第四十一話
無事弓使いのミノタウロスを倒せたわけだが。
(デカい)
ミノタウロス自体がすごくデカいのだが、このミノタウロスは一回り程デカい気がする。
モンスターによってはレベルが上昇すればするほど身体が巨大化することもあるから、このミノタウロスもそうなのかもしれない。
(魔核もデカいな)
魔核はサイズが大きくなればなるほど、価格が跳ね上がっていく。
魔核を使った武器や防具なども存在しており、それらは魔導具と呼ばれている。
魔導具を作るにはある程度大きなサイズの魔核が必須になってくるので、その基準を満たした魔核はかなりの高値で取引されていた。
(このサイズでは無理だけどな)
そこそこ大きい魔導具を作るには不十分だ。
元いた会社でも富裕層向けに魔導具の作成を行っていたが、もっと大きなサイズの魔核を使っていた。
(魔導具用の魔核は値段が滅茶苦茶高いんだよな)
一個百万とか普通にするしな。
EランクやDランクの探索者はそこまで儲けられないが、CランクやBランク程度になるとその儲けている額は桁が変わってくる。
それも探索者になる魅力の一つだ。
上のランクになれば億万長者というのも夢ではない。
(そこまでに至るまでが大変だけどな)
命をかけてモンスターを狩って、レベルを上げながら、日々の生活費を稼ぐ必要がある。
今は機械に多くの仕事を任せているから、バイトもあまりないし、低位の探索者は本当に大変なのだ。
(だから、俺のように退職して探索者になるものも一定以上存在している)
ある程度働いて金を貯めてから探索者になった方が上に行きやすいので、そういった道を選択している者もいる。
資金があれば、スキルオーブや装備に金を回せるので、レベルが多少低くてもそうそう死ぬことはない。
年齢を重ねているので、若い頃に比べれば冷静さも持っているし、引き際を見誤らない。
四十から探索者を始めてAランクになった探索者がテレビで取材されていたのを見たことがある。
それはかなり成功したケースだが、かなりの人数が生活費を稼ぎながら、老後の資金を貯められる程度には金を稼いでいる。
(まあ、俺はかなり運が良かったんだろうな)
魔術みたいな便利なスキルも手に入ったし、ヴァルという最強の相棒もいる。
「これは金になるな」
ミノタウロスの角に魔核、共にサイズも一回りは大きいから倍くらいにはなるだろうか?
ならないか。
(これは旨味がなかったな)
普通のミノタウロスより遥かに強くてこれか。
そりゃあ、好んで狩らないのも頷ける。
俺たちですら苦戦しているモンスターに、普通のスキルを持っているだけの探索者が挑むのは骨が折れるだろう。
というか、死人が出るのではなかろうか。
下手すれば全滅もあり得る。
(だが、これで楽ができるぞ)
第十層にチェックポイントがある。
次からはヴァルと二人で探索するか、俺一人で探索する際には一瞬で第十層に飛ぶことができる。
「さっさとセーフティゾーンへ向かおう」
俺はそう告げると、ヴァルと共に第十層の奥へと進んでいくのであった。
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