34.宿屋でのんびりとソウルガチャ
カルナンバードを倒したその日の夜。宿場町の宿で一人、部屋のベットに座る。時間は夕方の6時過ぎ。リリィはお風呂へ行っているため今はいない。
スマートフォンを操作しソウル数と手に入れたガチャアイテムを眺める。現在のソウル所持数は60065(6000)だ。まだまだ結構残っている。
『風の森』での出来事以来、一度もガチャを回していない。あの時はリリィの為に結構アイテムを使ったからな。そろそろいい加減アイテムの補充をしないと。
また何が起こるかわからないし。
『というのは建前で、本当は回したくて何が出るのかが楽しみでしょうがないんですよねマスター』
「う……、まぁな。回したくてしょうがなかった。ここ暫く『ソウル』集めしていなかったしな。ソウル消費ばかりしていたら直ぐに底をつくから、暫く自重してたけど」
『今日マスターが倒したカルナンバードから収集したソウルは6000です。半分残したとしても『レインボー』は3回引けますよマスター』
「半分かー……。やっぱり全部回しちゃ―――」
『ダメです』
「なんでさ。いいじゃんか、次の街でギルド活動するんだから必然的に『ソウル』も手に入るだろ? 俺のランクだと『 E 』しか受けれないが、リリィのランクは『 C 』だ。なら討伐クエストが受けられる」
『お言葉ですがマスター。リリィとパーティーを組んでいるのをお忘れですか? 当然リリィも魔物を倒して経験値を得なければLvが上がりません。
魔物を討伐時するときはバランスよく『ソウル』と経験値を獲得しなければなりません。ですから今後の為に多くても3000までです』
う……。ごもっともな意見を。お前は俺のオカンか……。
『オカンではありません。あくまで私はマスターのサポートAIです』
「はぁ、考えが筒抜けというのは一長一短だな……。わかったわかった、なら3000分まわすぞ! ゴンザレス、ホログラム機能をオンにしてくれ」
スマートフォンをベットの上に置くと同時に画面から光りが溢れる。
「んじゃまぁ、当然回すなら『レインボー』3回だろ! まずは1回目ッ……へ、ヘックション!!!」
出てきた選択項目の『レインボー』を押した。
ただしそれは11連の項目
『あ! マスター! それ1回分じゃなくて11連のほうです!』
「あ”……」
『マスター!? 今意図的に押しました!?』
「ないないないない! 断じて絶対にない! くしゃみで押す場所間違えたんだよ。でももう押しちゃったんだから仕方がないだろ」
『はぁ……、もう。次の街では絶対に『ソウル』集めしてくださいね?』
「ずずず、わかってるって」
毎度お馴染みの女の子が出てきて飛び回るガチャポンを撃ち抜いていく。
そして目の前に次々と手に入れたアイテムが立体表示されていく。
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アイテム名:魔法の鍵
ランク :『 R 』
説明 :
どんな鍵も開けることができる。
ただし、心の鍵だけは開けられない。
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アイテム名:万能調味料EX
ランク :『 R 』
説明 :
どんなにくっそ不味い料理でもこれを振りかければ美味しく食べられる。
変わるのは味だけで元の料理自体が劇物だった場合、結局は体に良くない。
彼女の手料理が不味かった場合、正直に不味いと言おう。
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アイテム名:ピュワホワイト・カチューシャ(女性限定)
ランク :『 R 』
説明 :
小さなお花とリボンがついたカチューシャ。
東風の神エウロスの加護がついている。
北風ボレアース・南風ノトス・西風ゼピュロスの加護がついた装備を揃えることにより、
風属性の攻撃を無効化できる。
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アイテム名:フラワーホワイト・ワンピース(女性限定)
ランク :『 R 』
説明 :
フリフリした純白のワンピース。
南風の神ノトスの加護がついている。
北風ボレアース・東風エウロス・西風ゼピュロスの加護がついた装備を揃えることにより、
風属性の攻撃を無効化できる。
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アイテム名:インビジブル・ソード
ランク :『 R 』
