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23.翠竜ラファーガル

「うそ……。シノ……なの」


 リリィは涙を流しながら驚いたような声を上げ見つめてくる。


「なんだよ、俺がここにいたらおかしいか? 皆を助けにきた。リリィ、マッド達の所に戻って待ってろ。直ぐに終わらすから」


「え、ちょっと、直ぐに終わらすって―――」


 リリィから視線を外し、前面のドラゴンへと睨みつける。

 霧があった場所は腐敗して折れた木々が沢山あり、腐敗臭が酷い。どうやらここは森があったようだ。そしてドラゴンの周りには倒壊したいくつもの建家の残骸。


 胸糞悪い……。しかし何故、村の中心にドラゴンが。やはり人為的なものなのか?


『マスター、タイムリミットまで5分です』


 ああ、そうだった。時間が余りないんだった。原因をあれこれ考えるのは、あのドラゴンを倒してからにするか。

 ドラゴンを凝視し更にその奥、内面を覗き込むように見る。すると視覚領域に文字が浮かび上がってくる。



 -------------------------


 名前:翠竜・ラファーガル

 

 Lv:50

 

 体力 :5263 

 筋力 :1834

 防御力:1800

 素早さ:2345

 魔力 :1806


 スキル:ハウル

    :火炎球

    :ヴォルテックス・ブレス


 説明:48種の伝説の竜のうちが一つ、翠竜・ラファーガル。

    太古の昔に絶滅した竜。

    圧縮された空気を放つ『ヴォルテックス・ブレス』はかなり強力である。


    元素の宝玉『風の玉』に蓄積された負のエネルギーによって蘇った。

    

 -------------------------


 

「―――なに!! 元素の宝玉!?」


 覗き込んだステータス説明文に、ウェイバーが言っていた『元素の宝玉』の文字が出てきたことにビックリする。


「え? シノ、今なんて……」


 後ろでリリィが呟く声が聞こえてくる。


『マスター、ウェイバーが言っていた『浄化しきれない負のエネルギーは、4つの『元素の宝玉』に影響を及ぼす……』という言葉。まさにその結果があの翠竜・ラファーガルなのでしょう』


(ああ、そうなのかもしれない。話の辻褄が合うしな。……本当はそんなこと信じたくないんだが……な!!!)


 腰を低く落とし、一気に距離を縮めるべく全速力で駆ける。咆哮を上げる翠竜・ラファーガルに向かって。瞬時に動いた俺に反応し、翠竜・ラファーガルは翼を羽ばたかせ上空へと上昇する。

 でかい図体の割にかなり反応が早い。流石、ステータスの中で素早さが高いだけある。走りで勢いを付けた速度を右足でブレーキをかけ、スライドしながら止まる。上空を見上げると、どんどん上昇している。


「逃がすか!」


 『ミスリルソード』を地面に突き立て、『暴竜・ファルベオルク』を左手に持ち替える。


 右手を上空にいる翠竜・ラファーガルへと向け、引きずり落とすべく起動言語トリガーを唱える。


「――スキル『チェイン』!」

 

 右手に描かれた魔法陣から熱を感じ始めると、青く光る鎖が魔法陣から具現化し翠竜・ラファーガルへと伸びていく。そして鎖は翠竜・ラファーガルの体に巻き付き、引きずり下ろす。


 だが翠竜・ラファーガルは下ろされまいと上空へ更に上がろうとする。支えもない状態なので俺の体が引っ張られそうになる。直ぐ様『暴竜・ファルベオルク』を地面に突き立て抵抗し、右手で鎖を握り締め渾身の力を入れ引きずり下ろす。


「うらぁぁぁぁぁ!」


 力比べに負けた翠竜・ラファーガルはバランスを崩し、地面へと落下してきた。落下の衝撃で土煙が巻き起こり、視界が悪くなる。


『マスター、タイムリミットまで4分です!』


 地面に突き立てた『ミスリルソード』を逆手で引き抜き、翠竜・ラファーガルがいるであろう方向へ向く。土煙は収まり起き上がろうとする翠竜・ラファーガルが視界に入る。

 『ミスリルソード』を掲げ起動言語トリガーを唱える。


「――スキル『氷牙爆砕』!!!」


 地面に突き立てると剣を中心に青い魔法陣が地面に展開。そして翠竜・ラファーガルの真下にも青い魔法陣が展開し、3本の氷柱が右前足と左後ろ足を貫く。


『グォォォオオオオオオオオォォォオ!!!』


「まだまだぁ! ――スキル『氷牙爆砕』!!!」


 立て続けに3本の氷柱が出現しようとした刹那―――、

 翠竜・ラファーガルは翼を大きく広げ、足元の地面に火炎球を口から放ち、爆風で自身を吹き飛ばし逃れた。


 遅れてやってくる爆風を両手でガードし踏ん張る。


「きゃああああああ」


「ぐぬうううううう」


 少し離れた方でマッド達の声が聞こえる。顔を振り向けるとリリィを下がらせようとするマッド達の姿があった。マッドはリリィとミーナを背で庇い、ボナはマッドの足にへばりついている。


