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part16

佐賀県第3ダンジョン『舞風』内──


輝に慰められ落ち着いた美咲は改めて周りを見て思う。


(輝くん、こんなに女の子に囲まれて…仲間だって言ってたけど、なら女の子ばっかりじゃなくてもいいじゃない。というかいつの間に?私と一緒に来てくれない時にこの子達と…?それって浮気…いやいや、まだ付き合ってもないのに何が浮気よ私!)


「はわぁ〜!」

「うわびっくりした。どうしたの?」


(でもでも、付き合ってないとはいえ私というものがありながら…でもみんな可愛いしおっぱい大きいし…輝くんっておっぱい大きい子なら誰でもいいのかな。…むぅ)


「むぅ」

「あのー美咲さん?なんで僕はつねられてるんでしょうか?」

「おっぱい好きめ(ボソッ)」

「え?何か言った?」

「いーえ、なにもー?」

「あっはは、仲良しだねぇ」

「本当ね。妬けちゃうわ」

「あなた達も原因なんですよ?そもそも誰なのかすら私、知りませんし」

「そういえば名乗っていなかったか」


その時、ようやくアヤカたちは自分が名乗りすらしていないことに気づいた。


「私は姫芽。御門姫芽だ。輝からは姫芽、それ以外からは御門と呼ばれているよ。輝との関係を説明するととても長くなってしまうから省くが、この中では『輝ということであれば』キミの次に輝と長い付き合いになるねぇ」

「は、はぁ…。えっと、その耳、もしかして…」

「あぁ、見ての通り私はエルフさ。地球にダンジョンが発生した当時を知っている生き証人でもあるねぇ」


姫芽の自己紹介が終わると、アヤカが1歩前に出る。


「次は私ね。私はアヤカ。姓は今のところ鷲宮ってなってるわ。私と輝の関係は御門さん以上に長くなるから省くわね。よろしく」

「よろしくお願いします…?もふもふ…」


アヤカの姓は、光莉が彼女の戸籍を作成する際につけた姓で、特に意味は無い。そして、アヤカの自己紹介を受けた美咲はアヤカの尻尾に目がいってしまう。


「ああ、私狐の獣人なのよ。けどそう簡単に触らせるわけにはいかないわ」

「はっ!そ、それは勿論」


無意識にアヤカに手を伸ばしていた美咲はハッとして手を引っ込める。

続いて、シエラのターン。


「私はシエラ。本名はシエラ・イルセ・ハルミディアだけど、長いからシエラでいいわ。私も輝との関係は私の名前よりも長くなるから省く。ちなみに魔法使いね」

「そうなんですね。私は魔法が得意じゃないので羨ましいです」

「もっと褒めてもいいのよ?」


ムフーという擬音の似合う表情でドヤるシエラ。

それをエリカが諌める。


「まあ人には得手不得手がありますから。シエラも魔法の腕が一流なのは事実ですが、調子に乗ると足元すくわれますわよ」

「だって私もたまにはヨイショされたいんだもん」

「はいはい、あなたは後で輝にたくさん褒められてきなさいな。そして美咲さん、わたくしはエリカと申しますわ」


さらっとシエラのターンを終わらせ、かつ自身の自己紹介を始めるエリカ。この流れるような動作は流石異世界の王族と言うべきだろうか。


「あ、はい…。あの、シエラさん?は放っておいていいんですか?」

「ええ、あの人はあれくらいでいいんですの。下手に構うとすぐ調子に乗りますから」

「そ、そうなんですね…」

「話が逸れましたわね。わたくしの本名はエリカ・フォン・フレイ・ヴィルヘイム・ラ・ハムレインといいますが、長いのでエリカでよろしいですわ。そしてわたくしも輝との関係は本名くらい長いので省略致しますわ」

「エリカ・フォン…ま、まあよろしくお願いします」


美咲は一発では覚えられず、曖昧に返事をした。

輝も4・5回聞かなければ覚えられなかったが、当のエリカは何度でも噛まずに諳んずることができる。流石である。


「とまあ、僕の仲間たちだよ。みんな悪い子じゃないからそこは安心してほしい。それで、そっちの君は?」

「ふぇ?あたしですか?」


突然会話に強制参加させられキョトンとする少女。


「うん。流石にここまで関わっておいて、名前も聞かずにはいさようならとはしたくないし。それに、これはただの勘なんだけど、この先も関わる気がするんだよね」

「は、はぁ。とりあえず、あたしの名前は結野秋希(ゆいのあき)っていいます」


その名前を聞いた時、美咲を除く5人が僅かに動いた。


「え、結野って…。ね、ねぇ秋希ちゃん、ご先祖さまに勇呀って人いる?」

「輝さん知ってるんですね。あたしの叔父さんが勇呀さんらしいです。まあ当たり前ですけど、私は会ったことないです」

「…集合」


勇呀のことを知らない美咲以外が集まり、こそこそと話をする。


(ちょっと輝、どういうこと?)

