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【5,000PV感謝記念】特別編 『電光石火』のオフの日覗いてみた

今回はタイトルの通り、稚拙な本作が5,000PVを突破致しましたので、感謝を込めて本編とは一風変わった様子をお届けします。

[輝の場合]


「いやー、買えてよかったね。アヤカ、前からずっと欲しがってたもんね」


街中、アーケードを歩く輝とアヤカ。どうやら目的はアヤカの買い物のようだ。そしてさも当たり前のように輝が女装していることには言及しないものとする。


「ええ、そうね。…あれ?私輝に言ったことあったかしら?」

「ん?ああ、共用デバイスの検索履歴とか、この前行った本屋でこれの特集してた雑誌の前にいたから、そうなのかなって」

「へぇ…よく観察してるのね」

「まあ、みんなが喜べるようにしようと常日頃から心がけてるから」

「っ、そ、そう」


赤面して黙ってしまうアヤカ。輝そういうとこやぞと言いたくなるが、本人は至って平常運転である。

その時、ドンッと輝の足に衝撃が。


「ん?おっと、キミ大丈夫?」

「あ、ご、ごめんなさい…」


どうやら少年とぶつかってしまったようだ。尻餅をついた少年はなにやら顔を赤くして返事をしている。


「ごめんね、僕たちもよく周りを見てなかったから。立てる?」


そう言って手を差し伸べる輝。少年からすると、自分の不注意でぶつかってしまったにも関わらず優しく手を差し伸べる美人なお姉さんとして輝は映っている。映ってしまっている。


「は、はいっ。…うわ、すべすべ…」

「ん?どうかした?」

「い、いえ!なんでもないです!」

「よいしょ。それじゃ、気をつけてね」

「あ、ありがとうございました。お姉さんたちもお気をつけて!」

「うん。…あ、僕はお姉さんじゃなくてお兄さんだからね?」

「えっ」

「それじゃあね。バイバイ」


最後に爆弾を落として去る輝。どこかで何かがぐにゃりと歪む音がした。果たして、少年はこれから普通の恋愛ができるのだろうか。


「あーあ、あれ多分歪んだわよ」

「?なにが?」

「気づいてないならいいわ」


──────────


そしてまた別のタイミング。輝が御手洗から戻ってくると──。


「キミ可愛いね。俺達と遊ばない?」

「そういうの間に合ってます。それに人を待ってるので」

「そういうこと言わずにさ〜」


アヤカがナンパに絡まれていた。アヤカはキッパリと断っているが、ナンパはしつこく粘っている。ナンパは気づいていないが、アヤカからじわじわと殺気が漏れ始めている。輝は迷わずアヤカに近づき、


「ごめん、お待たせ」

「ううん、大丈夫」

「うっは、カワイイ子キタ!キミも含めてどう?遊ばない?」


輝が合流しても尚しつこいナンパ。ここで輝は必殺技を繰り出した。


「すいませんが、僕の妻に何か用ですか?」

「え、妻?」

「私と旦那はデートの最中なので。邪魔すんな」

「ヒイッ!す、すいませんでした〜!」


アヤカが抑えていた殺気をすこーしだけ解放すると、ナンパは顔を真っ青にして逃げていった。


「はあ、めんどくさかった」

「ごめんねアヤカ。遅くなっちゃった」

「輝が女子トイレに来れば無問題なのに」

「急に何を仰いますか。…というか、アヤカさん?」

「ん?」

「いや、近くない?」

「いいじゃない、デート中なんだから♪」

「…ま、そっか!」


その後、アヤカは一日中上機嫌なのだった。


────────────────

[アヤカ(澪)の場合]


