第四十六話
のんびりと緑茶を飲みながら、まったりとした時間を過ごしていた俺は、この三日間の疲れをいやすために、ひたすらボーっとし続けていた。
リフレッシュは好きなことをするのもいいが、目的もなくただただ時間を過ごすというのも悪くはないと、俺は思っている
(だが、流石に飽きてくるな)
ずっとこうしているのも、面白みには欠ける。
(よくよく考えてみれば、こうした時間の使い方はもうやったからな)
俺は暇を紛らわすためにテレビをつけてみると、いつも通り様々な番組がやっている。
バラエティ、ニュース、スポーツなど、常にいろいろな層の人間がテレビに興味を引かれるように工夫された番組の数々が放送されていた。
(珍しく映画がやってるじゃないか)
いや、待てよ、ドラマだったかもしれない。
俺はドラマか映画かを思い出すために、作品の内容を思い出そうと頭を捻る。
(確か、内容は・・・)
ある日、主人公は父親の形見である武器を片手に平凡な探索者をやっていたが、突然現れた父の知り合いだという謎の美少女と共に、超巨大ダンジョンの深層を目指しながら、未だに解明されていないダンジョンの謎を解明していく物語だったはずだ。
(そうそう、思い出した)
元々はドラマだったのだが、かなりの人気を出したから映画の作成が決まったんだ。
当時は若い探索者が増えていたこともあって、ドラマ、映画共になかなかの反響があったと思う。
(俺は見たことはないんだが)
ドラマがやっていた時も、この映画が公開された時も当然のことながら忙しく、見る暇なんてなかった。
時間をうまく使えば見れないこともなかったのかもしれないが、当時の俺にそんな精神的余裕はない。
(折角だから見てみるか)
俺は台所から取り出した菓子を食べながら、再放送されているドラマを見る。
(はたして、俺にとっても面白いのか、楽しみだな)
俺は初めて見るこの作品にワクワクと期待を寄せながら、テレビ画面を眺めるのだった。
♦♦♦
(久々ドラマもいいものだな)
ストーリーの流れも良かったが、特にバトルシーンの臨場感はかなりのものだった。
スマホを見たりして、この作品の情報を調べてみたのだが、この作品の監修には元Aランク探索者であり、タレントの藤田宏美が協力したそうだ。
そりゃあ、臨場感のある作品にもなるだろう。
(ヴァルはどうしていたんだろうか?)
俺はだらだらしたり、ドラマを見たりとしていたが、彼女がどうしていたのかは分からない。
彼女のいる方を見てみると、彼女もテレビの方をじっと見ていた。
「ヴァルとしてはこのドラマは面白かったか?」
コクリと頷く、ヴァル。
「そうか、じゃあこっちに来て、見よう。まだ続きもあるし」
俺がそう言うと、トコトコと近づいてきて、隣に座るヴァル。
俺は長閑な雰囲気を楽しみながら、彼女と一緒にドラマを見るのであった。
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