣』とされてしまったのでは、本職の立場がありません』
『だが、かろうじて使うことはできる。現代に蘇る『伝承』を、自在とはいかないまでも操れる『何者か』が敵方にいるのは脅威だ。俺たちは『伝承』の世界について、それこそ代々の口伝くらいしか知識がないのに』
『デュアリス様がお望みなのであればもちろん、私の知る限りをご教授いたしましょう。……ただ、なにぶん今は時間がない。ひとまず息子が動くと仮定して、これから『遠話』は組み立てますが――』
『大丈夫なのか?』
『符術を学ぶ者にとって、『遠話』はもっとも基本となる、単純な構造の『陣』です。集中力も体力も、そこまで奪われるものではありませんから』
鷹揚な笑みを見せつつも、彼は――『黒獅子のソラ』は、ベッドの上で表情を曇らせた。
『カイが『遠話』を受け取れば、私から指示を出すことはできますけれど。アレも性格からなのか、一点集中型でして。一通りは仕込みましたが、どうも得手不得手が極端に分かれるのですよ』
『ちなみに、得手は何だ?』
『単純に力押しです。我が息子ながら頑固で、こうと決めたら絶対に曲げませんからね。――ぶつかって、打って壊して、破っていく。その気になれば世界を終わらせる破壊神にだってなれますよ、あの馬鹿は』
『まさしくお前の息子だな。……その分、繊細さが要求される分野は苦手、か?』
『さすがはデュアリス様、よくお分かりで。別に霊術に限った話じゃありませんが、ちまちました細かい作業は苦手みたいですね。できないわけではありませんが、『探索』や『追跡』は時間がかかる。大ざっぱな感性のお陰か衣食住にすらこだわりがないので、ある意味裏稼業は天職ではあるのですが』
あの適当感性で末姫様にご迷惑をおかけしていないか、本当に心配ですよ……と父親らしい言葉を呟き、ソラはしばし目を閉じて熟考した。
やがて彼が目を開いたとき、エドワードはその黒曜石の瞳が、不思議な透明感を宿していることに気付く。
これまでとはどこか違う、神秘的な空気を纏って、彼は口を開いた。
『事態は急を要します。まずは国王陛下のご寵姫様を無事に救出することに重きを置きましょう』
『……良いのか』
『当然のことです。ただ、私もまだ体調が万全とは言い難い。私の持つ知識と経験を皆様にお伝えするのは、もうしばしお時間を頂きたく思います。……ドリーの許可がないままに無茶をすると、後が怖いですからね』
『当たり前だ、そりゃあドリーが正しい。――済まないが、よろしく頼む。できる範囲で構わないから、お前の息子を助けてやってくれ』
『賢者』ですら詳細を知らなかった『呪符』をあっさり作るソラと、父親からみっちり仕込まれ『力』を自在に操るカイ。獅子親子の助力のお陰で、かろうじてシェイラ救出を成功させ、逆転への布石を打つことができた。シェイラが生きて帰ってくるだけで充分すぎるくらいだが、まさか彼女があれほどまでに状況判断能力に優れ、いくつもの証拠を持ち帰ってくれるとは。――シェイラ・カレルドを『ジューク王の正妃第一候補』と定めたクレスター家にとっては、頼もしい限りである。
(ディアナの心を……頼む、守ってくれ)
ベルとライノの破滅は、エドワードから見れば完全に自業自得だ。動機は理解できるし同情の余地もあるとは思うけれど、だからといって犯した罪まで軽くなりはしない。自分たちの欲望のために『妹』を操り、殺人まで唆した。それが頓挫したと見るや、次なる誘拐を一切躊躇わずに実行して。……留まろうと思えばいつでも留まれたはずなのに、結局最期まで『駒』となる道を選んだのは二人自身。
救いのない結末だとは思うけれど、そこにエドワード自身の感情は乗らない。因果が巡った、ただそれだけで。
――だが。エドワードの心優しい妹は今、この救いのない結末にきっと、張り裂けそうな胸の痛みを感じている。ソフィアと顔見知り以上には親しんでいたディアナにとって、大切な『姉』と『兄』を同時に喪った彼女の悲鳴は、いつまでも忘れられない類のものと成り果ててしまったはず。……深い哀しみと悔恨の渦に堕ちたディアナに、今の自分たちはついていてやることができない。
