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世界最強の魔女、始めました 〜私だけ『攻略サイト』を見れる世界で自由に生きます〜(Web版)  作者: 坂木持丸
第7章 海底王国へ行ってみた

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50/139

50話 海王を救ってみた

“光”の速度で更新されたことはあるかい?(6話同時更新です)


 海底王国アトランの玉座の間にて。

 ローナは海王に化けていた水月の魔女マリリーンと対峙していた。

 いや、正確には、魔女マリリーンの無数の“分身体”と対峙していた。


「くら――くららららら――ッ☆」「ローナ・ハーミット!」「くらら☆」「あなたの頭脳があろうと」「くららら☆」「本物がどこにいるかわからないでしょう?」「くららら☆」「さあ、あたしの幻に溺れなさい!」「くららららららら――――ッ☆」


 広間に漂っている霧から、魔女マリリーンの分身体が高笑いとともに次々と生まれてくる。

 そんな光景を前に、ローナは……。


(……えっと、どういう状況なんだろう、これ? あれ、御前裁判は……? というか、『くらら』ってなんだろう? 普通、そんな笑い声になる……?)


 いまだに、ちょっと混乱していた。

 ローナとしては、牢屋での暇つぶしに“サブクエスト”をこなしていたら、御前裁判の時間になったので、玉座の間に来ただけなのだが。


 なぜか、知らない女の人がいきなり自白を始めたかと思えば、いきなり戦いが始まったのだ。


(え、えっと、この魔女っぽい人の情報は……これかな?)


 ローナは急いでインターネット画面を操作して、お目当ての情報を発見する。



――――――――――――――――――――

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――――――――――――――――――――

▍ボス/【水月の魔女マリリーン】


 ▍出現場所:【海底王国アトラン】

 ▍レベル :60

 ▍弱点  :雷・氷

 ▍耐性  :水・火・地

 ▍討伐報酬:【ダイオウクラゲの魔石】

       【水月の涙】

       【深海のローブ】(20%)

       【水月杖クラリス】(10

       %)


▍概要

 【海底王国アトラン】への復讐に取り憑か

 れた魔女。

 幻・分身・透明化など、トリッキーな戦術

 を使ってくる。


 本体の位置を知るために、閃光か広範囲攻

 撃手段があると便利なほか、空中にいる本

 体を攻撃するために遠距離攻撃手段がほぼ

 必須となる。


 ただし攻撃手段は魔法のみであるため……。

――――――――――――――――――――



(……な、なるほど……レベル60かぁ……)


 かなりの手だれだ。

 そういえば、海王エナリオスになりかわっていたとインターネットにも書いてあった気がする。


「くららら☆」「ローナ・ハーミット」「あなたも、もしかして“魔女”の名を持っているのかしら?」「ただね、それだけじゃあ……」「あたしには勝てないわ」「あたしはこの世界に復讐するために、魔王にだって魂を売ったの」「今のあたしは人間の力を超越しているわ!」「くららららららら――ッ☆」


 魔女マリリーンの分身体が、次々に声をかけてくる。


「あなたにどれだけの力があろうと」「しょせんは人間!」「魔法も使えない今のあなたになんか」「――絶対に負けないッ!」


「わっ」


 そんな言葉とともに、魔女マリリーンの分身体が一斉に襲いかかってきた。

 四方八方から、分身体たちが魔法陣を構築し、そして――。


「溺れなさい! あたしの必殺の水天魔法――」


「えっと、とりあえず――リフレクション」



「アクアレイぃいいぼぼぼぼぉおぼぼぉおぼォオオ――ッ!?」



「からのぉ――星命吸収(テラ・ドレイン)! 星命吸収(テラ・ドレイン)! 星命吸収(テラ・ドレイン)!」



「――あぁああああっ!! 負けたぁああああッ!!」



 20秒で決着がついた。

 魔法しか使えないタイプが相手なら、魔法反射スキルを使っている間に、相手のMPをゼロにすれば勝てるのは当然だった。



「「「………………」」」



 MPを吸われすぎて床でぴくぴくと痙攣している魔女マリリーン。

 それを、この場にいた全員がぽかんとしたように見下ろす。

 いろいろと説明を求めるような視線が、ローナに集まる中――。


(……な、なんか、最後までよくわからなかったなぁ)