(僕も分かんないよ。そもそも僕に兄弟いなかったし)

(わたくしたちの死後にお産まれになった可能性は?)

(いや、当時の両親もう40超えてたし、無理だと思う)

(じゃあなんで勇呀の姪っ子がいるのよ!?)

(姫芽さんは何か知らないんですか?)

(生憎私は勇呀しか見てなかったから、結野家は知らないんだ)

(もう養子をとったとしか可能性思いつかないわよ)

(けどいきなり聞くわけにはいかないじゃん)


議論の結果、結論は「何も分からないけど普通に接する」に落ち着いた。


「もう大丈夫なの?」

「う、うん。えっと、自己紹介も終わったことだし、そろそろ戻らない?」

「そうね!それがいいと思うわ!」

「…へんな輝くん」


不本意な感想にも屈せず、輝たちはダンジョンから脱出するのだった。


──────────────

「酷い目にあいました…」

「えっと、お疲れ?」

「結局、秋希ちゃんはなんで第3ダンジョンに?まだD級なんでしょ?」

「えっと…私、魔力の保有量が多いらしいんです。それで、親戚や外野から期待されてて…私、そんなに強くないのに」


この時、輝は思った。

(あ、僕のせいじゃん)

と。


「ふざけてやがりますわね。そんな無責任な親戚など放っておけばよいのです」

「ありがとうございます、エリカさん。けど、もう探索者になっちゃったし…とうすればいいんでしょう、私」

「ふむ…魔法というなら、シエラが適任じゃないかい?」

「私?確かに魔法は得意だけど、教えるのは苦手よ?」

「それはそう」

「否定しなさいよ」

「う〜ん…秋希ちゃんは何が難しいのか、分かる?」

「えっと、上手くは説明できないんですけど…私、魔法を唱えるのに必死で、モンスターを避けながらっていうのが出来ないんです」

「そうなのね。…だったら、よりなぜ第3ダンジョンにいたのかが気になるのだけど?」

「それは…」


言い淀む秋希。その姿は怒られたくなくて隠そうとする子供のようだった。


「大丈夫、怒らないから言ってごらん?」

「あの…死ぬ気でやれば行けるかなって思って…」

「誰か、他の探索者と組んだりは?」

「1回組んだんですけど、その人にダンジョンの中で襲われかけて…それ以来、複数人で潜るのが無理になっちゃったんです」

「ダンジョン性犯罪か…。今もあるんだな」

「ん〜、けどあなたの才能を活かすには誰かと行った方がいいと思うのだけど…あ」


そう言ってアヤカは美咲を見る。


「…え?」

「美咲ちゃん、前衛よね?いい感じにならないかしら」

「ええ〜っ!?」


突然の提案に驚きまくる美咲。果たして、この提案は吉と出るか凶と出るか、それはまだ誰も知らない──。

まさかたまたま助けた女の子が勇呀くんの姪っ子とはねぇ。


「僕もびっくりしたんだけど?」

「けど、どうせ本当に偶然なんでしょ?」


ご明察。私もそこまでは関与できません( ˘ω˘ )


「でも、あの子の勇呀との関係性はどうなのかしら?」

「恐らく養子縁組の娘なのでしょうが…」


まあ、輝くんのことだしそのうちオトしてこっちに来れるようになるでしょ。


「は?どういうこと?」


ここ、輝くんと特別に仲のいい人しか来れない空間だから。てか元々は輝くんしか入れないはずだったんだけど、気づいたら大所帯になってるし。


「え、でも美咲ちゃんは来れないよ?」


うーん、私もトリガーが何なのかは知らないし、まだ美咲ちゃんには何かしらの要素が足りないのかもね。ま、私はここでのんびり君たちを観測させてもらうよ。


「し、知らなかった…」


────────────


最後までお読みいただきありがとうございます!よければいいね・コメントをいただけると嬉しいです(作者のモチベにつながります)。次回ものんびりお待ちいただければ幸いでございます。



以下独り言↓

前作(妖狐ののんびりVRMMO配信--冒険に疲れた皆々様、どうぞいらっしゃい--)、今見返したら後半結構無理やり終わらせた感あるなぁ、全然のんびりしてないし。迷走してたのが分かるなぁ。反省反省。

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