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part22

「今度こそ落ち着いた?」

「にゃぁ…。お見苦しいところをお見せしてしまったにゃ…」

「一目で分かるくらい落ち込んでら」


ハラキリしようとするミイシャ対止める輝の攻防は、輝の落ち着かせ力により輝の勝利で幕を閉じた。


「え〜っと、ミイシャ?だっけ?知ってるだろうから聞くけど…うちに澪や梓もいるって言ったらうち来る?」

「にゃ!?」

「いや、変な意味じゃなくてね?これは僕だけじゃ何も出来ないっていうか、色々と相談した方が良いだろうから」

「いくにゃ!ぜひ伺いますにゃ!」

「悩まないんだ…」

「ご主人様は嘘は言わないと信じてるからにゃ」

「もう僕心配だよこの子」


光を失っていた瞳が一転、キラキラと輝いているミイシャに心配しつつ、輝はミイシャを連れ帰るのだった。


──────────────

九州某所・パーティ『電光石火』拠点兼自宅


「…と、いうわけで連れてきました」


輝が帰宅した頃には既に帰宅していた4人は、ミイシャを連れて帰ってきた輝を見て説明を求めた。輝は説明している間、なぜか正座させられていた。そして当のミイシャはキッチンで姫芽に餌付け…もとい、おもてなしを受けていた。


「ふぅん、じゃあいきなりお持ち帰りした訳じゃないのね」

「梓、お持ち帰りって言うのはやめて」

「私から見てもお持ち帰りだったわよ?まあ、それがあの時の子猫ちゃんだったとは思わなかったけれど」

「そうですわね。わたくしもあの時輝が保護した子猫が猫又だったとは思いもしませんでしたわ。あら?そうすると、あの時点で輝は1人オトしていたということですの?」

「待ってそれは論理の飛躍じゃないエリカ?」

「やっぱり輝ギルティで」

「ちょっま」


なぜか満場一致のギルティ判決をくらう輝。


「輝には罰として男物の服を着て私たちとデートしてもらいます」

「そ、そんな御無体な…」

『それで絶望する輝殿はやはり変わっておるのう』

『いつものことじゃ』

「あ、魂切にラムド。2人も澪たちを説得してくれない?」

『無理じゃな。妾たちとて被害を受けたくはない』

『触らぬ神になんとやらよ』

「男物の服探そ…」


罰が特殊すぎる。普通ならば女装してデートが罰ではないのかと思うが、輝にとっては女装して見た目だけでも百合デートにするのが普通であり、男装デートの方が輝にとっては致命的なのである。この感覚は輝にしか分からない。分かろうとも思わないが。


「輝は大変そうだねぇ。まあ、私はミイシャのことは知っていたけど」

「え、なら言ってよ!」

「黙っていた方が面白そうだと思ってねぇ」

「にゃ?そういえば、御門はどうしてここにいるにゃん?」モグモグ

「それは私が輝…まあ、つまるところ勇呀と付き合っているからだねぇ」

「へぇ〜、そうなんにゃね」

「ちなみにそこの澪くんや梓くん、信じられないが博くんも付き合っているよ」

「ほぇ〜、ワタシも信じられないにゃんけどあのお嬢様は博様にゃん?」

「さっきから信じられないは余計ですわ」

「ふ〜ん…って、ええ!?みんなご主人様と付き合ってるにゃ!?」

「え、今なの?」


どうやらミイシャは全員が輝と付き合っているということに動じていないのではなく、ただ理解していなかっただけのようだ。やはり少しあほなのかもしれない。


「やっぱあほなのかなこの子」

「ワタシはアホじゃないにゃ。ポンなだけにゃ!」

「にしてはポンが過ぎるわよ」

「それはもう耳にタコができるくらい言われたにゃ」

「でしたら治されたらいかがですの?」

「ほっといたらそのうち「これも個性か」って静かになるにゃ」

「匙を投げられてる…」

「それはそうと、最近御門が明るいと思ったらそういうことだったのにゃ」

「そういえば、御神楽くんも前に言ってたけど…姫芽さんなにがあったの?」

「輝、聞いてくれるな」

「あの頃の御門はやばかったにゃ…」


昔を懐かしんでいるのか、どこか遠いところを見て呟くミイシャ。


「何度呼びかけてもぴくりともしないご主人様たちを見た時の御門の絶望した顔は子猫の心に響いたにゃ…」

「ミイシャ?そろそろやめて欲しいんだけどねぇ?」

「それからの御門の生きたまま死んでるような雰囲気を見て、ワタシは子猫ながらに感じたにゃ。絶対に悲しませてはいけない人というものを。…あ、思い出したら涙が…」

「そろそろ恥ずかしいからやめようねぇ!?」

「姫芽さん…」

「ちょっと待ちたまえ。どうしてみんなして私に近づいてくるんだい?ちょ、あぁ〜〜」


抵抗虚しく、ハグに飲まれる姫芽。しかしその表情はどこか恍惚としていた。


「姫芽さん、今度は置いていかないから」

「うん…」

「御門さん、私も今世は添い遂げますから…」

「うん…」

「見事に溶けてるわね、御門さん」

「うん…」

「御門様、わたくしのことは好きですの?」

「うん…」

「溶けてますわね」

「いや、確認それでいいの?」

「御門が見たことないくらい溶けてるのにゃ…」


姫芽の溶けように、何も考えてなさそうなミイシャでさえも引いているのだった。

ミイシャ が なかまに くわわった!


ってところかな?いやはや、私が思ってた以上に輝くんはハーレムの素質があるようだね。それはそうと、君たち?


『ん?なんじゃ?』

『ズズーッ…どうかしたか?』


いや、しれっと遊びに来てるなーって。


『仕方ないじゃろ。あんなのを見ておったら口の中が砂糖でいっぱいになってしまうわ』

『某も、あれは大福餅よりも甘くて敵わんからの』


あ、そうですか。…アルマさんは来てないんだねぇ?


『あぁ…あやつは斯様な色恋沙汰が大好物のようじゃからな』

『うむ、嬉々として陰から覗いておるだろうよ』


他人の色恋を覗くなんて、なんてことだ!


『…妾、ツッコんだ方がいいのか?』

『放っておいてもよかろうて。ほれ、茶でも飲むか?』

『それもそうじゃな。ありがたく頂くのじゃ』


────────────────

最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。

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