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宇宙船をもらった男、もらったのは星だった!?  作者: 山口遊子


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89.停戦


 アルゼ中央からハルマイネに派遣された揚陸艦艦隊ではあるが、主要惑星マンドルカに接近したのちは、降下作戦を行うことなく待機態勢に入っている。



「艦長、アルゼのマルコ提督より、通信が入っています」


つないでくれ」


「艦長の机のモニターにお出します」



『山田代表、枢密院会議でアギラカナ側の提案を検討させていただきました。当方としましては、ハルマイネ星系近傍だけでなく、首都星系ハミラピラトラ周辺もゼノに対して防衛していただければ、そちらの要望に沿えるとの結論を得ました』


 こちらの予想通りの回答だったためなんだか少しうれしくなって来た。ある意味、超覇権大国の無体むたいな要求を聞く小国の悲哀をアルゼも今回味わったかもしれないが、我慢してもらうしかない。


「了解しました。こちらからは、二個艦隊、および強襲揚陸艦二隻を派遣します。ハルマイネ星系到着は五日後になります。艦隊出現先はハルマイネ星系外周部、……となります」


『二個艦隊がどの程度の規模なのかは想像するしかありませんが、了解しました。よろしくお願いします』


 ここで、通信は終了した。


「それでは、マリア、アギラカナに連絡して艦隊を発進させてくれ」


「了解しました」





 アギラカナから発進した艦隊の内訳は、


 未充足部分を他艦隊から臨時配置換えを行い完全充足二個艦隊で連合艦隊を編成し、連合艦隊司令長官としてアマンダ中将がインスパイヤを旗艦として座乗している。これに陸戦隊の強襲揚陸艦二隻が追従する形だ。


 正規母艦4×2(有人攻撃機+随伴無人攻撃機八機の戦闘単位を1艦当たり6250)

 雷撃戦隊9×2(1戦隊当たり軽巡洋艦1+駆逐艦6)

 打撃戦隊1×2(1戦隊当たり重巡洋艦6)

 強襲揚陸艦×2(1艦当たり1個増強連隊、陸戦歩兵3600名、陸戦歩兵1名当たり12機の無人支援兵器が随伴)


 正規母艦の搭載機には大気圏内作戦可能機は含まれてはいないため本作戦での意味合いは薄いのだが、演習のつもりで出しましょうというアマンダ中将の言を入れ派遣することにした。そういった事情なので補給母艦は出していない。



 艦隊がアギラカナを発して五日後、艦隊はハルマイネの主要惑星マンドルカから5AUの距離をとった星系外周部に無事ジャンプアウトした。艦隊のマンドルカ上空到着時間や停戦の条件等についてはすでに内乱側にも伝えている。


 ジャンプアウト予定座標はあらかじめアルゼ側に伝えてあったため、アルゼ側の宇宙艦が数隻近傍で警戒中だったほかは周辺宙域に宇宙船などはなかった。


 艦隊はジャンプアウト後すぐに二つの四角錘型隊形に隊列を組みなおし、マンドルカにやや低速の光速の10パーセントの速度で向かっている。


 艦隊が星系内にジャンプアウトした四十分後にはマンドルカから、アギラカナ艦隊の艦隊規模、速度等が光学観測され、マンドルカにアギラカナ艦隊が到着するのは事前通告通りの時刻であることが確認された。(観測時点から三時間ほど)


 内乱側の主要メンバー内でも内乱の落としどころについて意見は分かれていたようだが、内乱の継続はもはや不可能であることが、アギラカナ艦隊を実際に観測して強く認識された。そして、アギラカナ艦隊がマンドルカに到着し惑星上空を封鎖するにおよび、内乱側は停戦案受諾の通信を発した。



 停戦案受諾の通信を受け、強襲艦の降下ポッド内で待機していた陸戦隊員たちは、順次連絡艇に搭乗し直し、マンドルカの主要都市や軍事施設に降り立った。


 連絡艇から降り立った陸戦隊員たちは、内乱軍側の武装解除を順次進めていき、収蔵、隠匿いんとくされていた武器などの接収を進めて、まる七十二時間で、保障占領期間を終えて、上空の強襲揚陸艦に引き上げて行った。


 あまりに、すみやかな撤収に、マンドルカのいまや元内乱軍兵士や市民たちも驚いていたそうだが、元よりこちらは、和平の斡旋あっせんが仕事なので、武装解除さえしておけば一応の任務達成になる。このあと、アルゼ側の陸軍部隊がマンドルカに展開するはずだが、その際、住民や元内乱軍兵士に対する暴行などが起きないよう監視する必要があるのだが、少々のいざこざは発生するかもしれないが、大規模なものは起きないと思う。詳細に情報を取得し続けているであろうわれわれが仲介している状況下で、そういった外交的冒険をさすがにアルゼも犯せないだろう。


 保障占領期間が終わったタイミングで、ハルマイネ星系にジャンプアウトした工作艦二隻と大型輸送船二隻がマンドルカの赤道上空の静止軌道上、百八十度の経度を置いた二カ所に、軌道エレベーター用のプラットフォームの建設を同時に始め、プラットフォームの形がある程度出来上がった段階で、地上へのアンカーケーブルとそのカウンターウエイトケーブルが逆方向に延ばされはじめ工事開始後七日目にして、地上にアンカーが固定された。ここまでで、基本的な軌道エレベーターの本体部分は完成した。


 俺自身は七日で基本部分が完成したことを驚いていたのだが、現在アギラカナで主流のナノボット工法を使用しない工法で作業を行ったため、時間をかなり要したという話だった。


 後の七日で全般的な調整などが行われたあと、二基の軌道エレベーターはアルゼ・マンドルカに引き渡された。


 引き渡し完了後、艦隊と工作艦、輸送艦は速やかにハルマイネ星系から飛び立ちアギラカナに帰還した。


 一連の推移を、大使館内で確認していた俺は、予定通りの作戦成功に胸をなでおろした。






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