『妹を、『紅薔薇の間』に戻します。……後を頼んでよろしいですか』
ソフィアの悲鳴が響く中、エドワードにできたのは、引き上げようとする『名付き』の側室三人とシェイラにディアナを託すことだけで。『被告席』を見上げた四人は、一も二もなく頷いてくれた。
大切な妹を、頼りになる女性たちに預けて。――エドワードは妹をここまで苦しめた『元凶』たちと対峙する。
――ココット侯爵含め、合計十一人の『処刑嘆願チーム』が出揃ったところで、デュアリスが冷笑とともに口を開いた。
「ココット候を除く十人は、引っ立てられたのがどうしてか分かってるよな?」
「ま、待て、クレスター伯!」
「知らなかった! 我らは紅薔薇の、いや、紅薔薇様の嫌疑が偽りだったことなど、知らされてはいなかったのだ!」
口火を切った二人に、集められた者たちは次々頷く。中には『誘拐事件』のハーライ侯爵とラーノス騎士の欺瞞を知って、口汚く二人を罵る者もいた。
デュアリスは彼らの好き勝手な主張を、一通りふむふむ頷きながら聞いて。
「言いたいことはそれで終いか? ――揃いも揃って、目も耳も飾りな奴らばかりかよ」
さっくりすっぱり、切って捨てた。
「さっきも言っただろ。誘拐された被害者を捜索するより先に、こんな不確かな妄言で側室筆頭を捕らえることに同意して騎士を後宮まで踏み込ませ、ろくな取り調べもしないまま処刑嘆願に名前を連ねただけで、充分すぎる王家への反逆だ。ココット候の陰謀やハーライ候の内実を知っていたかどうかなんざ関係ない。調停局側で嘆願書を受理した奴らも当然、反逆罪と調停局員としての不適格が問われる」
「し、しかし! 紅薔薇、様はあくまでも側室であって、王族ではいらっしゃらないだろう! 王族でない以上、『反逆罪』の適用は、」
「あぁ、その辺の判例は俺も気になってたんだ。――モンドリーア公爵閣下、如何です?」
いきなり振られた宰相ヴォルツは、外面こそ平然と反応しているものの、間違いなく内心では「面倒な解説役を振りおって」とため息をついていることだろう。『賢者』が過去の判例を把握せずにこの場に挑むなんて、天地が逆さまになってもあり得ないのだから。
求められた瞬間に存在感を強くするヴォルツは、そういった訓練なんて積んでいないはずなのに、気配の出し入れだけなら隠密並に自在である。
「三百五十年ほど前まで遡るが、やはり側室に横恋慕した男が無理矢理彼女を王宮から攫って妻にしようとし、捕らえられたことがある。純粋な恋心が暴走した結果とはいえ、彼女は王に請われて是非にと城へ上がった娘。既に正妃が居たため正式な王族には数えられなかったが、当時の王は『側室は正式な王族ではなくとも、もっとも王族に近い存在である』と明言し、王の意向を受けて調停局は反逆罪の適用内とした。――前例がある以上、『側室への危害』は反逆罪の対象となり得る」
「馬鹿な!!」
中央に集められた者たちが真っ青になるが、もう本当に「何を今更」状態でしかない。『寵姫への危害』についてディアナに死罪を求刑し、処刑台をいそいそ用意したのだから、『紅薔薇への危害』で自分たちが同じ運命を辿る可能性もあると、真っ当な頭を持っていれば分かりそうなものだ。
絶対王制エルグランド王国にとって、建前上は王家こそが至高。王家への反逆は、場合によっては死刑も視野に入る。
(ま、今回はそこまで踏み込めないけどな)
時の王に堂々と弓引いたくらいの罪状がなければ、現代の世で死刑はあり得ない。ココット候のジュークへの暴言で、かろうじて議論できるか程度だろう。
キースとエドワード、ついでにジュークの若造組が無言で見守る中、議会は軽やかに討議の場へと変化していく。デュアリスの言葉に異義を唱える罪人たちへ「自分たちはその理屈で紅薔薇様を亡き者にしようと企んだではないか」と正論をぶつける革新派、「外野はすっこんでろ!(意訳)」と怒鳴る保守派、「まぁまぁ」と仲裁に入る中立派と、現在の王国貴族の分かり易い派閥構造がそこにはあった。