説明 :
透明な片手剣。
デビル・アイの魔物の脊椎から取れる液体で鍛え上げられた。
装備者でしか剣の姿が見えない為、装備から外し置き場所を忘れると見つけるのが困難になる。
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アイテム名:無病息災の腕輪
ランク :『 HR 』
説明 :
病気が掛からなくなる。
ただし、既に病気にかかっていた場合は無効。
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アイテム名:青空の筆
ランク :『 HR 』
説明 :
雨雲を青空に塗り替える筆。
筆を空に向かって塗りつぶすように振ると、その部分の雲が掻き消える。
デート日に雨が降ったらこれで解決。
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アイテム名:エクスペリエンス・グラースィズ
ランク :『 HR 』
説明 :
小説の世界を現実のように体験できるメガネ(R15用)
主人公になりきれる。五感全てに反映されるため流血ものの小説は注意が必要。
別に18禁用のメガネも存在する。
ラノベの世界へようこそ。
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アイテム名:呪いの焼きごて(使い捨て)
ランク :『 HR 』
説明 :
常に赤く熱している焼きごて。
使用者によって烙印を付けられた者は、命令を1つだけ絶対服従してしまう。
効果は一度だけ。
使用者は代償としてランダムで呪いがかかる。
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アイテム名:闘魂の篠笛(使い捨て)
ランク :『 SR 』
説明 :
自動演奏の魔法がかかっている。演奏は10分間。
使用者の仲間に対して『防御力』を+300上げる。
効果は演奏している10分間のみで、使用者は動けない。
『闘魂の琴』『闘魂の和太鼓』『闘魂の篠笛』をセットで使うと相乗効果により、
あらゆるダメージが無痛になる。ダメージは受けているため無敵ではない。
演奏曲『闘いの宴』
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アイテム名:闘魂の和太鼓(使い捨て)
ランク :『 SR 』
説明 :
自動演奏の魔法がかかっている。演奏は10分間。
使用者の仲間に対して『筋力』を+300上げる。
効果は演奏している10分間のみで、使用者は動けない。
『闘魂の琴』『闘魂の和太鼓』『闘魂の篠笛』をセットで使うと相乗効果により、
あらゆるダメージが無痛になる。ダメージは受けているめ無敵ではない。
演奏曲『闘いの宴』
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出てきたアイテムを確認していく。
『 R 』が5つ、『 HR 』が4つ、『 SR 』が2つ。『 UR 』は無し……。まぁ、それでもアイテムの内容見る限りだと使えるものが結構出てきてるか。
女性用のアイテムがある。でもこれ、リリィは欲しいって言うかな? どうもあいつのイメージに合わないから断られそうな気がするが。
お、『無病息災の腕輪』のアイテムは助かる。この異世界ではどんな病気にかかるかわからない。早速装備するか。
前面に浮いている『無病息災の腕輪』のアイコンをタップし具現化させ装備する。
「複製アイテムの『コニヤラのカード』があればなぁ。そうすればリリィにも装備させられるんだが」
『そのうちガチャを回していれば同じのが出るかもしれませんよ?』
「ああ、そうだな。もう1個出たときはリリィに装備させよう。えっと、次は……『エクスペリエンス・グラースィズ』……だと」
『どうしたのですかマスター? そんなに慄いて』
「うおおおおお! 小説の主人公を体験できるアイテムとか! 本好きの俺としてはなんという素晴らしい神アイテム! 元の世界だとこういうの欲しかったけど、既に俺は訳のわからない異世界にいる身……今はいらないか」
今を生きるのが精一杯な俺としては早く元の世界に戻りたい。しかも寿命が半分になるというオマケ付きだ。なんでこんなことになったんだろ。
『既に物語の主人公みたいな状態ですしね。何度でも言いますが、マスターは私がサポートしますのでご安心ください』