 ローナはあいかわらず、ぽけーっと口を半開きにしていた。

 こうして、海底王国アトランの偽王事件は、誰もよくわかっていないうちに幕を下ろしたのだった。



         ◇



「おおおおっ! 出られたぞぉおおお――っ!!」


 魔女マリリーンを倒したあと。

 ローナの牢にあった謎の宝箱を、魔女マリリーンの持っていた鍵を使って開けると。

 ぼふんっ! と、白煙とともに本物の海王エナリオスが出てきた。


 本来は、兵士に隠れてこそこそと城のギミックを解き、海王の寝室にある金庫を開けて鍵を手に入れる……という手順が必要だとインターネットには書いてあるが。

 とりあえず、開けられたので問題はないだろう。



――――――――――――――――――――

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――――――――――――――――――――

▍キャラクター/【海王エナリオス・ル・リ

 エー】

 ▍概要

 【海底王国アトラン】の王にして、【水竜

 姫ルル・ル・リエー】の父。


 長い年月を生きており、人間たちからは半

 ば神格化されている。


 海底に封印された【原初の水クリスタル・

 イヴ】の監視をになっている。

――――――――――――――――――――



(これだけ見ると、かなりすごい人っぽいけど……)


 と思いつつ、ローナが実物に視線を移すと。


「おぉんッ! ルルぅうう――ッ!! 寂しくなかったかぁあ――っ!! パパだよ~っ! ちゅっちゅ~っ!!」


 本物の海王エナリオスは親バカだった。

 そして――。


「「……パパ、臭い。近寄るな」」


「がーん!?」


 ルル×2は反抗期だった。

 それから、海王エナリオスは娘に抱きつこうとした姿勢のまま固まり、ルルをじっと無言で見つめ――。



「…………いや……なんで娘が2人いるの……?」



(……あっ)


 そういえば、ルルを増殖させたことを忘れていた。

 ひとまず、その辺りの事情も含めて、これまでの経緯を説明する。



「――というわけで、古代遺物(アーティファクト)の暴走によってルルちゃんを召喚して2人に増やしたあと、海底王国アトランで海王様になりかわっていた魔女マリリーンも倒して捕らえて、今にいたるというわけです」



「いや……わしが封印されてる間に、いろいろありすぎではないか?」


 海王エナリオスは、しばらく困惑したようにうなっていたが。


「だが……うむ、わかった。古代遺物(アーティファクト)の暴走ならば、娘が増えたのも仕方あるまい」


 と、拍子抜けするぐらい、あっさり納得してくれた。


「えっと、いいんですか? そんなにあっさり……娘が増えるとか大事件だと思いますが」


古代遺物(アーティファクト)の暴走は天災みたいなものだ。誰のせいでもないし、巻きこまれた娘の身が無事だっただけでも幸運といえよう。そもそも……かわいい娘が2倍になるとか最高ではないか!」


「あ、はい」


「それに――結果として、ローナ殿が来てくれたおかげで、我が国は救われたのだからな」


 と、海王は隣にある牢へと視線を向ける。

 その中にとらわれていたのは――。


「…………ふんっ」


 魔封じの手錠をつけられた水月の魔女マリリーンだった。

 MPもなく魔法も封じられているためか、とくに抵抗することなく大人しくしている。


「しかし、魔女マリリーンか。どこかで聞いた名だが……まさかっ! おぬしは1000年前の巫女か……?」


「くらららっ☆ よく知ってるわね。まさか、昔の生贄の名前を覚えてる人がいるとは思わなかったけれど……あたしのことはなんて伝わってるのかしら? 海王をたぶらかして国を滅ぼしかけた悪しき魔女――といったところかしら?」


「む? いや……そんなことは……」



「くらららら☆ ま、もうどうでもいいわ。あたしも、あなたたちも、どうせみんな――ここで滅びる運命なのだから!」



「「るっ!? おまえ、なにするつもりだ!?」」


「するつもり、ですって? くらららっ☆ だから甘いのよ、あなたたちは。もしかして、あたしを負かせば、それだけでこの国が救われると思った? 残念だったわね。言ったでしょう、あたしの復讐はまだ終わってないと――ッ!!」


 魔女マリリーンがそう言った瞬間――。



 ――ごごごごごごごごごぉおお……ッ!!



 と、海底が激しく震えだした。

 城の壁や天井が悲鳴を上げるようにきしむ。


「わっ」


「「るっ!? なんだ!?」」


 あまりの揺れに立っていることもままならず、水竜族たちが騒ぎだす。


「う、うわぁああっ!?」


「海底火山でも噴火したか!?」


「「るっ、違う……そういう揺れじゃない!」」


 まるで海が恐怖に震えて、悲鳴を上げているような……なにか不吉さを感じさせる異様な揺れだった。


「魔女マリリーン! おぬし、まさかっ!」


 海王エナリオスは顔を青くしながら、魔女マリリーンを睨んだ。


「ええ、そうよ――この海底王国アトランに封印された“原初の水クリスタル・イヴ”。やつの封印に傷をつけておいたの。封印を破壊するところまではできなかったけど……この感じじゃあ、長くはもたないでしょうね!」


「「おまえ、なにが目的だ!?」」


「やつの封印が解けたら……この世界が海に沈むぞ!? やつは七女神が総力を結集して、ようやく封印することができた神話の大怪物――人に制御できるものではない! おぬしも、ただでは済まぬぞ!」


「だから言ったでしょう? これはあたしの復讐よ! 人間も、水竜族も、みんなみんな――海の藻屑になればいいのよ! くらららららら――ッ☆」


「くっ……どうして、このようなことに!」


 海王エナリオスが悔しげに歯噛みをする。


「「……げぼく、どうにかならないか?」」


 ルルが不安そうに瞳を揺らしながら、ローナの服のすそを引っ張ってくるが――。


(ど、どうしよう、ちょっと話についていけてない……“原初の水クリスタル・イヴ”ってなに? そんなに強い敵なのかな?)