キースには見慣れた光景であろうそれは、代々中央政治から距離を取る『クレスター』のエドワードには、実のところ新鮮なもので。どこから見ても明快な保守派の粗をここぞとばかりに叩く革新派に、「そいつらが馬鹿なだけで俺ら関係ないもん」と開き直る保守派の姿は、行き過ぎた派閥争いはマジで政治関係ねぇなという現実をよく示している。
「……けど、思ってたほどは左が爆発してないな。最悪夏以前の後宮まで持ち出して、議会がガチの修羅場になる状況も想定してたんだが」
「デュアリス様が側室のご家族方に公の場で敬意を表されましたからね。『悪の帝王』にそこまでされて、なおみっともなく騒ぐほど、『紅薔薇派』ご側室の実家は無分別ではありません。今だって、騒いでいる革新派は後宮とは関係ない方々でしょう?」
「だな。とにかく『保守派憎し!』で動いている雰囲気だ」
「そこだけ切り取れば、『外野は黙れ』という意見も分かりますよ。今回の件に、彼らは関係ありませんからね」
熱を込めて保守派を叩く革新派の方を見ながら、キースは冷めた眼差しだ。エドワードは少し意外に思う。
「ハイゼット家も爵与制度で子爵位を与えられたんだから、新興貴族だろ? 保守派よりは革新派に共感できるんじゃないのか?」
「確かに我が家も、革新派に数えられますけどね。数えられて、革新派の社交を中心にこなすからこそ、近年の過激な主張には頷けない部分も多いのですよ」
「あー……『古いモノは全部ぶっ壊せ!』的なアレか?」
「……ココット侯爵が仰った、『文化財の保護が蔑ろに』の一節には、実は私も賛成なのです。特にマミア大河より西の地域は、旧くはエルグランド王国とは全く違った文化、歴史を育ててきた。あらゆる学術分野において貴重な遺跡や資料が、『古いモノは要らない』なんてくだらない主張で排斥されるのかと思うと、背筋が寒くなります」
そういえばハイゼット子爵家は、他の新興貴族家とは少し違い、他国の歴史文化を鋭い切り口から研究し、外つ国との付き合い方について民間から提言した学術分野における功績を認められての叙爵だった。男爵位ではなく子爵位を与えられたところから見ても、その研究と提言がどれだけ王国にとって大きかったか推し量れる。
官吏として間違いなく有能で、顔に出ないだけで情熱的なキースは、同時に学問にも真摯な一面があったらしい。他国の歴史や文化をそれほど深く追究できる一族の末裔が、自国の歴史に無関心なわけもなかろうが。
うっかりココット侯爵の肩を持つような発言をしてしまった自分を苦く思ったのか、ずれた眼鏡を直すフリで俯いたキースに、エドワードは敢えて軽く笑った。
「ま、同じ派閥だからって、何から何まで主張を横並びにさせる必要はないだろ。保守派にあからさまに攻撃的な革新派貴族、今見てる感じだと結構少ないみたいだし。一人くらい、『王国の古い文化も大切にしつつ、新しい異国の風も折々に取り入れて』とか主張する革新派が居ても、別に悪くない」
「……ご自身は派閥争いに加わらないからと、好き勝手言いますね」
「この国はもともと、国民全員が好き勝手ほざくのを、お人好しで世話好きな『王』がそれぞれの主張を上手く取り入れてまとめ上げることで、なんか知らんが半島統一しちまったような存在だよ。排他的な強硬主義に走っていたら、方々から反発くらって統一前にポシャってたと思うぜ。雑多な主義主張、大いに結構。それを拾うために『王』はいて、拾いきれない分を補佐するために俺たち『クレスター』がいる。立場とか派閥とか気にせず、言いたいことはガンガン言っとけ。溜め込むと身体に悪いぞ?」
「聞いたことがありません、そんな話」
「気になるなら、落ち着いてからアルに聞いてみろよ。キースはハイゼットの跡継ぎだし、スウォンが保管している歴史資料を見せる相手としては妥当だろ。……冗談みたいなホントの話で溢れてるから、読んでる間先祖にツッコミの嵐だけどな」