「ああ、ありがとう。これからも頼りにしてるぞゴンザレス。ということでもう1回ガチャやっていい?」
『マスター! それとこれとは別です! なんでそこまで我慢ができないのですか! それじゃダメ人間まっしぐらですよっ!』
「いやまぁ、自分でもわかっているんだけどさ。ガチャから出てくるアイテムが楽しみで仕方がなくて、つい回したくなるんだ。ということでもう1回! ワン モア プリーズ!」
『む~……』
マスターである俺に権利はあるのだが、常にゴンザレスに助けてもらっている身としてはゴンザレスに許可をもらうつもりだ。ここまで一緒に歩んできた仲間だしな。
『マスター、そういう考えはズルイと思います……。わかりました。最後に『レインボー』11連どうぞ。ですが暫くは無しですからね?』
「え!? いいの!? ゴンちゃん愛してるぅっ!!」
『ですからそういうのは卑怯です! マスター』
すっげぇ照れてるような声にちょっと萌える。
『もう、知りません!』
「はは、ごめんごめん。んじゃ、ゴンザレスから許可が下りたから『レインボー』11連ガチャいくぞ!」
嬉しい気持ちがあふれる中、出ていたアイテムを『アイテム収納』に収めてからもう1度11連の選択項目を押す。
毎度お馴染みの女の子が出てきてガチャポンが飛び回る。だがいつもと少し違う変化に気づく。
あれ? ガチャポンの色が……。随分とレインボー色が多い!? もしかしたら今回は『 SR 』か『 UR 』の確率が高いかもしれない!
ガチャポンはリボルバー式拳銃で打ち抜かれていき―――。
目の前に次々と手に入れたアイテムが立体表示されていく。
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アイテム名:バケツプリン
ランク :『 N 』
説明 :
プリンシリーズの中でも最狂と謳われたバケツ一杯の巨大なプリン。
全部一人で食べ切れたら君は勇者。
得られる恩恵は『血糖値アップ』
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アイテム名:フェアリーブラック・パンプス(女性限定)
ランク :『 R 』
説明 :
踵の低いツヤのある黒いパンプス。
北風の神ボレアースの加護がついている。
南風ノトス・東風エウロス・西風ゼピュロスの加護がついた装備を揃えることにより、
風属性の攻撃を無効化できる。
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アイテム名:淫夢の宴(使い捨て)
ランク :『 HR 』
説明 :
夢魔・サキュバスのブロマイド写真。
これを枕の下に入れて眠ることで物凄いエッチな夢が見れる。
サキュバスの呪い『精力搾取』により9割の確率で死ぬ。
ただし、精力が高ければ逆に服従することが可能。
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アイテム名:炎剣・イグニア
ランク :『 HR 』
説明 :
真紅の刃の片手剣。剣を振るうたび炎が迸る。
封印の炎地獄の力で斬ったものを灰塵にする。
特殊スキル『炎剣爆豪』
剣を振り下ろすことにより、火炎の斬撃が繰り出され爆発を起こす。
使用制限は24時間に3回まで。日付が変わる時間にリセットされる。
起動言語は『炎剣爆豪』
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アイテム名:常闇の指輪(使い捨て)
ランク :『 HR 』
説明 :
魔王サタンの力が封じられた指輪。
1度だけフィールド上の全ての魔法攻撃を吸収し無効化する。
自身に付いた付加魔法も吸収し無効化してしまう。
起動言語は『ブラックホール』
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アイテム名:紅茶セット(ver.ダージリン)
ランク :『 HR 』
説明 :
ティーポッド&ティーカップ4つ。
最高状態の紅茶を淹れることができる魔法のアイテム。
ほっと一息。至福の一時を貴方に。
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アイテム名:幸運の四葉のクローバー
ランク :『 SR 』
説明 :
四葉のメタルピンバッチ。
死に瀕する攻撃をくらった場合1度だけ防ぐことができる。
呪いに対しても効果あり。
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アイテム名:魂の回帰(使い捨て)
