60.アイテム補充1 ★
俺たちは戦闘の準備をするため、ヴィクセルに空き部屋へと案内してもらっていた。
『ソウルガチャ』を回すにあたって他の者に見られたくないため、空き部屋はないかと頼んだのだ。
先程の戦闘から時間はそれほど立っていない。あの爆発によって街中は一時騒然としたようだが、今兵士たちが沈静化するために動き回っていた。
実質、戦闘で被害が起きたのは守衛所の建物だけ。広い訓練場だったのも幸いだった。
ヴィクセルに部屋へと案内されている途中、住人の被害報告をしにきた兵士が被害なしと言っていた。
死傷者が出ないでよかったと思う。
暫く歩いていると空き部屋に到着したのかヴィクセルが扉の前で立ち止まり、こちらへと顔を向けてきた。
「この部屋を使ってくれ。準備が出来れば直ぐにでも出発する。この騒ぎだ、奴らに情報が伝わるのも時間の問題だろう。悪いが急いでくれるとありがたい」
「ええ、わかっています。こちらもアイテムの確認をしたら直ぐにそちらに向かいます」
「そうか、わかった。すまぬな。準備が出来たら訓練場へと来てくれ」
ヴィクセルはそのまま訓練場の方へと歩き出していった。
扉を閉めゴンザレス達の方へと顔を向ける。
「ゴンザレス、『ソウルガチャ』を回してアイテムを補充する。今所持しているソウル数はどれくらいだ?」
「はい、現在のソウル数は208375です。先ほどの倒したエレメンタルゴーレムのソウル数が1体辺り4万でした」
「そうか、ソウルは20万越えか」
これだけあれば半分くらい気兼ねなく回せるだろう。
後は使えるアイテムが出てきてくれればいいのだが。
うーむ、100連いってみるか?
自分で言っていてなんだが、100連と言う響きにワクワクしてくる。
やべぇ! アイテムでウハウハじゃん!
「ねぇ、シノ。それだけソウルがあれば竜剣だけで『イビルノイア』を捕まえられるんじゃない?」
「ん?」
リリィに話しかけられ一旦トリップ状態から現実に戻ってくる。
確かにその意見はもっともだ。竜剣一本あれば事足りるだろう。だが、ここは街のド真ん中だ。竜剣の威力がありすぎて街の住人も巻き込んでしまう可能性が大いに有りうる。
それだけは避けなくてはなるまい。
「ああ、単純な戦闘力なら竜剣で十分だな。だけど、できるだけ戦闘にならないようにしたい。一番いいのは奴らに気づかれることなく捕まえること」
「そうですね、戦闘になれば街の住人を巻き込んでしまうでしょう。そうなるとマーメイド祭どころではありません。お祭りは中止になり、人間とマーメイドの間に深い溝ができるのは目に見えています」
「なるほど、確かに言われてみればそうよね。でも、相手に気づかれないようなアイテムなんてあるのかな?」
「気配を立つアイテムなら既に手に入れているぞ。まぁ、ガチャを回すだけでも色んなアイテムが手に入るからな。何とかなるだろ」
「まったく、シノは楽観的なんだから。でも、シノはいつだって何とかしてくれるもんね」
リリィが後ろに手を組みながら笑顔を向ける。俺のことを信頼しているような表情に少し照れてしまう。
照れ隠しのつもりでスマホウォッチを巻き付けている左腕を胸元まで掲げると、『ソウルガチャ』の選択項目がホログラム映像として映し出された。
どうやらゴンザレスが俺の動きに合わせて起動してくれたようだ。
時間がないしな。どんどん回していこう。
目の前に表示された『レインボー』の11連項目を押すとお馴染みのキャラがガチャポンを打ち抜いていく。
打ち抜かれて出てきたアイテムが目の前に次々と表示されていった。
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アイテム名:木こりのトンガリ帽子
ランク :『 R 』
説明 :
木に関する知識『伐採』に詳しくなる。
また、熟練者同様の勘も備わるが何故か言葉がなまる。
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アイテム名:マッドサイエンティストの試験管ベルト
ランク :『 R 』
説明 :
毒物に特化した薬品を作り続けた狂気の科学者が愛用していたベルト。
ベルトには『毒』『麻痺』『眠り』『硬直』『酸』『混乱』『無気力』『全身が痒くなる』『笑いが止まらない』の試験管が装着されていて、試験管を抜きとっても直ぐに自動補充される。
また、ベルトに装着されている間はどんな衝撃を受けても試験管は割れないが、液体が空気に触れると直ぐに気化するため風下には注意。