ポーラストに爵位が与えられたくだりでは、資料に向かって思いっきり「マジかよ!?」と叫んだエドワードである。『古の誓約』の部分だけ抜粋すればただの美談なのに、前後を合わせると全体的に残念になる歴史秘話なんて、なかなかお目にかかれるモノではない。そもそも、『半島統一はうっかりが重なった事故』って何だ。
(『湖の王国』を核とした『都市国家群』が『エルグランド王国』に変わったのだって、モトを辿れば酒の席での深夜テンションに行き着くしなぁ……)
知れば知るほど深く考えるのがバカらしくなる国、それが『エルグランド王国』だと、エドワードは割と本気で思っている。
ヴォルツがお家芸「まぁその辺で」を発動させたのを横目に見ながら、軽くキースの肩を叩いた。
「公の場で堂々と意見を言うにはまだいろいろ足りなくても、仲間内の酒の席でクダ巻く程度なら抵抗もないだろ。アルとジューク誘うから、お前も外宮室の奴らの予定聞いとけよ」
「そこであっさり『陛下』を数に入れる辺りがエドワードですよね……。まぁ、ウチの連中にもたまには息抜きさせないといけませんから、話はしておきます」
きっちりツッコミつつも「陛下と同席なんて!」と言い出さない辺り、実はキースも相当に豪胆な男である。
若者二人が呑気に飲みの約束を交わす中、外野による無意味な火花の散り合いが一段落ついた議会では、デュアリスを中心とした有識者たちが、過去の判例をもとに『反逆者』たちの処分内容を検討し始めていた。
「やはり王宮における職、貴族位剥奪の上、生涯幽閉が妥当でしょう」
「……温くはないか? それでは、各々の家はそのまま続くことになる。息子を表向きの跡継ぎに据え、幽閉場所から巻き返しを謀るやも」
「禁錮刑における外部とのやり取りは認められませんが……」
「いや、そもそも本人たちの主張は――」
議論が進む中で、ひとまず名前だけの荷担を主張する者たちに関しては、王宮にて身柄拘束のち、各家を調査して余罪を追及。その結果を待って刑の内容が決定されるという、まぁ無難な結論に落ち着いた。
罪人たちを拘束場所へと連れて行く国王近衛騎士たちが、「場所が足りないので地下牢を使うことをお許しいただきたく」とイキイキしながら王に進言し、ジュークも間髪入れず「そなたたちの良いように」と返す。騙されて名前を記しただけだと喚く彼らではあるが、そこそこ事情を把握していたことは調べがついているのだ。王宮各所に隠れて散っていた国王近衛騎士たちや、いつもの雑用のフリであちこちの部屋を訪れていた外宮室の室員たちは、「紅薔薇は地下牢に放り込まれている」「身の程知らずの小娘が、いい気味だ」とニヤニヤ笑う彼らをばっちり目撃している。その上でこんな言い分を聞いては、「じゃあお前らも地下牢行きな!」と近衛騎士たちが思ってしまうのも無理はない。即許可を出したジュークとて、報告は逐一受けていたのだから同じ気持ちだろう。
血色よく激怒している国王近衛騎士たちによって、「騙されたのだー!」「名前だけだ!!」と最後まで往生際悪く叫び続ける処刑推進組が議会から退場させられて。――残ったのは。
「……お前たちに関しても、基本は同じだが。ひとまずは時間短縮のため、この議会の場で、メルセス、ハーライ、ユーノス三名の職務上違反を理由とする王宮職剥奪の許可を得たい」
デュアリスの言葉には、さすがにどこからも異論は上がらなかった。デュアリスは一つ頷いて、ジュークに視線を向ける。
ゆったりと立ち上がり、ジュークはよく通る声で宣言した。
「メルセス侯爵。調停局の局長補佐という重大な立場にありながら、法を軽視し己の正義だけを過信したそなたの姿勢は、到底『法の番人』とはほど遠い。この場でそなたの職を解き、調査が完了するまでの謹慎を申しつける」
既にデュアリスに心を折られていたメルセス侯爵に、王の言に対抗する気力が残っていたわけもなく、彼はのろのろ顔を上げてゆっくり頷いた。ジュークはきちんとメルセス侯爵と目を合わせて頷き返し、次いで隣のハーライ侯爵を見る。
