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第二十話

 


 マンションを出た後、俺は佐々木ダンジョンではなく、駅へと向かっていた。


 今回は近場の佐々木ダンジョンではなく、片道一時間ほどかかる【東京第二ダンジョン】に行くことにしていたのである。


 近場から、電車での移動が必要な東京第二ダンジョンに変えた理由は単純で、そのダンジョンがレベル上げに最も適したダンジョンだからであった。


 その理由はモンスターの強さはそこまで高くなく、得られる経験値は普通のモンスターよりも良いからである。


 ここまでの情報だけ見れば、探索者らにとって素晴らしいダンジョンに見えるが、このダンジョンには一つだけ、大きなデメリットがある。


(モンスターの死体がダンジョンに一瞬で吸収されちゃうんだよな)


 モンスターの死体がダンジョンに吸収されてしまう為、その死体から素材などを剥ぎ取ることができない。


 そのため、稼ぎがなく、普通の探索者をしている者はまず来ない場所だ。


 だが、そのデメリットが大きいのは日々の稼ぎをモンスター討伐に頼っていた場合であり、稼ぎを別にしている人からすれば何のデメリットにもなり得ない。


(今の俺は状況次第では強くなれるが、まだまだひよっこ。レベル上げは重要になる)


 レベル五十になれば大きく能力が伸びるが、その恩恵はMPにも影響する。


 目下、手っ取り早く強くなるにはMPを上げた方が早い。


 レベル上げに平行して剣術や格闘術を練習してもいいが、それでは強くなるのに時間がかかる。


(下手に技術を伸ばすよりも圧倒的な得意分野となっている魔術を有効に使える方がいいだろうからな)


 変に剣術や格闘術に凝ってしまって、自分のアドバンテージを失ってしまっては元も子もない。


 それにいくらセンスがあったとしても肉体能力は既に中年のそれだ。


 若い人間のパワーや柔軟さはどうやっても得られず、年を重ねていくごとに得られるはずの経験もない。


 レベルを上げれば身体能力は高くなるが、結局のところレベル頼み。


(レベルを上げることが最も合理的ってことだな)


 駅へと着いた俺はそのまま電車を待つ。


(昔は満員電車なんて言葉があったなんて信じられないよな)


 現在の電車はかなり空いているのが一般的だ。


 車自体の価格と燃料の価格が共に下がったおかげで所得が少ない人でも簡単に車に乗れるようになり、運転の自動化のおかげで免許の取得も容易になったことが更なる自動車ブームを巻き起こした。


 以上のような理由により若者が車を持つようになったのと自宅ワークの発達や感染症の予防なども要因となり、昔に対して電車の需要は半分以下に低下したらしい。


(まあ、俺は未だに電車だが)


 電車も車と同様に様々な費用が低下したのと、時間を重視する風潮が未だに続いていることがあるため、電車の需要が完全になくなったわけではない。


 鉄道業界は運行時間を減らして限定することに加え、人がやっていた仕事を機械やAIに代替することによって人件費を削減することで、運賃の上昇をある程度抑制することに成功しているそうだ。


 そのため、現在でも以前の俺のように電車を使う勤め人はそれなりにいる。


 俺も稼ぎが安定すれば車を買ってみてもいいが、当面その予定はない。


(おっ来たな)


 俺は電車に乗り込むと、いつもとは違い車内にある個室へと向かう。


 電車の場合、武器を携帯してる者は周りの乗客への安全面の配慮から個室へと座ることが義務付けられている。


 料金が通常よりも割高になるが、この際仕方がない。


(東京第二ダンジョンか・・楽しみだな)


 初めての東京第二ダンジョンに思いを馳せながら、一時間程度の電車の旅を楽しむのであった。








読んでいただき、ありがとうございました。

総合評価が17000ptを超え、ブックマーク数も5000を目前に控えています。

このような結果を得られたのも、読者の皆様方のおかげです。

ありがとうございます!

これからも奮って投稿していくので、この作品をよろしくお願いいたします。

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