表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

81/149

第八十話

 

 近場に敷地の広い公園を見つけたので、そこに入っていく。


 そして公園内の道を歩いていくと、早速木陰のあるベンチを見つけたので、そこに座ることにした。


「ん~」


 袋を横に置くと、俺は大きく伸びをして体をほぐす。


 歩いて体はある程度ほぐれているが、昔はよく肩が凝っていたので、つい癖で伸びをしてしまった。


(とりあえず、食べるか)


 少し歩いたからか、落ち着いたからか分からないが、結構食欲が湧いてきている。


 俺は袋の中からおにぎりを取り出し、手順通りに包装を剥すと、一口。


(うま)


 暑さもありほどよく汗をかいていたので、塩気の効いた白米が旨い。


 食べ進めていくと淡いオレンジ色の具が姿を現す。


(鮭も、うま)


 脂がのっていて、これも旨い。


 ちなみに、この鮭は青鮭(あおじゃけ)と言って、ダンジョンに生息する鮭のモンスターと白鮭を交配した末にできた種…だった筈だ。


「風が気持ちいいな」


 今日は湿度が低くカラッとした暑さなので、日陰に入ると涼しい。


 時折吹く風も生暖かい感じがなく、心地よかった。


(次はワイバーン焼きを食べるか)


 これはサイコロ状に切ったワイバーンの肉を一本の串で刺して焼いたもので、他のホットスナックよりも少し値が張るものの、この味にハマった人間は必ず一本は買うと言われているぐらいに美味しいとされる。


(前はワイバーンの味にハマっていなかったので分からなかったが、俺も買ってしまっているから本当なんだろうな)


 このワイバーン焼きに使われている肉の部位は、ステーキに使われる部位よりもいくらか硬く、普通であれば食べにくいが、ゆっくりと火を通して調理しているので、肉の柔らかさは比較的柔らかく仕上がっており、旨味もしっかりと残っている。


(うめぇ)


 一口食べると肉汁が口の中で溢れ、旨味が口いっぱいに広がる。


 肉も気になる様な硬さではないというか、むしろ少し歯ごたえがあっていいぐらいだ。


(ダンジョン帰りにも買おう)


 家にはワイバーンの肉が必ずあるので、ワイバーン焼きは買っていなかったが、これだけうまいのであればコンビニに寄った際に毎回買ってもいいぐらいだ。


 前は値が張っていたので敬遠気味であったが、今であればこういった物も躊躇なく買うことができる。


(子供も元気だな)


 コンビニで買った食べ物に舌鼓を打ちながら、先にある原っぱの方を見ると、子供たちが走り回って遊んでいた。


 原っぱでは各々が思い思いに遊んでいる。


 中には家族でピクニックをしていたり、ボール遊びをしていたり、はたまた犬と一緒に遊んでいる人もいた。


(ここはたぶん、申請が要らないんだな)


 現代の公園は事前に申請して場所を確保しないと遊べないようになっていることが多い。


 ただ、申請をしなければならないのは、そこまで規模が大きくない公園であることが多いので、ここみたいな大きめの公園であれば、話は別なのだろう。


(もう終わりか)


 あっという間にワイバーン焼きやおにぎりを食べきってしまい、残すはプロテインドリンクのみとなる。


 俺はパックにストローを刺し、いつものように飲み始める。


(いつもの味だ)


 ワイバーンの肉やおにぎりよりも、最近はプロテインを飲む回数の方が多い。


 トレーニング後は必ず飲むし、おやつ替わりだったり、小腹が空いたときに飲んだりする。


 俺はパックを握り潰しながらプロテインを飲み干すと、空っぽのそれをビニール袋に入れる。


(これで完全に終わったな)


 いつもと違う食事の風景に名残惜しさを感じる。


 ダンジョン内で食事を取るのとはわけが違う、ゆったりとした時間を感じながらの食事は心に安らぎを与えた。


(少しのんびりして帰るか)


 俺はしばしの間、のどかな風景を眺めながら、ボーっとするのであった。




読んでいただき、ありがとうございます。

日間ジャンル別ランキング7位、そして総合評価が53000ptに到達いたしました!

皆様の応援のおかげです。

ありがとうございます!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