「ハーライ侯爵。側室の誘拐という重大事件を事前に知りつつ、阻止するどころか後押しするような工作を施した上で、その罪を側室筆頭『紅薔薇』へと被せたそなたの行いは、内務省副大臣補佐としてのみならず、王国を支える貴族としてもあるまじき振る舞いである。――よって今、王権により、そなたの王宮における全ての職と地位を剥奪する」
力なくうなだれたハーライ侯爵は、さすがにもう反論する気はないようだ。彼の態度を確認し、ジュークはユーノスに視線を移した。……心なしか、その瞳が鋭くなる。
「ユーノス騎士。城を守る王宮騎士でありながら、誘拐犯たちの侵入経路確保に協力し、誘拐の現場を見届けて側室の命を危険に晒すなど、騎士道精神の欠片もない逆賊行為であることは明らか。しかも、自らも側室の誘拐に『手を出さない』ことで荷担しながら、実行犯を捕らえて歪んだ自白を強要し、己の罪も紅薔薇の無実も知りながら、王の許可なく立ち入ることは許されぬ後宮へと乗り込んだ。――あまつさえ、健気にも主を守ろうとする非力な侍女や女官に剣を向け、彼女たちを人質に紅薔薇を従わせたその行為は卑劣極まりない!」
ジュークの語気が荒くなった。ただでさえ自らの無知によって踏みにじられていた後宮を、やっと大切にしようと一歩踏み出したところで、これほどの暴虐を受けたのだ。王として、またジューク個人として、ここは怒らなければならない場面だろう。
……別段ディアナは人質を取られて屈したわけではなく、『古の誓約』に従い『クレスター』の人間は、濡れ衣を着せられた場合どこまでも成り行きに身を任せることになっているだけなのだが。ジュークが律儀に怒ってくれているのに、茶々を入れるのも申し訳ない。
「ユーノスよ。そなたは王宮騎士の小団長として不適格なだけではなく、騎士道全てを捨て去った、もはや騎士とも呼べぬ存在だ。よって私は王として、そなたに与えた騎士の称号を取り消し、また未来永劫そなたを騎士とは呼ばないことを、ここに宣言する」
「そ、そんな。私はただ、王国のために!」
「黙れ!! 一人の側室を見殺しにしようとし、その罪をもう一人の側室に押しつけた、その卑劣な行為のどこが国のためだ。――歴史を学べば、分かること。我が国はこれまで、ときの流れの中で消えていった者たちを一度でも、『王国のための犠牲』などと称したことはない!」
ジュークの背後に突如、青い炎の幻覚が見えた。演技ではなく、しかし我も忘れずに、今ジュークは真剣に怒りの感情を露わにしている。
「国のために、人が居るのではない。人のために、国はあるのだ。人のための国が、人を犠牲にどうやって成り立てる。そのような国は、いずれ膿んで、病んで、朽ちてゆく未来しかない。――そなたのしたことは『王国のため』どころか、この『エルグランド王国』を滅びに導く裏切り行為であることが、まだ分からぬのか!!」
消えていった命を惜しんで、悔やんで、救えなかったことを嘆いて。
消さなければどうしようもない現実に苦しみながら、この手で消した命を生涯背負い続けて。
そうやってこの国は、ずっとずっと、歩き続けてきた。
いちばん大切なのは、『人』だから――……。
まっさらなジュークの怒りに、ユーノスが、この瞬間から『騎士』ではなくなった男が、がくがくと震えて崩れていく。ジュークの剣幕に驚いたのはユーノスだけでなく、おそらくはココット侯爵と同じように、ジュークが自分では何も考えられないと思い込んでいた多くの貴族たちも、目を見開いて高い場所の彼を見つめて。
――その一瞬、エドワードは確かに見た。議会の中央のデュアリスが、その翡翠の瞳を険しいいろに染めて、その中の一人を凝視するところを。感情に振り回されることがあまりない父が、議会という大舞台で僅かとはいえ心情を表に出したことに、エドワードは密かに驚く。
もっと驚いたのは、デュアリスが見せた感情が、怒りでも侮蔑でもない――。
(にく、しみ……?)
