第一章 久瀬陣作の日常 2話目
「――さて、指定の時刻通りに来たわけですが……」
「ククククク……今日という日が貴様の命日だ!」
「とかいいつつ、毎回やられるのがお約束というね」
指定された場所、指定された時間。今回の正式なバトルの相手として久瀬の前に姿を現わしたのは、片道二車線の道路を全て封鎖する程の巨大さを持ち合わせた無人戦闘兵器。当然ながら近辺の道路は封鎖され、通りを歩いていた住民のほとんどは戦いに巻き込まれないように避難を始めている。
――『能力』、『魔法』に続く三者鼎立の最後の一つ、『科学』の結晶が久瀬の前に立ち塞がっていた。
「力帝都市で働いているだけの一般人もいるんだから、そんな大仰なロボットを出されても困るんだけど」
ランクの説明の際に省かれていたDランクについて。事実としてこの力帝都市に住む人間の大半はいわゆる一般人――格付けでいうところのDランクとして区切られている。確かに当初述べた通り、ここでは学力も力として認識されているが、事実としてそれが戦闘において役に立つとは限らない。しかし外の世界よりも数世代先の技術や理論を学べるとなれば、危険を冒してでも我が子を送る者がいてもおかしくはない。
そしてその中で何をどう道を間違えたのか、こうして専用の機械を開発するなどして戦いに身を投じていく者も少なくない。
「前回のタイプBとはひと味違うぞ! 何といっても今回は飛行可能なオプションがついた――」
「はいはい、お疲れ様」
しかしこうして相手との力量を測り間違えた結果、たった一撃の下で努力の結晶がただのガラクタと化してしまうこともあることを忘れてはいけない。
「それじゃ、ぶっ飛んで貰いましょうか」
――何度もしつこいようであるが、久瀬の第一能力である突撃の破壊力は、現行する兵器に匹敵する破壊力を秘めている。
「ハァッ!!」
「なっ!?」
――鉄山靠。太極拳にもあるこの技は、背中から相手に突進することで強烈な破壊力を生み出す。そこに久瀬の能力が合わさることになれば、まさに鉄杭で打ち抜くかのごとき破壊力を併せ持つことに。
「ば、馬鹿なっ!? 一体何トンの鉄の塊だと思っている!?」
「でもこんな力に負けるくらいに弱いんだろ?」
鋼鉄をへこませ、あまつさえ地面から浮かせる程の力を叩きつけた久瀬はというと、全くのノーダメージでひょうひょうとしている。
「ぐあああっ!!」
「実際には遠距離操作しているくせに、何を痛がっているんだか」
たった一撃で鋼鉄の塊をひっくり返した久瀬は、そのまま踵を返してその場を立ち去ろうとした。
しかし――
「――まだだ、まだ終わってないぃ!!」
「えぇー、それは流石に諦め悪すぎないか?」
僅かにでも動かせるのであれば、僅かにでも勝機があるのであれば、最後まで悪あがきをする。
――絶対的強者である久瀬には、それが理解できなかった。
「この、せめてミサイルポッドでも――」
「無駄だっての」
先程の突撃の瞬間、ただ久瀬は体当たりを仕掛けただけでは無かった。否、体当たりだけで大人しく済んでいれば、久瀬の仕込みは無事不発に済んでいた筈だった。
「……もうそろそろ、落ちてくるんじゃない?」
先程の一撃は、何もロボットを打ちのめすためだけに繰り出した訳ではない。久瀬は事前に第二能力でマイナスの電荷をその身に蓄え、そしてロボットに触れた瞬間にその全てをなすりつけている。
「な、なんだ!? 空が……!?」
恐らくロボットにつけられたカメラは、真上を向いたままなのであろう。だからこそ、久瀬のもう一つの力が発揮されるまでの瞬間を、全て捉えることができたのだろう。
「雲が突然、出てきて――」
――次の瞬間、ロボットのカメラには一瞬の閃光の後にノイズしか映し出すことが出来なくなっていた。
鉄山靠はエ●マスターで知りました。(`・ω・´)
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