捕食
マンズ企画社長のマンダはきたのの会社の幹部であるイツキの事務所に連れていかれました。
イツキ「座れコラ。」
マンダは半泣き状態でその場に座られました。
きたの「マンダ、お前みなみとにしまにだいぶクギ刺されたみたいじゃねぇか。それでこっちには詫び無しか・・・・。のんびり長いこと入院して・・・・・お前寝ぼけてんじゃねぇのか?それにお前の部下は本当に困った時のお前を助けに来ないみたいだな・・・・。お前程度のレベルの会社に居れば、そりゃ、そうか・・・納得だ・・・出来が悪くて当然か、謝罪もまともに出来ないような上司だもんな。」
イツキ「・・・俺達をコケにしやがったなこの野郎。タダじゃ帰さねぇぞ。」
マンダ「そ、そういえば・・・ば・・・バキョウはどうなった?・・・・・」
リュー「・・・・・・・・・」
カン「てめぇ誰が質問して良いと言った。お前とつるんでたって事は他の人間からしっかり聞いてんだ。」
マンダ「・・・・・・・・・・・・」
マンダはこの時、初めてバキョウと会った日の事を思い出しました。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
バキョウの店であるDORAの前を歩いているマンダ・・・・・。今日は金曜日。要はハナキンでした。大きな仕事が決まり、久々に羽を伸ばそうと思っていました。
いつも一緒に飲み歩いている部下と今日は都合が合わず、たまには一人で出かけてみようと思ったのです。
マンダ(いつ見てもDORAは凄い店だな・・・・しかしここはたしか・・・オーラス興業の取引先だったな・・・・。)
この通りを歩く度にいつも「DORA」の前で立ち止まり、羨ましそうに見ていました。
横に停めてあった黒いメルセデスベンツから2名の男が出てきました。
出て来た男はきたのでした。店の見回りに来ていたのでしょうか・・・・。
きたの「・・・これはこれは、マンズ企画のマンダさんじゃないですか。」
マンダ「・・き・・・きたの社長・・・お久しぶり!!あのコーツビルの会合以来かな??」
(なんで今日は居るの?・・・しかし、いつ見ても良い男だなぁ・・・。)
きたの「マンズ企画さんのような、大きな会社の社長さんが、1人で・・・・・・もしかして今日飲まれるお店がまだ決まってないんじゃないですか?・・・」
マンダ「いや・・・そんな事はない・・・・歩いてるだけだよ(笑)」
きたの「・・・おいアカマツ、バキョウに『DORA』の席が開いてないか確認してこい。」
アカマツ「はい、わかりました。」
マンダ「アカマツくん!!いいよそんな事しなくても!!」
きたのの後ろに居た大柄のもう一人の男が、駆け足でDORAに入っていきました。
きたの「席を必ず用意させますんで、外でタバコでも吸って待っときましょうか。」
マンダ「いえいえ!!良いよそんなに気を遣って貰わなくても・・・・」
マンダは断り、その場を去ろうとしました。
ガシッ!・・・・(肩を掴む音。)
きたの「へへっ。そんな急がなくても。まだまだ夜は長い・・・。お代は良いですから、今日はうちで飲んで行って下さいよ。毎日忙しいですもんねぇ。・・・せっかくのプライベートなんだ、しっかり楽しいんで貰わないと・・・・。羽の伸ばし方が下手だと仕事も長続きませんよね。・・・今日はオーラスから新人の娘がキャストに入っていますんで、しっかりと社長の方から指導してやって下さい。」
マンダ「え?・・・・・・・そうかい?(笑)そこまで言われたら行こうかな♪・・・・。」
きたの「・・・・・・・」
アカマツ「・・・社長、準備が出来ました・・・・」
店に入るマンダ、きたの、アカマツの3人。
バキョウ「アカマツ!社長が来られるなら言ってくれよ!・・・すいません社長の席も直ぐ用意しますので・・・・・おい!そこのボックス開けろ!!」
きたの「いや、俺の席はいいんだ。・・・それよりな、こちらマンズ企画の社長のマンダさんだ。」
バキョウ「・・・あっあの人材派遣の会社の?・・・はじめまして。あの私・・・ウィークリー雑誌に載ってるマンダ社長のコラムを読んでますよ。」
きたの「この辺りの人材派遣業最大手の会社の社長さんだ。」
マンダ「いえいえ・・・そんな・・・。コラム読んで貰ってありがとうございます。」
バキョウ「先週の『必要とされる社会』へっていうのを最近読みました。私も経済学や社会学をかじってましてね」
きたの「バキョウ、お前ファンなんだろ??今日は同席させて貰って勉強しなさい。いいですよね?マンダ社長。」
マンダ「ええ、それは良いけど・・・・。ここはオーラス興業が派遣入れてるお店ですよね??私としては・・・居てはいけないような・・・・そんな気がするんですが・・・・」
きたのの目つきが変わりました。
