69.ひと時の休息① ★
ゴンザレス達と宿に戻り一息つく。時刻を確認すると12時を越え既に日付が変わっていた。この世界の場合日付は関係ないのかもしれないが。
ベットに腰掛けるとリリィも同じように隣に座ってきた。ゴンザレスはテーブルの上でガチャアイテムの紅茶を淹れている。紅茶のいい香りが部屋を満たしいく。
「はいどうぞマスター。リリィも」
「わー、ありがとうゴンちゃん。んー、いい香り」
「マスター、隣失礼しますね」
リリィとは反対側にゴンザレスが座ってきた。
「ふう。なんか大変なことになってきちゃったね。マーメイドのお姫様から宝玉について聞くだけだったはずなのに」
確かに。この世界に飛ばされてきた原因を突き止めるつもりが、まさかここまで事が大きくなるとは思ってもいなかった。
それにザリウスが宝玉の存在を知っていたことも気にかかる。奴から情報を聞き出せればよかったのだが、死んでしまった後となってはどうしようもない。
「ですね。マスターはこの世界に転移してからずっとトラブル続きです」
「はは……」
乾いた笑いしかでない。そもそもこの世界に飛ばされたこと自体が俺にとっては大きなトラブルなのだ。好きでトラブルに巻き込まれているわけではないんだがな。
何も言えずに紅茶のカップに口をつける。
「ですが――」
紅茶を啜りながらゴンザレスへと視線を向ける。
「マスターは、私がお守りします。それが私の存在意義ですから――」
「――――……。」
ゴンザレスは顔を真っ赤にしている。
多分、俺の顔も相当赤くなっている筈だ。不意打ちの言葉とその表情に心臓がドキドキしてしまった。
恥ずかしさのあまり視線を逸らしてしまう。
「ん……」
「あれ? マスター顔が真っ赤です?」
ゴンザレスが俺の顔を覗き込んできた。
「いや、何でもない」
照れているのが恥ずかしくて反対側へと振り向くと、リリィが頬を膨らませて拗ねていた。
「むー。わ、私だってシノの事守れるんだからね」
リリィは両手を胸元付近で合わせ、人差し指をクルクルと回しながらソッポを向いてしまった。
拗ねているリリィの膨らんだ頬を指先で突いてやる。ジト目で此方を睨んでいるが、その顔はちょっとなんだか嬉しそうだ。
「ああ、ありがとうな」
そんなリリィが可愛くて、自然と笑顔になる。
「――っ!!」
「ん? どうした?」
「な、なんでもないっ」
ぷいっとまた顔を背けられてしまう。
「おーい」
「ふぁ!? こ、こっち見るなばかぁ!」
あらら、両手で顔を隠しちゃった。
顔が真っ赤になっていた。やっぱり照れていたようだ。先程ゴンザレスの笑顔にやられた俺と同じ状態なのだろう。
よし、ちょっとからかってやろう。
顔を隠している両手を掴み開くように力を籠めると、思ったより抵抗されずに簡単に動いた。
「う”ー」
両腕を掴まれながら顔をさらけ出したリリィは顔を真っ赤にさせ目が潤んでいた。
ぐっ、なんだこの可愛い生き物は。思わずリリィの目を見つめてしまう。
「くすくす。恥ずかしがってるリリィ可愛いです。マスター、私も愛してください。えいっ」
「え、ちょっ、ゴンザレス!? うわっ」
「きゃっ! し、シノ――ンンッ!?」
突然ゴンザレスが背中に乗ってきて、その衝撃でリリィの唇に――。
「えへへー。マスター。にゃーん! はむっ」
ゴンザレスは俺に乗っかりながら耳を甘噛みし、舐る様にその舌を――。
ふと、視界の端に黒い物体が動くのが見えた。クロがテーブルの上に座りながら欠伸をしている。
チラリと俺と目が合うと「にゃー」と鳴き、そのまま体を丸めて寝入ってしまった。
俺にはクロが「やれやれ、付き合ってられん」とそう言ったように思えた。
◇
「んっ……」
自然と目が覚める。眠気は驚くほどにあっさり引いた。外はまだ暗い。時間を確認すると時刻は『AM4:16』と表示されている。
寝入ってからそれほど時間は立っていないが頭はクリアだ。今日の大会出場に興奮しているためか、いやーー、きっと彼女たちの存在が大きいのだろう。
充実した時間を過ごし心身ともに満たされているというべきか。
隣で寝ている彼女たちの横顔を眺める。二人は裸でシーツを包みながら俺の体に腕を巻いていた。
起こさぬよう、そっと起き上がり服を着る。
闘技場には「朝霧の時間帯」の鐘がなってから集まればいいとビックマムが言ってたっけ。時間でいうと朝の6時に鐘が鳴っていたな。
時間はまだある。ゴンザレス達を起こすのも忍びないので、そのまま時間いっぱいまで寝かしておくことにした。
さてと、今のうちにアイテムの補充をしておくか。
椅子に腰かけテーブルの上にスマホウォッチを置く。ホログラム機能を使うと光が漏れるので、ディスプレイ上でガチャを回す。
画面を操作しガチャスキルを起動する。表示されているソウルの残数は268,760。先の戦いで得たアラクネ達のソウルはそれ程大した数ではなかったのだが、何より大きかったのがザリウスのソウルだ。
流石に人の魂はどうかと思ったのだが、ゴンザレスが『勿体ないです。それに悪いことし続けていたんですから罪滅ぼしの為に役に立ってもらいましょう』と言って『ソウル・コネクト』を起動し回収してしまったのだ。
……ゴンザレス、なんて恐ろしい子。
気を取り直し、選択画面を操作する。当然回すのは『レインボー』。強者が集うのだ。それに戦闘中のソウル消費も視野に入れておこう。
竜剣を使う機会が多いかもしれないしな。
『レインボー』の『11連ガチャ』を押すと、お馴染みの演出でガチャが回され手に入れたアイテムが表示された。
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アイテム名: 無限の炭酸瓶
