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ヴィアンカ・ベルトワーズ 6
「……幻聴が聞えました……」
そう幻聴です。
「あの……なんて言ったのですか?」
身体に廻されている腕に更に力が入りました。何というか胸の下に腕が廻っているので恥ずかしいのですが。背後で首筋にある髪の毛がかき分けられます。手が前にあるってことは鼻先でやりました!?
「ひゃう!?」
ちゅっという音と共に項に温かな感触が!
「い、いま、なにを!?」
「口付けてヴィアンカの香りを堪能している」
「なんでそんなこと……」
「愛しているからだ」
私の耳は可笑しいのでしょうか。先程からあり得ない言葉が聞こえてくるのです。
「誰が誰を……?」
「俺がヴィアンカを」
間髪入れずに戻って来る答。
「え? え? あの……?」
「これで最後だ。お前は誰よりも可愛い。俺はヴィアンカ、お前を愛している」
耳に艶やかな声が聞こえてきてしまいました。