『マスター! 上空から熱源反応、火炎球来ます!』


 見上げると遥か上空から翠竜・ラファーガルは3発の火炎球を連続で放ってきた。


 拙い、リリィ達も巻き添えを食らう――!


「クイックオープン! 光臨の鎧!」


 目の前に小さな黄色い宝石が具現化する。


『マスター! 起動言語トリガーは『セット、座標名』です!』


 直ぐ様、宝石を握り締める。


「セット、座標リリィ!」


 宝石は砕け散ると同時にリリィの足元に魔法陣が展開し、光のドームが形成されリリィ達4人を覆う。


「な、なにこれ!?」


「皆! そこから一歩も動くな!」 


 上空を見上げると火炎球が近くまで迫り来る。自分に直撃する1つを『ミスリルソード』で一文字にたたっ斬ると、封印の氷地獄コキュートスの力で火炎球は蒸発して消える。

 

 残りの2つはリリィ達に直撃したが、光のドームに守られたリリィ達は無傷。4人とも驚いた顔をしている。


「い、生きてる……」


「これはシノが防御結界を張ったのか!?」


「う、うそ……。凄い」


「ありがとうシノッチ! 愛してるわ! ん~ちゅば!」


 ボナの投げキッスで精神的ダメージを負う。


『マスター、タイムリミットまで3分です。ドラゴンインストールの使用を進言します』


 敵は遥か上空。『グラビティ・アルファ』を撃つなら今が好機。


「なら、動きを止めないとな! ―――スキル『リストレイント・チェイン』!!」


 翠竜・ラファーガルの周りに8つの魔法陣が展開。魔法陣からさらに青く光る8つの鎖が出現し空中で束縛。


 

『グォォォオオオオオオオオォォォオ!!!』



 翠竜・ラファーガルは藻掻き振りほどこうとする。『ミスリルソード』を鞘に収め、『暴竜・ファルベオルク』を両手で持ち直す。


「ここで決着をつける! ――ドラゴン・インストール:暴竜!」


 起動言語トリガーを唱えると、足元に紫色に光る魔法陣が展開していく。

 魔法陣の周りに黒い稲妻のような閃光が走り、さらに輝きを増す。


「ウオオォォォォオオォォォ!!」


 魔法陣を通して体の中にドス黒い力の本流が流れ込んでくる。一言で表すならそれは『怒り』という感情。それは破壊衝動となって俺の精神を飲み込もうとしていくが踏みとどまる。目標は上空にいる翠竜・ラファーガル。


 『暴竜・ファルベオルク』を横に構え、狙いを定める。刀身には黒い稲妻が放電し、力の開放を今かと待ちわびているようだ。

 膨大なエネルギーを感じ取ったのだろう。翠竜・ラファーガルは反撃すべく口を大きく開け、エネルギーの塊を蓄積していく。恐らく『ヴォルテックス・ブレス』に違いない。


「悪いが、負けるわけにはいかないんだ」


 力の本流がさらに大剣へと流れ込み、その刀身を変化させる。それは禍々しいほどの黒い光を放ち、生きる全ての生物を否定するが如く。


 翠竜・ラファーガルと目が合った瞬間、『ヴォルテックス・ブレス』を放ってきた。


 ブレスごと、ぶった斬る――!!

 

「―――グラビィティ・アルファ!!」


 チャージされた力を一気に解放すべく、真一文字に剣を振るう。


 黒い光りが斬撃となって前面に展開、迫り来るう『ヴォルテックス・ブレス』を真っ二つにし、更にその奥にいる翠竜・ラファーガルをも真っ二つに一刀両断した。

 『ヴォルテックス・ブレス』は空中で爆発。真っ二つになった翠竜・ラファーガルも地面へと落下し土煙を上げる。


 辺りに静寂が訪れる―――。


 風が吹き舞っていた土煙が晴れ、そこには生命活動を停止した翠竜・ラファーガルの死骸。『暴竜・ファルベオルク』のタイムリミット内に倒せたことに安堵する。


 後ろを振り向くと、歓声を上げながら駆け寄ってくる冒険者たちの姿が見えた。


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