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part24

迷宮省・福岡支部


「結野D級探索者さん、おめでとうございます。C級へランクアップしました。これからも健闘をお祈り申し上げます」

「ありがとうございます!」


迷宮省の建物内、その受付にて、秋希のC級へのランクアップが告げられた。これにより、秋希は第3ダンジョンでの探索が正式に認められ、輝たちと共に探索することもできるようになった。


「秋希ちゃん、良かったね」

「美咲さん、これまで色々ありがとうございました!」

「いいのよ、私も複数人での探索の練習になったし、配信も伸びたしね」


受付カウンターから少し離れた場所で話す2人。美咲は配信によってそこそこの知名度があるが、支部のロビーは探索者や関係者で混雑しているため、幸か不幸か美咲が声を掛けられることはなかった。しかし、秋希に声を掛ける探索者が1人。


「そこの女の子よう。あんたC級なりたてなんだって?イロイロ教えてやるから俺のパーティに来いよ」

「なんですか貴方」

「そういうの間に合ってるので」

「そんなこと言わずによ。隣の子もどうだ?」


あからさまに下心丸出しの顔で近づいてくるチンピラ風の男。その視線は秋希らの顔ではなく胸に注がれており、体目当てであることを2人は瞬時に察知した。


「いえ。本当に間に合ってるので」

「んだ、つれねえなあ。あんまり強情だとわからせてやるが…どうする?」


そう言って指をポキポキと鳴らす男。これが本当に実力のある探索者であるなら2人も多少は屈したかもしれないが、この男にはその程度の実力もないと2人は判断し、強気に反抗している。しかし男はそれでもしつこく迫って来ており、鬱陶しくなってきた頃。


「失礼、ウチの連れに何か用でも?」


男と2人の間に割って入った者がいた。


「あ、輝くん」

「輝さん?どうしてここに?」


それは偶然(?)その場を通りかかった輝である。しかし輝の見た目は華奢であり、男を追い返すには足りないと言わざるを得ない体つきであった。そのため男は止まらず、


「あ?なに、この子がC級になったばかりらしいんでな、俺がイロイロと教えてやろうとしてんだよ。分かったらつるぺたは帰んな」


等とのたまった。何なら輝を女と勘違いしてもいる。


「それは出来ない相談ですね。彼女は僕のパーティメンバーだ。それに…見た所、僕の方が実力は上のように見えますが?」


つるぺたと言われたことに腹を立てたか、はたまた別の理由があるのかは定かではないが、輝は男を煽り散らかした。


「テメェ、いけしゃあしゃあと偉そうに。どう見ても俺の方が実力は上だろうが」

「ならば試して見るといい。まさか口だけということは無いでしょう?ああそれと。ここで武器を構えないように。探索者基本法4条に一部を除く地上施設内で武器を抜くことは禁止されています。そして県の迷惑防止条例にも違反することになる。よもやそのことをお忘れとは言わせませんよ?」


そう言われ、男は今にも抜こうとしていた剣から手を放し、


「チッ。ならどうすんだ?ハッ、分かったぞ。テメェも実力がねェからそんなこと言って逃げてんだろ!」

「何を仰るかと思えば。ここは迷宮省ですよ?訓練所を借りればよろしい。今から手続きをすれば5分後には戦りあえるでしょう。逃げるなよ?」


最後に少しばかり(本人基準)殺気を飛ばす輝。男は引くに引けなくなり、輝と男の一騎打ちが行われることになった。


「ぐっ…せ、せいぜい首洗って待ってることだな!」


テンプレのような捨て台詞を吐いて去っていく男。残された輝は、


「ふう。2人とも大丈夫だった?」

「ほゎ〜…」

「美咲ちゃん?」

「はっ!う、うん。ありがとう、輝くん」

「秋希ちゃんも大丈夫?」

「だ、大丈夫です。輝さん、かっこよかった…」

「あはは…ちょっと頭に来たから煽ってみたら面白いくらいに乗ってくるから、ちょっとやり過ぎたかな?」

「ううん、そんなことないよ。それより、輝くんこそ大丈夫なの?その、決闘みたいなことになってるけど」

「ああ、大丈夫大丈夫。あんま強そうじゃなかったし」

「まあ…輝くんが言うならそうなのかな?それでも気をつけてね」

「ありがとう、美咲ちゃん」

「あのあの、私も応援します!」

「あはは、秋希ちゃんもありがとう」


──────────────



しばらくの後。訓練所の利用許可が降りたため、輝は訓練所のフィールドにいた。そしてその前には啖呵をきった男の姿も。


「逃げずに来たことは褒めてやるよ」

「それはこちらの台詞です。やるならさっさと始めましょう」

「ケッ、短気な女は嫌われるぜ?」

「そのような理由で嫌う人間など、こちらから願い下げです、よっ!」


言い終わると同時に駆け出す輝。


「な、消えゴフッ」

「大方、僕の武器が銃であることから機動力がないと思い込んだのでしょうが、あまりにも浅はかだ。そして脆い」

「な、なんでこんな重い…」

「おや、見た目で判断するとは。これでも毎日対物ライフルを携行していますから、腕力にはそれなりに自信があるのですよ。それにこのスピードを加えれば、この通り」

「ウグ…い、イカサマだ!もっと正々堂々勝負しやがれ!」

「良いでしょう。何度やろうと結果は同じですが…これは少しばかり叩き込んでやる必要がありそうだ。実力の隠し方とは──」


そこで最大レベルの殺気を飛ばす輝。


「──こうするものだと」

「ヒッ」


輝の殺気をモロに食らった男は顔を真っ青にして震え出した。心做しか脂汗が滲んでいるようにも見える。



その後、溜められたストレスを全て発散するかのように輝が男をボコボコにし、最終的に男が気絶したことで決着となった。


──────────────

「結城C級、ありがとうございました。あの人、最近名古屋からこちらに越してきたみたいなんですが、横暴してまして。我々の指導にも従わず、どうしようかと思っていたところで」

「いえ、こちらこそいきなり訓練所を使わせろと言った挙句、あんなボコボコにしてしまい…」

「いえいえ…」

「いえいえいえ…」

「何してんの2人とも」

「謙虚なのはいいことですけど、そろそろ収集つかなくなりますよ」


美咲と秋希が止めに入るまで、受付嬢と輝の謙遜し合いが続くのだった。

うわー、今でもいるんだ、あんなチンピラ。


『戦士の風上にも置けないねぇ』

『そうだのぅ。武士(もののふ)としても恥ずべき野郎であるな』


だねぇ。まあ輝くんがボッコボコにしてくれたからいいかな。…ん?作者からだ。なになに?


『作者って、アンタ作者がじゃないのかい?』


あー、作者の作者的な?まあ気にしないでくれたまえ。それで?えーっと?「キレて煽り散らかしてる輝の口調はウ○娘のド○ームジャーニーの口調をモチーフにしています」だって。


ウ○娘ってなんだ?ド○ームジャーニーってなんだ?


『アタイも知らないねぇ』

『某も知らぬのぅ』


──────────────

最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。


聞いてなろうリーナ♪

ちょっと言いにくいんだけど♪

聞いてなろうリーナ♪

モチベが消えそうなの♪


…投稿予定の日に次の話が投稿されなかったらそういうことだと思ってください…( ̄ω ̄;)

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