一瞬だけ過ぎったそれは、心の底から相手を純粋に憎悪する、いつも飄々としたデュアリスにはおおよそ似合わない感情だった。あれほど混じりけのない、ほんの刹那で心を暗黒に染めるほどに激しい憎しみを、エドワードはこれまで見たことがない。
デュアリスの中にある、おそらくそれは触れてはいけない禁域。本人ですら普段は忘れ、無いものとして心の底の更に底へと沈めている。
……それが、今。ジュークがはっきりと『王』として、己の目指す道を宣言した瞬間に、ジュークを見る『彼』相手に衝動的に浮上した。さっきのデュアリスの『刹那』は、そんな風にエドワードには見える。
デュアリスが確かに憎しみをぶつけた、その人物もまた。
ジュークを見ながら、おそらくはその『向こう』を憎々しげに睨み据えていて。
これまで考えたこともなかったとある『疑惑』が、瞬きの間に構築されていく――!
(――っ、呑まれるな!!)
分かっている。――知っている。
『一』を足掛かりに『百』を知る。それこそが『賢者』の本質であり、エドワードの中にも確かに存在する『力』だ。操ることのできない『それ』は前触れなく発動し――そのときに見えた『推論』は『真実』に肉薄していることを。
それは、たいていの場合いつも、知りたくもなかった『真実』で。今だって、組み上がった『疑惑』を検証する余力は、エドワードには存在しない。己の中で荒れ狂う『力』に呑まれないよう、自制するので精一杯だ。
「エドワード? ……どうしました、真っ青ですよ」
隣のキースが声を掛けてくれたことで、やっと現実に立ち返ることができた。数回深く呼吸して、何とか笑みらしきものを浮かべてみる。
「ちょっと、な。……発作みたいなモンだ」
「……何か持病でも?」
「命にかかわるようなモノじゃないが。……持って生まれたものからは、逃げられない」
「病ならば医者へ……と言いたいところですが、おそらくそういった類のものではないのでしょうね。私には適当に誤魔化して頂いて結構ですが、後でちゃんと陛下にご説明しておいてくださいよ」
言われて、反射的にジュークを見てしまった。何だかんだで目敏い彼は、短い間とはいえ挙動不審に陥ったエドワードをしっかり目撃したようで、気遣わしげな視線を流してくる。心配させないよう笑い返して、――心の中で悲鳴を上げた。
(説明、だと? ……できるか。ジュークにだけは、口が裂けても、これは言えない!!)
ポーラストの稀有な鋭さを、アストは敬意を込めて『賢者の慧眼』と呼んでくれたそうだが。……こんな、知りたくもない『真実』ばかり暴く『慧眼』なんて、いっそ呪いと変わりない。悪人面なんて、『慧眼』に比べれば可愛いものだ。
――しんと、奇妙に静まった議会場で。
静かに『最後の一人』へと、デュアリスは視線を向けた。
「ココット候。――覚悟は良いか」
「私を、殺すか?」
何かが麻痺したらしいココット侯爵は、受け答えが成り立っているのにどこかズレていて、不気味な恐怖を周囲に与えていく。ヒヒヒと笑い、健気に肩に停まり続けるエクス鳥を撫でた。
「私を殺すなら、このイルも殺せ。親を喪ったエクス鳥の悲惨さは、そなたも知っているだろう」
「さっきから、何か勘違いしてないか。……俺は、この国は、お前を殺さない」
静かに言い切ったデュアリスに、ココット侯爵の目が極限まで大きくなる。
デュアリスは薄く笑った。
「意外か? 確かに、お前が我が娘にしたことを考えれば、百回でも殺してやりたいが。この国の法では、死刑は手間暇時間が掛かるんだ。……そこまで待って、しかも死ぬときは一瞬であの世に送ってやれるほど、俺はお前に寛大になれない」
エルグランド王国の死刑は、さんざん言われているように頸切り――ギロチン台による斬首だ。見た目は派手で残酷だが、実は刑を受ける方は一瞬で意識を飛ばして楽に死ねる、罪人に優しい仕様である。死刑が決まるまでは悠々自適な監禁生活、肝心の死ぬときも一瞬とくれば、正直イロイロ割に合わない。
――しかも。