ランク :『 SR 』
説明 :
60秒の間、死者の魂を呼び寄せ会話することができる。
呼び出すにはその呼び出す魂の遺品が必要。
ただし、既に輪廻転生した魂は呼び出せない。
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アイテム名:サテライト・キュア(使い捨て)
ランク :『 SR 』
説明 :
どんな病も治してしまう宝石。飲み込む事により効果が出る。
即時性ではなく、病の重さにより治療時間が変わる。
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アイテム名:土竜・ウォルガイア
ランク :『 UR 』
説明 :
48種の伝説の竜のうちが一つ、
『土竜・ウォルガイア』の角から造られた大剣。
見た目以上に質量があり、斬るというよりは叩き潰す方に近い。
竜剣と血の契約を交わすことにより、膨大な力を得る。
『血の契約』
装備している間だけ下記のステータスが一時的に上がる。
1秒ごとにソウル10消費される。
また、所持ソウルが無くなると使用者のソウルを喰らい、
使用者を竜化させる。自我がなくなり元には戻らない。
体力 :+3000
筋力 :+3000
防御力:+3000
『固有スキル』
ドラゴン・インストール:土竜
説明:
土竜の力を使用できる。
その力は堅牢が如く。
ソウルを2000消費することにより、更に180秒間下記のステータスが上がる。
筋力 :+2000
防御力:+2000
180秒間の間、スキル『グランド・インパクト』が撃てる。
ただし、1度撃ったら解除される。
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アイテム名:擬人化のパンツ(使い捨て)
ランク :『 UR 』
説明 :
スマートフォン用パンツ型アクセサリー。
使用することによりスマートフォンが人へと形態化する。
容姿は使用者の理想の願望が反映される。
ただし、1度使用すると元には戻らないので注意。
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こ、これは――――!!!
恐る恐るある一つのアイテムを具現化する為、手を伸ばす。
ゴクリ……。
それをタップし具現化されたソレを両手で支える。
『淫夢の宴』
なんて素晴らしいアイテムなんだ! そしてこのアイテム!
『幸運の四葉のクローバー』
これセットで使えば一夜くらい、いい夢が……。
『何考えているんですかマスターっ! 不潔です! ハレンチです! 自重してください! この変態!』
(うわぁ! な、なんだよゴンザレス。そこまで怒ることないだろう!?)
『妄想がダダ漏れですマスターっ! 』
(おっと、スマンスマン。取り合えずこれはしまっておくから)
取り出した2つのアイテムを『アイテム収納』へと収める。
こほんっ! 気を取り直して他のアイテムを見ていくか。ん? うお!!? 『 UR 』が2つも出ている!?
妖艶な女性のブロマイド写真に目がいっていたので今『 UR 』アイテムに気づく。
しかもこれは――――。
ひときわ輝く純白のパンツがそこにあった。
『擬人化のパンツ』
「うおおお! つ、ついに出たーーーー! やったぞゴンザレス! ついに擬人化できる時がきたぞっ! やったな!」
『ううぅ……先ほどの『淫夢の宴』の件がなければ素直にもっと喜べたのですが……』
「悪かったって! 機嫌直してくれよ。ほら! 見ろこの神々しいパンツを!」
『擬人化のパンツ』を具現化し両手でそれを広げる。スマートフォン用なだけに大きさは小さい。
『ううぅ……マスターが変態さんにしか見えません……』
「さり気なくひどい事言うな」
ちょっと興奮しすぎていたか。深呼吸して気分を落ち着かせよう。
スーハー、スーハー……。
よし、それじゃ早速―――。
ガチャ。
「シノー、何騒いでいるのよ? 廊下まで声聞こえてるわよ?」
湯上りから戻ってきたリリィと目が合う。
「あ………」
「へ……?」
きっとリリィの目にはこう映っているだろう。ベットの上でパンツを広げて見ている変態の姿――――。
「な、ななななな何しているのよシノーーー!!」
「ち、違う違うこれには深いわけがあって……」
「こんのぉ……変態ぃぃ!!」
リリィは手に持っていたタオルセットを思いっきり投げつけてきた。
「誤解だーーーーーー!」
宿に俺の絶叫が響き渡った――――。