自宅の庭にて、巻藁を前に、剣道着を着たアヤカと魂切が佇む。アヤカの手には、一振の刀が握られている。


「フゥー…セイっ!」


アヤカが刀を振ると、巻藁が斜めに両断された。その切り口は滑らかであり、アヤカの腕前が伺える。


『ふむ、某でなくともかなり扱えるようになったの、主』

「ええ、ようやく取り戻してきたってところかしら」

『某以外の刀を扱う主も嬉しくはあるが、やや寂しくもあるのう』

「何を言ってるの。魂切が1番に決まってるでしょ?」

『かっかっか、これは1本取られたのう。しかし主、某は2番以下にしておかねば輝殿や梓殿がジェラシーを感じてしまうぞ?』

「な、そ、そういう意味じゃないわよ」

『かっかっか、冗談よ』

「もう!あんまり酷いと1ヶ月大福餅禁止にするわよ?」

『すまぬ主、後生であるから大福餅だけは勘弁してくれ』


好物禁止をチラつかされ、普段の口調を捨てて懇願する魂切。それでいいのか付喪神。


「これに懲りたらあんまり下手な冗談は言わないことね」

『あいわかった…』

「2人ともどした?大丈夫そ?」

「ひ、輝?どうしたのよいきなり」

「いや、スパンっていい音がしたから見に来た」

「そ、そう。じゃあ鍛錬再開しましょうか」

『うむ、新しい巻藁を持ってくるとするかのう』


その後、輝の見学により調子が上がったアヤカは難度の高い技を何発も成功させ、さらには輝から褒められしばらく絶好調だったそうな。


──────────────

[シエラ(梓)の場合]


自宅の書斎で本を片手に優雅にアフタヌーンティーを楽しむシエラ。そしてその横では同じく本を読んでいるラムドの姿も。そこへ輝が通りかかり、声を掛ける。


「梓、紙媒体好きだよね。電子じゃ駄目なの?」

「ん?あ、輝。そうね、電子だと風情がないのよ。このページをめくる感覚は紙じゃないと」

「そうなんだ。…にしてもすごい量だよね。なにがどこにあるか分かんなくなりそう」

「そうでもないわよ?分類はしてるし。ほら、ここは魔法書系、こっちは小説、この辺はラノベって感じで」


膨大な量の本は確かに分類されており、シリーズものは巻数も整えられている。


「ほんとだ。梓ってそんなに几帳面だったっけ」

「はっ倒すわよ。…けど、これは輝に召喚される前のおかげでしょうね。あの頃、大量に本を買ってたから」

『そういえばシエラはやたらと本を買っておったのう。主に魔法書であったが』

「うん、他の魔法使いの理論とか魔法を知っておこうと思って」

「そうなんだ。成果はあった?」

『ゼロじゃ。正直本に書いてある魔法よりもシエラの方が強力な魔法を使っておる』


前世から魔法を極めようとしていたシエラは異世界の魔法水準をも超越していたようで、龍族であるラムドお墨付きの魔法の実力を有している。


「そうなんだね。そういえば、梓今何読んでるの?」

「ああ、これ?この間本屋で見つけたんだけど、中々面白いわよ。もしこの世界にダンジョンが現れなかったらっていうIFの歴史小説なんだけど」

「へえ、それは確かに気になるかも。もしダンジョンが無かったら…けど、そうなるとエルフとか獣人の人たちも居なかったんじゃ?」

「そうね。だからこの本には人類しか登場しないわ。内容的には、世界大戦で敗北したドイツが科学力を発展させて独裁に走って、それを止める為に米英と成長したソ連が手を組んで2度目の世界大戦が起きるっていうトンデモ物語ね」

「へぇ…(なんだろ、なんか頭の隅っこで何かが引っかかるような…)」

「トンチキな事を考える人もいるものね。まあ、小説としては面白かったけど」


そう言って本を棚にしまうシエラ。いつの間にか紅茶も無くなっており、シエラは席から立ち上がり、


「さ、今日の夕飯は私担当だったわよね?用意しよ。ラムド、手伝って」

『仕方ないのう、任せておくのじゃ。何をすればいいのじゃ?』

「とりあえず野菜刻んで〜」


ラムドと共にキッチンへと向かうのだった。


────────────────

[エリカ(博)の場合]


「ほっ、はぁっ、せいやっ!」


自宅の庭(拠点兼自宅は無駄に広いので庭もアヤカとエリカがそれぞれ鍛錬できる程度の広さがある)にて片手剣の鍛錬に勤しむエリカ。その横ではエリカから譲り受けたハンマーを振るアルマの姿もある。