 とりあえず、インターネットで調べてみる。



――――――――――――――――――――

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――――――――――――――――――――

▍ボス/【原初の水クリスタル・イヴ】

 ▍出現場所:【海底都市アトラン】

 ▍レベル :160

 ▍弱点  :魔法攻撃(水部分)

       物理攻撃(コア)

 ▍耐性  :物理攻撃(水部分)

       魔法攻撃(コア)

 ▍討伐報酬:【原初の水着~クリスタルの

       夜明け】

       アイテムボックス拡張+50


▍概要

 メインストーリー2部クリア後に解放され

 る高難易度ボス。


 世界が創造されたとき、【七女神】によっ

 て作られた最初の生命体。

 進化・増殖・再生の権能を与えられたこの

 “水”は、この星の7割を海に変えたとされ

 る。

――――――――――――――――――――



(…………うん、これは無理なやつだね)


 レベル160だし、なんか神によって創られたとか書いてあるし……本当に神話に出てくる化け物だった。今まで戦ってきたどんな強敵よりも、圧倒的に格上だ。


 レベル80の終末竜ラグナドレクすら『ザコ』と言い放ったインターネットの神々も、この敵は強いと認めているし……。


(さすがに、これは私の力の範疇を超えてるなぁ……って、ん?)


 そこでふと、とある文章を見つけた。



『まともに戦うと強いが、ハメ技が存在するため倒すのは楽』



(……ん? んん……?)


 無言で目をごしごしとこすって、ふたたび見るが。

 やはり、『ハメ技』『倒すのは楽』と書いてある。

 今までのパターンからして、この感じは――。


(あっ……これ、普通に倒せそうなやつだ……)


 ローナはしばらく、ぽかんとしてから。


(と、とりあえず、よかったぁ……早くこのことを、みんなにも伝えないとね)


 と、ほっとして、みんなのほうをふり返った。


「あ、あのぉ……みなさん、その怪物についてですが――」


「海王様、祠の封印がほころんでいます! このままではっ!」


「むぅ……海が悲鳴を上げておるっ! これでは、いつ封印が決壊してもおかしくないぞっ! 1年後か、1か月後か……あるいは今日、崩壊するかもしれぬっ! 封印を維持するには、海王の血を引く者が生贄になる必要があるが……」


「え? そんなことしなくても、普通に倒せ――」


「「パパ! なら、ルルが生贄になる!」」


「あっ、ちょっ――」


「…………ならぬ。これは王命だ」


「「ど、どうしてっ! パパはこの海に必要な王だ! だけど、ルルは……落ちこぼれの姫でっ!」」


「……よいか、ルル。おぬしはこの海の未来なのだ。立派な海王になれ。願わくば、そなたが立派な王になった姿を見てみたかったが……」


「「……パパっ!」」



「「「――海王様ぁっ!」」」



(あぁぁ……どんどん言いづらい空気に……)


 海王エナリオスとルル×2が抱き合い、その光景に水竜族たちが涙を流す。

 ローナが言いあぐねているうちに、なんか感動的なドラマがくり広げられてしまったが……。



「――――あ、あのぉ」



 ローナがおずおずと挙手をした。

 それで、ようやく水竜族たちが黙って、ローナの言葉を聞く姿勢になってくれたらしい。

 毎度のことながら、言いづらい空気になってしまったが。



「――私が倒しておきましょうか、それ?」



「「「…………へ?」」」


 ローナがそう口にすると、先ほどまでのしんみりした空気が一変。

 呆けたような沈黙が、辺りを支配した。

 先ほどまで高笑いしていた魔女マリリーンですら、ぽかんとしたようにローナを見つめている。


「え、えっと……倒すとは、“原初の水クリスタル・イヴ”をか?」


「はい! なんか、けっこう簡単に倒せるみたいなので」



「「「…………え、えぇぇ……?」」」



 そんなこんなで、ローナは神話の怪物と戦うことになったのだった。






というわけで、7章ラストまでノンストップで更新しました(過去形)

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― 新着の感想 ―
[一言] うぅ、ちょっと外出から戻ってきたら光の速さで更新されてた(^^ 嬉しい悲鳴です
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