「あと実際問題として、お前は誰も殺してないんだ。ベルとライノの二人に関しては、殺人を立証するのは極めて困難だろう。死因すら、今のところは不明だからな」
「ど、どういう……」
「分からんか? ――お前の罪では、そもそも死刑を求刑できないんだよ」
ジュークへの暴言が『直接的な王への反逆』の見なされるかどうかだが、実際に命を脅かしたならともかく、言葉一つで臣下の首を物理的に跳ねるほど、幸か不幸かエルグランド王家は狭量ではない。過去の事例から見ても、ココット侯爵を死刑にするのは単純に不可能だ。
「シェイラ嬢もディアナも、死ぬことなく助かった。この状況で無理矢理お前を死刑にするのは、それこそ法の軽視だろうが。とはいえ、後宮で騒ぎを起こして毒殺未遂、側室誘拐に殺人未遂と、とんでもない犯罪の糸を裏で全部引いてやがったんだからな。職、王宮での地位、貴族位全て剥奪の後、ガントギア特別地域にある罪人就労用鉱山にて終身刑、辺りが妥当じゃないか?」
「――父上。ココット候個人だけでなく、ココット家全体への処罰もお忘れなく」
側室たちを連れて後宮へ戻るクリスとすれ違う際にこっそり握らされた紙には、『ココット侯爵が悪徳高利貸しと組んで屋敷の使用人を奴隷のように扱っている。屋敷から逃げる使用人たち数人から証言も取れた。使用人たちに逃げられてオロオロしているココット侯爵の長男が、証拠の証文類を焼き捨てようとしている現場に後宮近衛で踏み込んで、長男も捕縛済み』という鮮やかすぎる三段報告が記されていた。シェイラの行方を探る建前で王都に散っていた後宮近衛の女性たちは、ごく普通の町娘の衣服の下に短剣を隠し持ち、王宮の調査組が狙いを定めた家々の近くで、何か異変がないか見張ってくれていたのである。
追伸として『仔獅子の彼からくれぐれもよろしく頼まれてるから、適当に流したら後が怖いよ』とも書かれていて、何で自分より先にクリスがカイと会ってるんだと、無駄にふてくされたくなったのは余談だが。シェイラの引き取り役として動けるのがクリスしかいなかったから仕方がないと、そこは割り切るしかなさそうだ。
エドワードの口出しに「分かってる」と頷いたデュアリスは、軽く肩を竦めた。
「ココット侯爵家だけでなく、メルセス、ハーライ両家も、調べた限りじゃイロイロ小狡い悪事を繰り返してるみたいだが。――ココット候。そなたには侯爵家として、詐欺と奴隷使用の重罪の嫌疑が掛けられているからな。ちなみにそなたの息子は、その二つに加えて証拠隠滅未遂の現行犯で、既に捕縛されている」
「な、に……!?」
薄い頭をてかてかさせて、ココット侯爵が口を大きく開けた。『由緒あるココット侯爵家』を自認する彼にとって、自分個人の破滅以上に家に降りかかった危機は重大事のようだ。
「馬鹿な! そんな……そんなはずは!!」
「証言だって揃ってるし、屋敷に山ほどあった証文の違法性も明らかだそうだぞ? そういやお前の息子の趣味、だいぶ気持ち悪いな。嫌がる若い女性に無理矢理丈の短いスカート履かせてどうとかこうとか。女性への精神的暴行の罪も加えて良いんじゃないかって、現場からの報告だ」
「む、娘たちも喜んでいた!」
「……ぁあ?」
苦し紛れのココット侯爵の言葉を聞いた瞬間の、デュアリスの顔こそ見ものだった。ただでさえ怖い魔王面が冷たく冴え渡り、その翡翠の瞳は限界まで鋭く、生ゴミに集る害虫を見るかのような視線でココット侯爵を睥睨して。
「足を見せることが男への性的誘惑になるって国で、好きでもない男の前で無理矢理生足晒される娘たちが、喜ぶわけ無いだろうが。女性の人格を認めない、最悪な部類の暴力だよ。アレを喜んでたって本気で解釈するなら、頭の病院にかかった方が良い」
魔王面から、そしてエリザベスがどう頑張っても生贄の姫にしか見えない残念な現実からあまり知られていないが、実はデュアリス、生粋の女性崇拝者だ。妹にフィオネ、妻にエリザベス、娘にディアナ、ついでに嫁にクリスと揃って女に甘くならなかったら嘘である。エドワードもそれなりに紳士な対応が板に付いている方だと思うけれど、『女をさんざん利用し弄んだ挙げ句にあっさり捨てる』悪人面に生まれてしまった身として、父ほど女に夢は見られなかった。