「おー、こっちもやってる」


そこにアヤカの見学を終わらせ暇になった輝が。


「輝?澪の方はもういいんですの?」

「うん、向こうはこっから片付けらしいから」

「そうなんですのね。そういえば、やたらと澪の調子が良いように見えましたけれど…何かあったんですの?」


アヤカの絶好調は近くで鍛錬していたエリカにも感じられたようだ。


「あぁ…なんか、僕が褒めまくったら絶好調なった」

「えぇ…。いや、でも…なんか分かる気もしますわ」

「マジで?」

『エリカの嬢ちゃんはアンタにベタ惚れだからねぇ。好いた男から褒められるってのは、思ってる以上に効果があるもんさ』

「そうなんですかアルマさん…?」

『ま、アタシは戦しか知らない女だからね。その真贋は分からないが。そうだ、どうせなら試して見ればいい』

「へ?」

「そ、そうですわね!物は試しですわ!さあ、輝!さあ!」

「ちょ、エリカ落ち着いて。アルマさんも何とか言ってくれません?」

『掛かってしまっているかもしれません。早く落ち着けるといいのですが』

「なんで口調変わったの?」


その後、エリカの剣裁きを輝が褒めると、実際にエリカの調子が爆上がりした。輝の褒めパワー恐るべしである。


「ふぅ…これはやばいですわ」

「そ、そんなに?」

「ええ。初めは半信半疑でしたが、実際に体験すると間違いないですわ」

「そうなんだ…。ところでさ、エリカ」

「?なんですの?」

「いや、完全に言うタイミング逃してたんだけどさ…ちょーっと露出が多いかなーって。特におっぱい」


現在のエリカの服装は、下はジャージに戦闘靴。そして上はまさかのスポブラオンリーである。澪や梓よりも大きなものを持つエリカのスポブラ姿はかなりの破壊力を持つのである。


「ッスゥ…輝のえっちですわ」

「いやまあ、今回ばかりは弁明しないけどさ。だってほら、エリカって1番大きいじゃん?ほら、澪はFで梓はEって言ってたけど…」

「…H寄りのGですわ」

「ね…?ちょっと、ちょーっと刺激が強いなーって」

「気をつけますわ…」


お互いに赤面して黙り込む2人。この2人がアヤカやシエラよりもラブコメしているのは如何なものか。


──────────────

[姫芽の場合]


姫芽はこの日、自身の所有する畑で農作業に勤しんでいた。隣には暇を持て余した輝の姿もある。


「よいしょ、と。姫芽さん、こっちの畝作り終わったよ〜」

「ありがとう、輝。やっぱり2人だと効率が上がるねぇ。そういや輝、澪たちはいいのかい?」

「あー、澪たちはそれぞれやることがあるって言ってたから、邪魔しちゃ悪いかなって」

「ふゥん?それで私のところに来たと」

「いや、仕方なく姫芽さんのとこに来たんじゃなくてね?丁度僕でも手伝えそうなのが姫芽さんだったから」

「へぇ?他の3人は何をしていたんだい?」

「澪は刀の手入れ、梓は新魔法の開発、エリカに至っては王宮レベルのテーブルマナーの復習だって」

「それは無理だね、うん」


輝はおろか姫芽の専門外でもあったので早々に納得する姫芽であった。


「さて、こっちはもう大丈夫だから、あっちの収穫をしようか」

「はいはい。にしても、この畑育つの早いよね」

「そりゃあ、純血のエルフが育てているからねぇ。普通の畑よりは格段に質も量も、そして育つ早さも変わるさ」

「え、そうなの?」

「知らなかったのかい?私の他にも農家を営むエルフはそれなりにいるぞ?」

「し、知らなかった…」


魔法か、生物学では語れない能力か何かによものかは定かでは無いが、確かにエルフは植物の成長を早めたり作物の質や量を良くすることができるのだ。


その後、2人は実った作物を収穫した。その1部は市場に流れ、大部分は輝たちの食事になる。


「ふう、これで終わりかな」

「お疲れ、輝。そうだ、折角だし採れたてのトマトでも食べてみたまえ」

「いいの?じゃあ遠慮なく」


水分量の多いトマトは瑞々しく、齧った輝の顔が蕩ける程の美味なようだ。


「おいしい…」

「それは良かった。フフ、輝、果汁が頬に垂れているよ。じっとしていたまえ」


言われた通りに不動になる輝。その際目も閉じるのは必要なのだろうか。


ぺろっ


「姫芽さん!?」

「こら、じっとしていろと言っただろう?」


仕方なくまた不動になる輝。頬に垂れた果汁を舐めとる姫芽。そして最後の果汁を舐めとった後、


ちゅっ


「っ!?」

「ふふ、ご馳走様」


真っ赤になる輝とやや赤くなる姫芽。どうやら姫芽もそれなりに恥ずかしかったようだ。

このやり取りをもし見ている者がいたとしたら、口の中が砂糖だらけになっているであろう程の甘さである。





こうして、『電光石火』ののどかな休日は過ぎて行くのであった──。

[後書きちゃんの場合]


私は毎日がオフだからね。だから今日も輝くんたちの覗k…観察をしているよ。


ところで、誰かコーヒーを持っている人はいない?さっきから口の中砂糖でジャリジャリなんだけど?

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