きたの「そんな事何の関係ありますか??元々日本は資本主義で競争社会なんだ。オーラスの担当のみなみっていうのがいますが、きっといつか競争相手が参入してくる事なんて百も承知ですよ。ちなみにシェアを100%取ってるならまだしも、オーラスがキャスト全体のたった過半数占めてるだけですよ。全体の66%くらいでしょうか・・・。」
マンダ「まぁ・・・・・そうだけど・・・・」
きたの「誰から商品を買うか?サービスを買うか?・・・そんな事はお客さんが決める事でしょう?そう思いませんか?・・・バキョウは店長なんだし、お前が社長と話をして、決めても良いんだぞ。それで俺が文句を言うとでも思ってんのか??」
バキョウ「はっ・・・はい!ありがとうございます!!」
きたの「アカマツ、今日はバキョウの代わりにここに居てくれ。・・・・・バキョウはマンダ社長と話があるから。」
アカマツ「承知しました。」
きたの「それではごゆっくり・・・・・。」
更に一言、部下のアカマツに付け加えて、きたのは店を後にしました。
アカマツ「・・・わ・・・わかりました・・・。良いんですか?そんな権限使って・・・・」
きたの「俺が良いって言ってんだろ。お前は今日ここを仕切れ。分かったな」
きたのはバキョウが裏切る事がもう随分前に、わかっていたのです。敢えてオーラス興業のライバル会社であるマンズ企画を近づかせて、下剋上を目指すバキョウを焚きつける作戦でした。
怪しい動きをしていたのは分かっていたものの、尻尾を掴めなかった男・・・・バキョウにニンジンを与え、完全に出し抜きました。
雑誌であるウィークリー大三言も、マンダの部下を当日外させたのも、きたのときたのの部下の仕業でした。
これらの行動で、バキョウの動きを掴みました。
包囲網は完成しました。
マンダ「・・・・よく考えたらてめぇ!!・・・はかりやがったな!!!・・・・・」
きたのは・・・ドスを持ってきました。
マンダ「・・・・ひっ!!・・・・」
きたの「お前、工場持ってたな??」
マンダ「・・・・・・・・・・・・」
きたの「明日から10人程、うちの人間をそこで働かせる。」
マンダ「・・・・は?・・・・・」
きたの「働き者だからな、うちの社員は。日当10000円で月30日。・・・・1人30万か。」
マンダ「何を言ってんだか・・・・・。」
きたの「30万×10人×12か月・・・・年間3600万か・・・・。まぁいいだろう、俺も鬼じゃねぇんだ・・・・。」
マンダ「まさかそれって・・・・・・」
イツキ「当たり前だろ!働いてるテイだよ!!働いてるテイ!!」
リュー「社長。」
きたの「なんだ?」
リュー「こんな写真を見つけました。」
リューはみなみからマンダの不倫現場写真を受け取っていました。タイミングを見て、きたのに渡すようにみなみに言われていました。
きたの「・・・・・なんなんだこの小汚い写真は?・・・・」
マンダ「もしかしてそれは・・・・・・」
きたの「これ・・・うちの店の・・・俺の彼女じゃねぇか!!!」
ガタン!!!!
きたのは机を思い切り蹴り上げ、横に置いてあったドスを構えました。
きたの「おい・・・・よくも俺の女に手を出しやがったな・・・・。」
リュー「3600万で足りますか?安すぎませんか?議員の奥さんにこの事伝えに行ってきます」(社長の彼女なわけない・・・・。)
きたの「いや足らん!!!倍だ!!7200万だ!!」
マンダ「馬鹿言え!!そんなもん払えるわけないだろう?!」
リュー「金の心配より、奥さんにバレてもいいの?奥さんのおかげで派遣入れてんだろ?」
イツキとカンがマンダを抑えつけ、マンダの腕をテーブルの上に乗せました。
カン「じっとしろこの野郎!!!」
マンダ「・・・やめてくれぇ!!!俺が悪かった!!!・・・・バキョウと組んだ俺が悪かった!!!!許してくれきたのさん!!!!!」
マンダは鼻水を流して泣いていました。
結局きたのの会社からこれから毎日、未来永劫10人前後の派遣社員をマンダの工場に送る事になりました。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
働くわけがありません。
リュー「おいマンダ、良かったな指が無くならなくて。ありがたく思えよ。」
マンダ「・・・く・・・そぉ・・・・・みなみぃ・・にしまぁ・・・・・ゆるさん・・・・・」
きたの「・・・おいリュー!!!お前何甘いこと言ってんだ!!だから周りから温い仕事してるとか言われんだよ!!」
リュー「・・・はい?・・・・」
きたの「指じゃねぇだろ・・・・首だろ!!」
リュー「あ・・・・はい・・・・」
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