第二十一話
電車の旅(旅と言えるのか怪しいが)を終えた俺は、東京第二ダンジョン前駅に到着した。
(人でごった返してるな)
東京第二ダンジョン前駅を降りた先には多くの人でにぎわっており、それら探索者だけでなく普通の一般人も含まれる。
(東京第二ダンジョンの周りには富裕層が多く住んでるって聞いたが)
周りを歩く一般市民の多くは気品のある人が多い気がする。
身に着けているものやたまに聞こえてくる話声から分かる言葉遣いなどもいつも見聞きするものとはいささか違う感じがした。
「おじちゃん、探索者なの?」
ぼーっと辺りを見ながら立っていると、後ろから声を掛けられる。
俺が後ろ振り向くと、そこにはまだ幼い少年がこちらを見上げていた。
「ああ、そうだよ」
「すごーい!モンスターとかをズバッて倒しちゃうんでしょ!」
少年が目をキラキラさせながら、興奮気味に話しかけてくる。
俺はできる限り怯えさせないように昔身に着けた営業スマイルを思い出してニッコリと笑みを作ると、少年の言葉にうんと頷く。
「そうだよ、おじさんはモンスターをズバッと倒しちゃうんだ」
「こら!?知らない人に声をかけたらダメって言ってるでしょ!」
突然、怒鳴り声を上げながら母親らしき女性がこちらに走ってくる。
「あっママ!」
「マー君、知らない人に話しかけたらダメっていつも言ってるでしょ」
母親らしき女性は少年を注意した後、こちらに目を向けると少年を連れて足早に去っていく。
(完全に見下した視線だったな)
探索者と言うものはある程度のランクまで上がらないと、周りからはいい視線を貰うことはない。
俺の装備は低ランクの探索者そのもので、間違っても高ランクの探索者と同じには見られない。
特に上流階級の人なんかはCランク以下の探索者はアウトローな方々と同じ認識らしく、こういったこちらを見下したような対応をしばしばされてしまうらしい、というかされた。
Bランクになれば高ランクの探索者として認識されるので、周りの視線も良くなるし、Aランク探索者ともなれば金は持っているし社会的地位も高いので、弁護士なんかとも引けを取らない見られ方をする。
Aランクになること自体が非常に困難なので、そこを目指して探索者をするのはあまりおすすめしないが。
あの視線は少しムカつきそうになるが、こんな下らない問題も俺が高ランクの探索者になって装備を一新してしまえば、直ぐに解決するだろう。
(そのためにも頑張りますかね)
俺は先程の出来事を頭の隅に追いやると、東京第二ダンジョンへと歩いていくのであった。
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