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第六話

 


 あれから一週間ほど時が流れた。


 毎日3、4セットほど魔力放出による鍛錬を行い、MPの最大値は大体15%程度伸びた。


 魔力放出による魔力の最大値の上昇はそこまで大きくないが、この最大値の上昇分、レベルが上がった時に魔力が上がりやすくなる。


 インストールされた知識によると、レベルアップは魂の器の拡張らしく、この器の拡張に合わせてあらゆる能力が伸びるらしい。


 そのため、あと1、2週間ほど(魔力放出によるMP最大値の上昇は30%程度)でこの鍛錬を終え、ダンジョンに潜ってレベルアップを行う予定だ。


 この鍛錬は筋トレやランニングなどと同じように本来持っているポテンシャルを上げるトレーニングに過ぎない。そのため、MPの上昇幅にも限界が存在しており、それが概ね30%程度なのだ。


 そこまで行けば、俺は晴れて探索者としてダンジョンに潜れるだろう。


(だが、その前に装備を整えなくちゃいけないんだよな)


 ダンジョンは非常に危険な場所である。


 昔からある秘境などとは比べ物にならないレベルで危険なのだ。


 秘境にも野生動物などはいるかもしれないが、その比ではないほどに危険なモンスターがダンジョン内には徘徊している。ダンジョン内は浅い場所であっても、モンスターが襲ってくるのが常だ。


 それも相手はこちらを殺す気で、つまりは殺意を持って襲ってくる。


 俺も初めてダンジョンに潜った時のことはよく覚えていた。


(あのギラついた瞳)


 ヤンキーが睨みつけてくるのとは比にならない恐ろしさがあった。


 何せ相手はこちらを殺しに来ているので、喧嘩でぶっ飛ばしてやろうなんて気持ちで来るのとはわけが違うのだ。


 喧嘩だの取っ組み合いだのとは、はなからレベルが違う。


 そんな危険なモンスターが普通に徘徊するため、こちらも入念に準備をしなければならない。


「早速行動しなくちゃな」


 事前にできる準備の中でも最も簡単にかつ重要な準備、それが装備を調えることだ。


 武器・防具を揃えることで生存率を上げることができる。


 あとは戦闘訓練を行うこともできるが、これは魔術があるのでそこまで入念にする必要もないと思う。


 だが、装備を整えることは絶対にしなくてはならない。


 それを疎かにするのはダンジョンに死にに行くのと同義だ。


(とりあえず、近場の探索者用の装備を扱っている店に行くか)


 ここらで探索者用の武器や防具を撃っている店と言えば、この前スキルオーブを買った店ぐらいか。


 遠くに行けば、探索者用の様々な品を扱った店にも行けるが、現状予算を考えた場合、近場の店で充分である。


 装備は大事だが、予算は限られているのだ。


 俺は外に出るための準備さっさと終え、前にいった店へと足を運ぶのであった。



 ♦♦♦



 時刻は午後2時、平日であったことも幸いしてか、店内にあまり客はおらず、スムーズに見て回れる。


(こういった装備はそこまで高くないんだよな)


 初心者用の合成素材でできたジャージ、これはダンジョン産の素材と地球にあった素材を掛け合わせて作り上げたもので、一着上下で十万円程度()()()()()()()


 10万円という金額を聞くと、そんな高い服を買うなんてあり得ない!なんていう人もいるだろうが、このジャージは普通の服と比べたら凄まじい値段であるものの、その分性能は値段以上のものを誇っている。


 事前に調べた情報によると強度実験では銃弾すら弾き、ナイフで刺しても切っても服に穴はできなかったらしい。


 そのため低層にいるモンスターの牙では穴を空けることは難しい上に、ある程度衝撃を吸収する機能もあるので、突進などをされても骨は折れない。


 多少打撲にはなるかもしれないが、その程度で済むのであれば万々歳である。


 つまり危険な冒険であるダンジョン探索にもってこいの服であり、探索者協会のホームページによるとレベル30程度まで防具として安心して使うことができると書いてあるので、そこそこ長い間使うことができる。


 ダンジョン初心者である俺にとっては必須の装備であると言っても過言ではないほどのものなのだ。


 (とりあえずこのジャージと、あとは武器を見繕っておきたい)


 俺は店内を回りながら、日本刀型のブレードを探していた。


 中学校の頃に剣道部に仮入部した(その後直ぐに辞めた)のと、入社後のレベル上げの前にしごかれた時、剣術を叩き込まれたこともあって、使うとしたら日本刀タイプの武器にすると決めていた。


(武器はそこそこするんだよな)


 比較的安価な刀を手に取ってみる。


 この刀も合金製の刀で、軽量化、衝撃耐性、刃こぼれ防止、など様々な細工が施されている武器なのであるが、値段はジャージに比べていい値段がした。


 価格は30万とそれなりの値段が書かれてあり、買うかどうか悩んでいたが、よく見ればこの刀の表面にはミスリルが薄くコーティングされており、切れ味を維持する効果があることが分かった。


(これは買いだな)


 ミスリルがコーティングしているのであれば、この値段も頷ける。


 俺はこの二つを買うことに決めるとレジにあるタブレット端末に商品を入力し、そのまま決済を済ませる。


(おお、とうとう買ってしまったな)


 スキルオーブと合わせて七十万、高い買い物である


 俺は高い買い物をした興奮と、本当にこの装備で良かったのかという僅かな後悔を胸に抱きながら店を出る。


(だが、これで準備は整った)


 あとはMPを上げ切ってしまえば、ダンジョン探索に望めるだろう。


 そうなれば晴れて俺も探索者だ。


 俺は既に探索者になったような気持ちで自宅のマンションへと戻るのであった。





読んでいただき、ありがとうございます。

日間ジャンル別で8位になることができました。


改めてお礼申し上げます。


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