薬品効果は60分。
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アイテム名:アルケミストの試験管ベルト
ランク :『 R 』
説明 :
元素の力が籠った液体を研究し作り上げた錬金術師が愛用していたベルト。
ベルトには『火』『氷』『風』『雷』の試験管が装着されていて、試験管を抜きとっても直ぐに自動補充される。
また、試験管は非常に割れやすく、ベルトに装着したままの状態で激しい動きをすると割れる。
自爆注意。
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アイテム名:ビューティフルアワー
ランク :『 R 』
説明 :
誰でも簡単にプロ級のヘアースタイルを決められる魔法の美容師セット(シザー、セニング、シャンプー、カラー、ドライヤー)
かっこよく、可愛くヘアースタイルを決めて好きな人にアピールしよう。
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アイテム名:ショタコンホイホイ(男性用)
ランク :『 R 』
説明 :
装備者の小さい頃の姿に変身できる指輪。
ショタコンのお姉さまを射殺す魅惑のアイテム。
ただし、場合によってはお持ち帰りされる。
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アイテム名:知覚の指輪
ランク :『 HR 』
説明 :
警戒心の強いピクシーラビットの齧歯を磨いて作られた指輪。
装備することにより、認識阻害の魔法を無効にする。
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アイテム名:結界凛
ランク :『 HR 』
説明 :
呪術師によって作られた鈴。
認識を阻害する結界を打ち破る事ができるが、一度使うと壊れる。
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アイテム名:グルメ包丁『ブッチャー』
ランク :『 HR 』
説明 :
魔物料理の味を探求してきた料理人が使っていた肉切り包丁。
魔物の肉を切ると、その魔物肉に合った最高の肉料理へと変化させる(皿あり)
ただし、生きた魔物は不可。
一回使う毎に所持金が減るので、使い過ぎには注意が必要。
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アイテム名:ウォーターストーン(ver.ローズ)20個
ランク :『 HR 』
説明 :
スライムを生きたまま特殊加工し精製した石鹸。
乾燥肌に潤いを与え皺をなくす。10代のツヤ肌になる。
効果は24時間。
ちなみにまだ生きてる。
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アイテム名:次元鏡
ランク :『 SR 』
説明 :
罠や結界を視認できる双眼鏡型ゴーグル。
また、紫外線・暗視・透視機能も備わっている。
倍率も10倍まで上げられるので、探索クエストに最適。
とあるAIプログラムに組み込まれた機能の劣化版である。
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アイテム名:リジェネ・クリスタル(レプリカ)(ver.ペンダント型)
ランク :『 SR 』
説明 :
一定の間隔で体力を回復させる特殊なクリスタルペンダント。
とある法国の神秘の一つで、神から授かった奇跡と伝えられているが、
実は大量のポーションを白魔術で圧縮凝固して作られたレプリカである。
本物は宝物として保管されていたが盗まれた為、あわてて模造された。
体力が減ると発動し、毎秒100自動回復。
ただし、ポーション1000個分までしか回復できない。
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やばい、なんか凄いのが出た。
出てきたアイテムを確認していくと、ある一つのアイテムに目を奪われる。
『リジェネ・クリスタル(レプリカ)』
これがあれば先刻の戦闘での不意打ち攻撃を受けても、すぐに立ち直れるだろう。
だけど、俺が装備するよりは彼女たちの方がいいか。二人が傷つく姿は見たくないしな。
うーん、リリィには『幸運の四葉のクローバー』を装備させてるから、ゴンザレスに装備させるか?
