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part21

前回のあらすじ


輝たちを尾行する怪しい奴。輝を追いかけ行き止まりに追い込んだ!


「メイドの土産に教えてやるにゃ…」


コートを脱いだらメイド服!?メイドの土産ってそういうこと!?


以上、あらすじでした!


──────────────


「メイド服着てるとは気にしないとして…目的はなんだ?正直、今の僕たちを狙う理由があるとは思えないんだけど」

「何を言うにゃ。お前はワタシのご主人様のパクリ野郎だからにゃ」

「パクリ?一体何を言っているんだ?」

「しらばっくれる気かにゃ。なら力づくで喋らすまでにゃ!」


輝は混乱した。目の前の獣人が何を言っているのか、本当に理解出来ないからである。

(ぱ、パクリ?誰が?僕が?え、前世のこと?いや、前世でもご主人様呼びさせるような人いなかったんだけど!?)

このように、身に覚えのない事態に大混乱中な輝なのである。


「ニャッ!」

「あっぶな!」


素早い身のこなしで殺陣を演じる2人。実際には一方的に攻撃する少女と、それを延々と避け続ける輝という構図であるが、それを指摘する人間はいない。むしろ、周囲に人がいないからこそ2人はすこーしだけ本気を出せるのである。


「にゃにゃにゃっ!」

「よっ、ほっ、はっ」


連撃を演じる危なげなく避ける輝。後衛職であり、戦法もあまり動かないタイプの輝からは考えられない動きでもあるが、一体どうやってその回避技能を身につけたのだろうか。


「ニャーッ!ちょこまかとめんどくさい奴にゃー!」

「へえ、威勢よく啖呵切ってきた割に、僕程度の動きに合わせれないんだ?」

「フシャー!」


あからさまな挑発に煽られキレる少女。あまり考え深い方ではないのかもしれない。


「けどオマエは避けるばっかりで反撃してこないにゃ。それなら多少無理しても大丈夫だと言うことにゃ!おかくごー!」

「まあ、それを狙ってたんだけどね。これ、なんだか分かる?」


ガチャッと輝が取り出したのは、ハンドガンである。開発国であるアメリカのみならず、日本でも護身用として広く販売されているモデルである。


Bang!


「あっぶなかったのにゃ!ワタシでなきゃ見逃してたにゃ!」

「おっと…これは予想外」


発砲するも、避けられるとは思っていなかった輝とすんでのところで回避し動くことが出来なくなった少女。2人は少しの間両者ともに呆然としていた。


「はっ!い、今がチャンスにゃ!」


先に動いたのは少女の方。


「にゃー!…あっ」

「え、ちょっ」


輝に突撃する途中で石かなにかに躓き、輝に倒れ込んでくる少女。そして、まさかそんなことが起きるとは思ってもいなかった輝は、思わず腕を開き…


ぎゅっ


「にゃ、にゃぁ!?」

「危なかった…」


抱きしめた。傍から見れば美少女が美少女を抱きしめるという絵面だが、本人たちはそうなっているとは思っていない。今のところは。


(にゃ、だ、抱きしめられてしまったのにゃ。ワタシはもうお嫁に行けないのにゃ…って、なんかこの匂い知ってる気がするのにゃ)

「すんすん…」

「って、ちょお!嗅ぐな嗅ぐな!」


その時、少女に電流走る!


(こ、この匂いは!カラダのさらに奥、魂から香ってくるこの匂いは間違いないにゃ!)

「ご主人様にゃー!」

「は?ちょ、ぐえっ」

「にゃ〜♪」スリスリ

「…なんだこれ」


抱きしめられ真っ赤になったと思いきや、輝の匂いを嗅ぎ、突然ご主人様と呼び頭を擦り付けて来る少女。輝視点ではそのように映っており、元から本気で戦うつもりはなかった輝はこの期に及んで反撃しようという気はおきず、むしろ説明して欲しいという思いでいっぱいだった。


──────────────


「落ち着いた?」

「ワタシは最初から落ち着いてるにゃよ?ご主人様」

「それについて説明してもらっていいかな」

「にゃ?」

「ご主人様ってどういうこと?僕、そんな趣味はないんだけど」


しばらくして満足したのか埋めていた顔を上げ、すこしだけ離れた少女。尚もご主人様呼びをやめない少女に輝は説明を求めた。


「ご主人様はご主人様にゃ。ワタシは…ミイシャは勇呀を主にすると決めてるにゃ」

「っ…君は一体、何者なんだい?」


勇呀。その名前をここで聞くことになるとは思っていなかった輝は動揺を隠すことができなかった。


「ご主人様忘れたのかにゃ!?…って、それも仕方ないにゃ。あの時のワタシはまだ子猫だったからにゃ。覚えてないにゃ?『桜花』ダンジョンでの出会いを」

「『桜花』の…猫…あっ!まさかあの時の!?」

「ふっふっふ、思い出したみたいにゃんね」

「あの時の猫、獣人だったのか」

「にゃ!?ワタシを猫獣人のお姉様と一緒にするなにゃ!ワタシは猫又にゃ!」


猫又、それは猫獣人のような妖怪であるとされ、通常と違い2本の尾が生えているという。


「あ、ほんとだ。しっぽが2本ある」

「理解したみたいにゃんね」

「そっか、あの時助けて正解だったな」ナデナデ

「にゃ〜♪・・・・・・あ゛っ」

「ど、どうした?」

「わ、ワタシ、ご主人様に刃を向けて…しかもパクリ野郎とか言って…あわわ…こ、こうなったらハラキリでお詫びを…」

「ちょ、ストーップ!落ち着けぇ!」


この後、光の消えた瞳で自ら切腹しようとするミイシャと、それを必死で止める輝の画が数分~数十分の間続くのだった。

あ、あの子今こんな風に成長してたんだ。懐かしいねぇ。


『ふむ、あれは某が折れる直前に会うた子猫のようだのう。いやはや、当時から只の猫ではあらぬと思うておったが、やはり。…して、なにゆえ某はここに呼ばれたのかのう?』

『妾の道連れじゃ』

『ほう、道連れ…大方、そこで暇を持て余しておる自称作者とやらに呼ばれたのであろうな』

『正解なのじゃ。妾たちも暇じゃないんじゃがのう』


え、そんな、ミイシャちゃんだめだよ輝くんのそんなとこ触っちゃー。


『…あやつは一体何を見ておるのだろうな?』

『知らんし知ろうとも思わん。妾たちを呼んだくせに妾たちほっぽって覗きに集中しておるやつなどな』

『…帰っていいか?』

『帰ろうなのじゃ』


いやー、いいもん見たわー。ってあれ?2人ともどこ行った?まあ良いか。しかし、輝くんのあの身のこなしは何処から来てるんだろうねぇ?


──────────────

最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいねでの応援・星評価・感想コメント等をいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。

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