「覚悟するこったな。突入隊は完全に激怒して、『こんな奴は去勢して、男客限定の男娼館にでも放り込んでやれば良い』って息巻いてたそうだから、たぶん提案書として普通に上がってくるぞ」
「うわぁ……」
隣のキースが遠い目になった。『突入隊』とは早い話が後宮近衛騎士たちで、その頭はクリスだから、たぶんどころか間違いなく、現場からの要請として正規のルートで上げてくる。『下手に目覚められたらご褒美になっちゃうから、ハードプレイ専門の男娼として働いてもらおうよ。もちろん刑罰の一環だから、スズメの涙の給金で』なんて案を笑顔で追加する婚約者の姿が目に浮かぶようだ。
キースが遠い目になっているのはおそらく、今回の件の協力部署として、その『提案』に色濃く関わらなければならないと悟ったからだろう。いくら「どんな仕事もお任せ!」な外宮室でも、信用できる『男客限定の男娼館』を探して(この時点で既にツラい)、罪人の就労を『ハードプレイ専門の男娼』として要請(そんな専門家がいるのかまず謎だ)、加えて去勢の方法についても考えなければならないとなると、ちょっと現実逃避したくなって当然と思われる。いや、ハードプレイ云々はエドワードの勝手な想像だが。
(……うん、こっそり『裏』の連中に聞いて、俺も手伝おう)
クリスの激怒で外宮室に精神的苦行を与えるのは、さすがに婚約者として申し訳ない。「俺も手伝う」とぼそっと呟けば、キースは力なく「いえ、そもそも通るかどうか分かりませんから」と希望的観測に満ちた返事をくれた。最上段でジュークが引きつった表情になっているが、最終決定を下すのはオマエだしっかりしろ。
ここまで追い詰められたのだから素直になれば良いものを、ココット侯爵はまだ、『ココット家断絶』の危機を認められないらしい。奇声を上げて暴れようとするのを、国王近衛騎士二人掛かりで取り押さえた。
「ふざけるな! クレスター、貴様、たかが三百年の伯爵家の分際で、我がココット侯爵家に刃を向けるか!」
「何度も言うが、俺たちは好きで伯爵位に留まってるだけで、『貴族』としての長さなんざ別にどうでも良いからな。我が家に対してそれは罵倒にならんぞ」
「『悲劇のリアラー子爵家』のエリー嬢を妻としておきながら!!」
「エリザベスの愛称をお前如きが呼ぶな。エリザベスをエリーと呼んで良いのは、それこそリアラーが絶えた今となっては俺たちクレスターの人間と、エリーが認めたエリーの友人たちだけだ」
「黙れ! 黙れダマレだまれえぇ!! 私は赦さんぞ、貴様を赦さん、生涯呪い、死んでも呪い、――未来永劫『クレスター』を呪ってやる!!」
取り乱したココット侯爵の渾身の叫びに、デュアリスは――。
「そーかそーか、まぁ頑張れ。これまで俺たちに呪詛を吐きながら消えてった家なんて、数え切れないくらいある。ココット家もこれからそれに加わるってだけの話だ。せいぜい先人たちと協力して、俺たちの悪人面が更に凶悪になるようにとでも呪っとくんだな」
実に楽しそうな『魔王の笑顔』を満面に浮かべ、悪役オーラ全開で、一切の慈悲なく荒れるココット侯爵をあしらう台詞を吐き捨てた。……それはまさに、クレスター家の伝説の一つ、『取り潰された数多の家に呪われながらも平然と悪の道に突き進む『帝王』』そのもので。
(……あぁ、こうして伝説は積み重なっていくんだな)
我が父ながら、この悪人オーラはとんでもないと、再認識したエドワードであった。
「カイが出てこない」と感想欄でお叱り(?)を受けるたびに、「議会編長くしてホントスミマセン」状態なのですが、今回カイパパソラさん出てきたから許してと言い訳してみる← 登場回数そう多くないどころか、回想シーン含めても絶対両手で数え切れる程度しか出てきてないのに、異様な人気の黒獅子さんェ……。
議会編終わったところで宣言しますが、ひとまず「悪役令嬢後宮物語」は、バレンタインの日の更新で一区切りします。毎週日曜更新もあと3回、ですね。
では、また来週に。




