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第二十三話

 


 あれから【自動人形】を次々と倒しながら、俺は東京第二ダンジョンの第三層まで足を運んでいた。


(特に問題はないな)


 今、俺は自動人形と刀を使った戦闘を行っている。


 これまでは魔法に類似した魔術をいくつか使いながら倒してきたのだが、毎回一撃で倒すことができるので、MP消費のない刀での戦闘に切り替えたのだ。


 俺が大振りで刀を振るっても、自動人形は攻撃を防いでこようとはするものの、躱すという行動にはでてこない。


 そのため、力を込めて腕ごと首を斬り落とすようにすれば、簡単に倒すことができるのである。


 今回の戦闘も自動人形の頭を落として、無事終了した。


(相変わらず死体はダンジョンに吸収されるのか)


 直ぐになくなる自動人形の死体?を眺めながら、ほうっと息を吐く。


 これで大体三十体目の自動人形だ。


 探索を開始して二時間、およそ四分に一回のペースで出会っていることになる。


(これはレベル上げにはもってこいのダンジョンだな)


 敵の強さを見誤らなければこれほどレベル上げに適したダンジョンもないだろう。


 俺は軽く体を伸ばして、筋肉をほぐすと更に奥へと進んでいく。


 すると、そこに今までとは少し違う自動人形を発見した。


(黒い自動人形?)


 今まで出会って来た自動人形は皆灰色をしていたが、新しく見つけた自動人形の色は黒であった。


 他に違った点として、今まで戦ってきた自動人形よりも身長が少し高いように見え、体つきも女性に寄せたフォルムをしている。


 更に本来は自動人形にない筈の目が存在しており、紅く光る瞳がこちら捉えている。


(ユニーク、もしくはレアか)


 モンスターにも稀に見ることができる【レア】や唯一無二の存在とされる【ユニーク】がいる。


 Aランクの探索者には上位モンスターであるドラゴンのレア固体を使役している者もいるらしい。


(まあ何にせよ。運がいいな)


 レアにしろ、ユニークにしろ、運がいいだって素材が高く売れ・・・あ。


(ここってモンスターの素材が手に入らないじゃん)


 そう、ここは東京第二ダンジョン、モンスターの死体が一瞬で吸収される珍しいダンジョンだ。


(じゃあ意味がないな・・・どうしたものか)


 俺が呑気に考え込んでいると、黒い自動人形が近づいてくる。


(なんか、嫌な予感がするな)


 東雲さんがクビナガトカゲを蹂躙した時を想起させる嫌な感覚が背中を抜けていく。


(これは本気でやらないといけない感じか)


 気付けば距離も五メートルほどしかない。


 まだ安全のはずだ。


 そう思ったのも束の間、ダンッという音とともに自動人形がこちらに迫ってくるのを認識した瞬間、そんな甘い考えを百八十度回転させ、直ぐに防御魔術を使った。


 ドスンと重たい衝撃が魔力で練り上げた壁越しに伝わる。


(あっぶね)


 俺と黒い自動人形の距離が一瞬で縮まったのだ。


 五メートルもあった距離が一瞬でゼロになり、自動人形の腕が鞭のようにしなって襲い掛かって来たのである。


 俺は辛うじて間に合った防御魔術によって攻撃を防いだが、かなりの衝撃が魔術で形成した壁越しに伝わってきている。


(結界魔術を張って、移動魔術で距離を取ってっと)


 普段から手の内を明かすことはしないが、このような状況になってしまえば話は別である。


 このようなレベルの敵に出し惜しみはできない。


 明らかにこのモンスターは強敵、それも銅鳥なんて歯牙にもかけないような強さをしたモンスターだ。


(こんなモノに出くわすとはついてないな)


 俺は結界越しに黒い自動人形を見据えた。


 俺の頭の中はこのモンスターをどうやって倒すのかということだけを考えている。


「・・・・・」


 黒い自動人形の瞳は不気味な紅い光を放っていた。






読んでいただき、ありがとうございます。

総合評価も19000ptを目前に控え、20000ptに近づいてきました。

この作品の投稿を始めて、そろそろ二週間が経過しようとしていましたが、作者としてもここまでのポイントになるとは思っておらず、感謝の念に堪えません。

これからも作品の投稿を続けていくので、どうかこの作品をよろしくお願いします。

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