いや、まだ他にもいいのが出てくるかもしれない。できるだけ平等にしたいしな。よし、暫く保留にしていおこう。
えーと、他にはっと……。
『次元鏡』? あー、なるほど、どうやら俺の世界の軍隊が使うような双眼鏡に魔法の効果が付随したような感じか。
でも、これって……。
「なぁ、ゴンザレス。この『次元鏡』の機能って、ゴンザレスの索敵機能と同じだよな?」
リリィと一緒にホログラムを覗いているゴンザレスへ話しかける。
どうやら、ゴンザレスはリリィにアイテムの説明をしているところだったようだ。
「え? あ、はい。そうですね。この説明に書いてあるAIプログラムは私のことを指しています。ですので、あまり必要ないかと思います」
だよなー。しかもゴンザレスの方が様々な機能あるから使うことはないか。
『次元鏡』のホログラムの前で考え込む。
うーん……。ま、こいつはお蔵入りかなー。って、あの二人、なんで一つのアイテムの前でヒソヒソ話しているんだ?
「何か欲しいものでもあるのか?」
「ひゃい!? い、いや、まぁ。あ、あははははは」
「えーと、ですね、欲しいと言いますか、逆にマスターに装備してもらいたいと言いますか、そのー……」
リリィが素っ頓狂な声をあげ、ゴンザレスがモジモジと恥ずかしそうな仕草をしている。
「どれだ?」
二人の前に表示されているホログラムのアイテム名を確認してみる。
『ショタコンホイホイ』
えぇー……。
なんだこれ。小さい頃の姿に変身できるアイテム? おいおいおい。
ジト目で二人を見る。
「や! 違うの違うの! 小さい男の子が好きとかそういう意味じゃなくて、ただシノの小さい頃の姿を見たいというかっ!」
「そ、そうですっ! 純粋な気持ちでマスターの幼少時代をみたいだけですっ!」
凄い慌てようだ。
まぁ、別にいいけど。
慌てている二人がいたたまれなくなり、とりあえずアイテムを出現させ装備する。
すると、ポンッ! っと白い煙が出たと思ったら、急に視界が下がった。
どうやら、幼少期の俺に変化したようだ。
「これでいいか?」
お、声まで変わってる。
身長が高く見える二人の顔を見上げると、目がハートマークでキラキラしていた。
「きゃーっ! シノ可愛すぎー! やーん、もー!」
え? うわっ! きゅ、急に抱きついて――。
「リリィっ! リリィっ! わ、私も抱きたいですっ!」
「うん、はい! ゴンちゃんもどうぞ!」
「……えへへ、マスター可愛いです」
ぶはっ! なんだこれ!
ゴンザレスの大きな胸に顔を押し付けられる。
「おーい、二人ともいい加減にしてくれー。本来の目的忘れてるだろ?」
場所が場所だけに二人を嗜める。
「す、すみません、マスター。あまりにも可愛いすぎたので。き、気を付けます」
「あ、あはははは、ごめんごめん! でも、そのアイテムは他の女性の前で使っちゃ駄目だからね? ということで、それ私が預かるね」
両手を添えて「はい!」と突き出してくる。
まぁ、いいか。潜入とかで使えるかと思ったが、余計な火種はまかないようにしておこう。主に女性関係で。
指輪を外すと元の姿にへと戻る。
『ショタコンホイホイ』をリリィに渡すと、満面の笑みを浮かべていた。
なんか怖かったのでとりあえず他のアイテムを確認していくことにした。
(ゴンちゃん、シノが眠っている時にこれ使おうね)
(はいっ! ちっちゃいマスターを抱き枕にして眠ってみたいですっ!)
(じゃー、順番でね。私もぎゅってしたいから)
(はいっ!)
二人のヒソヒソ話が聞こえてくる。
やっべ、鼻血出そ。って、そんなことを考えている場合じゃない。
煩悩を振り払って次のアイテムを見る。
お、この『マッドサイエンティストの試験管ベルト』なんか使えそうだな。
毒物系だけど、『麻痺』や『眠り』などがある。
相手は元王国騎士隊の一人だ。ましてや王国に貯蔵されていたというレアアイテムも所持しているという程だから、何らかの魔法・毒物対策はされているかもしれない。
とりあえず、こいつは候補の一つとしておこう。
うーん、にしても『ソウルガチャ』を引いてみて思ったんだが、戦闘系・生活系・食べ物系はいいとして、エロ系も多いな。
まー、嬉しいんだけどね!
よし、どんどん『レインボー』を引こう。
あー、やばい。やっぱガチャ最高!!




