表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/34

第24章 「無敵!友情の合体攻撃!」

 両腕を失い、もはや満身創痍の牛頭鬼ミノタウロス。

 しかし、こいつが堺県第2支局の管轄地域に住む一般市民に働いた仕打ちを考えたら、まだまだ苦しみが足りないよ。

「ほら!レーザーウィップのスーパーパワーを、たっぷりとお見舞いしてあげるからね!遠慮はいらないよ!」

 どうやら京花ちゃんも、私と同じ意見みたいだね。

 普段と変わらない明朗快活な表情と楽しげな口調だけに、かえって鬼気迫る雰囲気が漂っているよ。

「うっ、ぐう…」

 再び京花ちゃんがスイッチを押すと、レーザーウィップが釣糸のようにグングンと巻き取られていったんだ。

 それに伴い、牛頭鬼ミノタウロスの身体も、京花ちゃんの方へとズルズルと引き寄せられていくね。

 どうやらレーザーウィップは伸縮自在で、巻き取る事も出来ちゃうみたい。

 この機能を上手に応用すれば、高い所から落っこちている人を救助する時や、急に足場が崩れた時にも役立つよ!

「この蹴りは、貴方のせいで命を落とした、忠岡巡査長の分だからね!」

 手の届く距離まで引き寄せた牛頭鬼ミノタウロスに、静かに怒りの声を投げつけた京花ちゃんは、その背中に強かに蹴りを入れたの。

「とうっ!」

 そして、反動を利用して大空に舞い上がったんだ。

 それにしても京花ちゃんったら、随分高く飛翔した物だよね。

 コンビナートの建物同士を外側から繋ぐメンテナンス用の連絡通路なんか、楽々追い越しちゃったもん。

「はあああっ!」

 と思ったら、背面跳びの要領で連絡通路を跳び越えたね。

 工業地帯の夜空にかかる満月を背景にして、しなやかに背を反らして飛翔する京花ちゃんのフォームは、同性の私が見ても目を見張る美しさだったよ。

 そう言えば京花ちゃんは、背面跳びの要領で跳び越える時に、鉄骨トラス材で出来た連絡通路にレーザーウィップを巻き付けていたっけ。

 きっと京花ちゃんには、何らかの目的があるみたいだね。

「むっ…!」

 音もなく着地した京花ちゃんは、立ち上がりながらグリップ部分のスイッチを押して、レーザーウィップの巻き取りを始めたんだ。

「クソッ…放せ!」

 両腕を失って満身創痍の牛頭鬼ミノタウロスが、踏ん張りも効かずにズルズルと地面を引きずられている。

 首に巻き付いたレーザーウィップを(ほど)きたくても、(ほど)くための両腕がもう根元からないから、されるがままだね。

 いい気味だよ。

 あれ…?

 確かレーザーウィップは、鉄骨トラス製の連絡通路に巻き付けてあったよね。

 じゃあ、このままだと…

「ウグッ…ガッ!」

 うん、思った通りだよ。

 牛頭鬼ミノタウロスの奴ったら、首吊りの状態でぶら下がって、空中でもがき苦しんでいるね。

 即席の絞首ロープとして使うとは、京花ちゃんもなかなかに容赦がないね。

「今だよ、3人とも!止めは友情の集中攻撃だ!」

「よし来た、お京!」

 京花ちゃんの声に力強く頷いたマリナちゃんが、用済みになった麻酔弾のマガジンを引き抜いた。

 代わりに大型拳銃へ装填したのは、ダムダム弾で満たされた弾倉だ。

 さっきの公約を律儀に遵守するんだね、マリナちゃんったら。

「分かりました、京花さん!」

 気品のある凛とした表情で応じた英里奈ちゃんが、構えたレーザーランスを空中の牛頭鬼ミノタウロスに向ける。

 銅金の部分に設けられたスイッチを作動させると、中央のメイン・エネルギーエッジが発光し、その周囲を取り囲む3本のサブ・エネルギーエッジが、口を開けるように大きく展開する。

 これこそ、レーザーランスに搭載された射撃武装である破壊光線砲だよ。

 もしも「レーザーランスは槍だから、近接戦しか出来ない。」なんて考えているのなら、それは致命的な誤解だからね。

「はっ!承知致しました、枚方京花少佐!」

 役目を終えた自動拳銃を、遊撃服の内ポケットにぶち込んだ私は、嬉々としてレーザーライフルを起動させたんだ。

 待っていて本当に良かったよ。

「私のダムダム弾、存分に味わうといいよ!」

「破壊光線砲、照射!」

「レーザーライフル、高出力モード!」

 大型拳銃にレーザーランス、そしてレーザーライフル。

 3種の個人兵装から放たれた必殺技は、私達3人の気迫と闘志を乗せて、空中に拘束された牛頭鬼ミノタウロスの身体に突っ込んでいった。

「グハッ…!カッ…」

 高出力モードで発射されたレーザー光線に胸板の傷を貫通され、白眼を剥いた牛頭鬼ミノタウロスが全身を痙攣させる。

「グアッ…!ギャアッ…!アアッ…」

 続いて大型拳銃から放たれたダムダム弾が、牛頭鬼ミノタウロスの全身に全弾命中し、着弾点の体組織を徹底的に破壊していく。

「アッ…アアッ…!」

 そして、レーザーランスから放射された目映い白色の破壊光線が、牛頭鬼ミノタウロスの全身を飲み込んでいった。

 破壊光線で全身をくまなく焼かれた牛頭鬼ミノタウロスは、消し炭のようになって、力なくぶら下がっている。

 既に生命活動を停止しているのは確実だね。

 しかし、この手のサイボーグ怪人は常識外れの生命力を持っているからね。

 念入りに止めを刺しておかないと…

「サンダーウィップ!」

 その止めの一撃を決めたのは京花ちゃんだったね。

 またしてもグリップ部分のスイッチを切り替えたのか、リボン状に展開されたレーザーウィップからは、強力な高圧電流が放出されているよ。

 サンダーウィップで高圧電流を流された牛頭鬼ミノタウロスの身体は、しばらくの間はピクピクと痙攣していたんだ。

 けれど、それも長くは続かなかったね。

 完全に炭化した体組織に限界が来てしまったのか、レーザーウィップの巻き付いた首がボロボロと崩れ始めたの。

 そして時を置かずして、牛頭鬼ミノタウロスの焼死体は、頭部と胴体部に分断され、アスファルトの路面に叩き付けられたんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >首吊りの状態でぶら下がって、空中でもがき苦しんでいるね。 必殺しごt(ォィ イェイ!! 完全決着!! ここは勝利のポーズ……決めッですな!!(ォィ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