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第三十八話

総合評価が30000ptを超えました!

 


(ふう、意外とミノタウロスとは出会うんだな)


 第十層の探索を始めてかれこれ三十分以上、これまでよりも入り組んでおり探索は大変な上、既にミノタウロスと出会うのは三度目である。


 物凄い目つきで俺を睨んでくるミノタウロスに、俺はジッと視線を合わせた。


 ミノタウロスは睨みつけるようにして俺のことを見下ろしていたが、途端に顔を崩した。


「ブモッ」


 ミノタウロスが俺のことを鼻で笑った。


 小馬鹿にしたような目つきで俺のことを見ており、完全に俺のことを見下していることが分かる。


 俺の前に出ているのは自動人形のヴァル、彼女に守られている情けない男と見たのだろう。


(ふむ、癪に障るな)


 ミノタウロスという、()()()()強いモンスターと既に二度も戦っていたからか、興奮していたのだろう。


 俺は特にためらうことなく指先をミノタウロスに向ける。


『極光』


 ヴァルに放った時よりも細い光の線がミノタウロスの眉間を貫いた。


 避ける間も与えない完璧な攻撃である。


 派手な音を立てて地面に倒れ込んだミノタウロス、完全にこと切れており、即死であった。


(やっちまった)


 先制で極光を撃ってしまえば簡単に殺せるんだが、極光はMP消費が大きいし、魔法にも類似しているものを知らない。


 何か珍しいスキル程度の認識で済むのならいいのだが、スキルを他人に知られる可能性を作るのはあまり好ましくはないのだ。


 それがミノタウロス程度のモンスターであれば、尚更のことである。


(ほとんど他の探索者には出会わないけどな)


 ダンジョン内のルートが複数あるのと、探索者自身が他の探索者と出会うのを避けていることもあり、探索者同士で出会うことはあまりない。


(それでも絶対というわけではないからな)


 探索者が故意に接触を図ってくるのは、物資が枯渇して救援を要請していたり、どうしても情報を欲している時など、他には接触した探索者を殺すことが目的の時ぐらいなものであるが、結局ゼロではない。


 接触を図ってくること自体は全くないわけでもないのだ。


 殺すことが目的とはだいぶ物騒だが、ダンジョン内では死体はダンジョンに吸収されてしまう為、完全犯罪が成立してしまう。


かつてはダンジョン内での同業者はモンスターの次に警戒すべき存在だった。


(ブレスレット型の登録証のおかげで、ほとんどそんなことは起きないようになったが)


 武器の携帯時に装着することが義務付けられているブレスレット型の登録証であるが、これは周囲にあったブレスレット型の登録証を記録する機能も付いており、その時間すらも記録される。


 もしもダンジョン内で死亡者が出た場合、その記録から周囲に他の探索者がいるのかを調べ、いた場合は警察が二十四時間以内にその人物の捜査を開始する。


 ちなみに近年におけるダンジョン内での殺人は数件のみで、ほとんど起きていない。


(だからと言って、近づいてくる者がいないわけではない)


 おこぼれを狙っている探索者がこちらを見ている可能性があり、正直油断はできない。


考えすぎかもしれないが、考えすぎなぐらいがちょうどいい。


今はそんな世の中だ。


(既にスキルについてバレてはいるんだと思うが、変に癖がついても困るしな)


 普段からスキルを気にせず使っていれば、いつか痛い目を見るだろう。


スキルは大事な個人情報だ。

 

 むやみに見せびらかすものではない。


 俺は自身を戒め、再び探索を続けようとしのだが・・・。


(ヤバい)


 強烈な悪寒が走り、俺は咄嗟に魔術で土の壁を作った。


 ドス。


 何かが土壁に突き刺さったのが分かる。


 モンスターの登場を察知したヴァルが俺を庇うようにして前に出た。


 ドスンドスンと音を立てながら、一匹のモンスターが現れる。


(弓持ちのミノタウロス・・・)


 十数メートル先には、背に弓を掛けた牛頭の大男が鋭い目でこちらを睨みつけていた。







読んでいただき、ありがとうございます。

本日、ジャンル別ランキングの日間、週間、月間のそれぞれにおいて、1位になることができました。(2021年04月01日16時07分時点)

前書きにも書きましたが、総合評価も30000ptを超え、とても嬉しかったです。

この作品が多くの読者に支えていただいた結果、このような記録を取ることができたと思っています。

本当にありがとうございます!

これからも投稿を続けていきますので、この作品をよろしくお願いします。

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