ランク :『 N 』
説明 :
喉越しシュワシュワな炭酸水を無限に生成する瓶。
中身が無くなればまた自動で炭酸水が生成される。
果実水を混ぜて様々なフルーツ炭酸水を作ろう。
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アイテム名: サンドウィッチ・バケット(使い捨て)
ランク :『 N 』
説明 :
バケットの中身は様々な種類のサンドウィッチが詰め込まれている。
具材によって様々なステータス効果(時間制)が得られる。
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アイテム名: 風のオルゴール(ver.精神型)
ランク :『 R 』
説明 :
郷愁の思いを抱くような優しい曲調のオルゴール。
精神感応の増幅器で箱を通して精神型魔法を使用者が使うことによって
音色が風に乗って遠くまで響かせることができる。
ただし、風が吹かないと数メートル程しか効果が無い。
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アイテム名: ルミナスの花
ランク :『 R 』
説明 :
女神ルミナスの加護が宿るとされている青い花。
月の光を当てると淡く光を放つ。
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アイテム名: 巻き戻しの懐中時計
ランク :『 R 』
説明 :
経年劣化・壊れた物を新品同様に戻す。
ただし、生物には不可。
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アイテム名: コカの実(20粒入り)
ランク :『 R 』
説明 :
ほんのり甘い木の実。
とある種族にとっては神聖な木の実で高値で売れる。
食べると永続的に『魔力+1』付く。
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アイテム名:豪運のギャンブラー(使い捨て)
ランク :『 HR 』
説明 :
ギャンブルに絶対に勝つ。
どんなにイカサマされても逆転勝利する。
ただし一回きりだけである。
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アイテム名: 速読飴(20個入)
ランク :『 HR 』
説明 :
本を読む速度が数倍に跳ね上がる。
又、理解力も高まるため無駄のない飴玉。
ちなみに味はハッカである。
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アイテム名: 水のドレス
ランク :『 HR 』
説明 :
水を特殊な方法で圧縮物質化した絹で編んだドレス。
火属性の耐性があるが雷・氷属性ではダメージが増加する。
『素早さ+30』
『魔力+20』
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アイテム名:ジーク・リガード
ランク :『 SR 』
説明 :
破壊神アポリオンの力が宿った魔手甲。
装備者にパッシブスキル『絶望のオーラ』を与え、対峙した者は確率で『恐怖』状態になり何もできなくなる。
特殊スキル『アポリオン』
破壊神アポリオンの巨大な腕を召喚し、敵を叩きつける。
特殊スキルを一回使用するごとにソウルを500消費する。
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アイテム名:ガチャ確率操作(使い捨て)
ランク :『 UR 』
説明 :
スキル『ソウルガチャ』の確率をランダムで数値を変えることのハッキングプログラム。
表の確率表記とは別に裏の確率表記によって多くの血の涙を流したガチャ中毒者たちの怨念によって生まれた概念プログラム。
一度ガチャを回すと元の確率に戻る。
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レインボー『 UR 』きたー! よし、楽しみは最後にとっておこう!
しっかし、相変わらず統一性なく出てくるなぁ。まぁ、それはそれで何が出てくるか楽しみでもあるけど。
えーと、どれどれ……殆ど戦闘に向いてないアイテムばかりだな。
戦闘系のアイテムは……『 SR 』の『ジーク・リガード』か。
お、パッシブ付き! 『疾風』『迅雷』より消費ソウル大きいけど、これはこれで強そうだ。
そういえば『疾風』『迅雷』も合成すれば強くなるって説明に書いてあったな。『コニヤラのカード』出ればなぁ……。って、たらればの話は止めよう。
気を取り直し虹色に輝くアイテムを確認する。
レインボーアイテムは何かなっと……ぉぉぉぉおおおおぉぉぉわあああああああああ!!
アイテム名を見て驚いてしまった。
『ガチャ確率操作』――。
まさかスキル『ソウルガチャ』の確率変動を起こすアイテムが出てくるとは思わなかったからだ。
直ぐに画面を操作し、『 UR 』アイテムをタップ。使用するかの確認表示が出てきたので『はい』の文字を押そうとした時、これに見合ったアイテムが出たばかりなのを思い出した。
そうだ、『豪運のギャンブラー』――。
先に『豪運のギャンブラー』を使用してから『ガチャ確率操作』を使用した。
するとスマホウォッチが淡く輝き出し、虹色に光を発行し続けている。
もしかしてこの状態でガチャ回せばいいのか? よっし、やるぞやるぞやるぞぉぉお!!
早やる気持ちで画面を操作し、『11連ガチャ』を押した――。




